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Metallica ‎/ St. Anger(2003)

2003年リリース、21世紀最初のMetallicaの作品にして「Load」に匹敵する賛否両論を呼んだ問題作です。まず、ジェイソン・ニューステッドの脱退。再びベーシストを失ってしまいます。改めて聞き直すと、バンドメンバーの変化はサウンドに大きな影響を与えます。Metallicaは各メンバーがそれぞれのグルーヴをぶつけ合って生まれる音の渦、ポリリズム的な酩酊感が本質的な快楽構造であり、メンバーの変化が起きるとその根本が揺らぐバンドなのだなぁと感じます。「ベースが聞こえない」と言われたメタルジャスティスから、ブラックアルバムから始まる90年代で再びバンドサウンドの結束を固め、新しいサウンドを手に入れ、音楽性を拡張し、メタルにとどまらない「ロック」「ハードロック」が様になるバンドに成熟したメタリカが、ここでベースを失い再び自分たちのサウンドを再構築する必要性に迫られます。

この時、バンド自体も崩壊の危機を迎える。ジェイムスのアルコール問題が深刻化し、ラーズとの衝突もエスカレート。そのあたりは映画「真実のメタリカ(Some Kind Of Monster)」に詳しい。結果、ロバート・トゥルージロを迎えてバンドは存続するわけですが、このアルバムではロバート加入前に録音がスタートしており90年代、ブラックアルバムからタッグを組んでいたプロデューサーのボブ・ロックがベースを弾いています。そのため、このアルバムのベースサウンドは過渡期という印象。

音像的には「カンカン」と響くスネアの音が印象的。おそらくですが、Slipknotなどのニューメタル勢、パーカッシブな音をラーズが取り入れようとした結果のようにも思います。実際にパーカッションを加えるのではなく、従来の4人体制のメタリカというフォーマットの中でいかにメタルのトレンドに乗るか、新しい「リズムが強調された新しいメタル」の音像に乗るか。グルーヴメタルと違い、もっとトライバルなリズムが新鮮味を持って迎えられた、リフよりもポリリズムの破壊性、煽情性を前面に打ち出したのがSlipknot(やSepalturaの「Roots」)の衝撃であり、その源流をたどればMetallicaももともとそうした「リズム、ポリリズム重視」のバンド。そこで再度バンドサウンドを再構築した時に、自分たちの強みとしてのポリリズム、ただ、ベースが抜けてしまった。なのでリズム隊であるドラムの音をもっと際立たせるために、中音域に響き渡るスネアの音を採用した苦肉の策だったように思います。

また、ギターソロがないアルバム、カークもひたすらリズム、リフとバッキングに徹するという選択をしています。これはリズムギター2本とドラム、そして助っ人とはいえベースのグルーヴのせめぎ合いで「ポリリズム主体」の音像を出そうとしたのではないか。その分、ボーカルラインはかなりメロディアスで、よりメロコア的なくっきりとしたメロディラインの曲も増えています。ストーナーというよりニューメタルやメタルコア(まさにメタル+ハードコア)の音像のように思います。ジェイムスのボーカルスタイルも、かなりシャウト、スクリームが増えてきています。実は今まであまりエモーショナルに叫ぶことがなかったんですよね、ジェームスって。どこか朗々と歌い上げるというか、歯切れの良さやリズム、節回しを重視していて、スクリームはむしろ避けていたジェームスもかなり感情的なスクリームを随所で見せています。このアルバムは賛否両論を生みましたが、実は日本でオリコン1位を獲得、メタリカがオリコン1位になったのは今のところこのアルバムだけ。一般層まで普及していた「メタリカ」というビッグネームが最大化された瞬間です。なので、80年代から追っていたファンや正統派メタルのファンからは「?」でも、このアルバムを入り口にメタルに入った、このアルバムに衝撃を受けてバンドを始めた人も一定数いるはず。ビルボードはじめ、各国のチャートで1位になり話題になった作品なので、むしろその後のニューメタルやメタルコアの隆盛、メインストリーム化を確固たるものにした作品だったとも言えるのでしょう。リフの反復が増え、確かに曲構造的にはストーナー、サイケになっていますが、音が酩酊を刺そうというよりはガンガンと頭に響いてくる、目覚ましのような音なので、このアルバムだけで言えばやはりトライバルなリズムを取り入れつつボーカルラインにはメロコア的なフック、はっきりした歌メロを導入したニューメタル、メタルコアへの接近と言えるアルバムだと思います(ライブで聴くとストーナー的な要素が出てきますが)。

なお、このアルバムはスタジオ盤はボブ・ロックがベースを弾いていますが、2枚組でDVDが付属しており、DVDの方はスタジオ・ライブでアルバム全曲が収録されロバート・トゥルージロが弾いています。これが新メンバーのお披露目。録音でのお披露目はこの後出た「Some Kind of Monster」のEPに収録されるライブバージョン。

このアルバムからは聞き直してみたらカッコよさを再発見した「Dirty Window」を。ちょっとラテン感もありますね。アークティックモンキーズの「ダンシンシューズ」みたいな。トライバルなリズム感とリフが絡み合う感覚もあり、サビはハードコアマナーの難しい響きの単語のスクリームというなかなかこの時期のメタリカ、このアルバムでしか味わえない佳曲。

スマホで聴きながら読みたい方はこちら(noteに戻ってくればYouTubeでバックグラウンド再生されます)。

2003リリース

★ つまらない
★★ 可もなく不可もなく
★★★ 悪くない
★★★★ 好き
★★★★★ 年間ベスト候補

1.Frantic 5:50
金属音のようなドラム、鉄を叩くような、かなり硬くて生々しい音
ギターサウンドもかなり違う、左右のリフ、トライバルな感じもする
Slipknotとかをちょっと意識したのか? それにしても異質な音
うーん、Judas PriestやAcceptのヘヴィ期とか、、、
久しぶりに聞いてもかなり変わった音
ドラム音に関してはパーカッシブな質感
ベースもけっこう前に出てくる、ボブロックだよな、プロデューサーの
メタルコア的な音像、これは大きく変化している
しかし、ストーナー~シンフォニックメタル~メタルコアに変化したのか
けっこう音楽性の変化が激しいな、リアルタイムで聴いていると「メタリカの新譜だなぁ」と思っていたが、今歴史の中に位置づけてみるとかなり激しい変化、これをシーンのトップバンドがやっているというのがビートルズ的な変化を感じさせる
耳に引っ掛かりのあるギター音、リズムは切り替わっていくが音の生々しさというか
後、ジェイムスのボーカルがけっこう絶叫、エモーショナル
実はほとんどシャウトをしないタイプのボーカリストだったのに、声も荒々しい
グロールやデスボイスまではいかないが、過去一番にボーカルスタイルも荒々しい
ギターリフは単音でリズム連打する、単音程に近いシンプルなリフ、これ自体はメタリカが昔から持っていたものでむしろオリジネイター
そこにトライバル、パーカッシブなドラムを加えてくるとは
歌メロもメタルコア的
かっこいいはかっこいいが、だいぶ唐突な変化感のある音像
★★★☆

2.St. Anger 7:21
やや音圧が減り、めぐるようなリフ、ぐるぐる回るリフ
ツーバスで連打する、ドラムはやはり硬いというか金属的なタムの音
ベースの音がゴリゴリしていて硬め
コーラスの音が生々しい、ライブ的
Slipknotが多人数で出していたグルーヴを4人で出そうとしたのか
いや、そもそもMetallicaが持っていたポリリズム的なものを多人数で再現、強化したのがSlipknotだった気もするが
それに対するアンサーというか
歌メロが入ってくる、メロディアスなボーカルパートが入るのが面白い
メロコア、メロディックハードコア、ハードコアの流れ
まさにメタルコアの先駆的な作品だったのか
ベースがかなり前にアタックが乗っている、音の伸びは少ない、プレイヤーとしての特性もあるのだろうか、音作りだろうか
なんとも言えないメロディ、何か懐かしいんだよなぁ、メロコアか
バッドレリジョンとか、エピタフ系の薫りもする
リフを刻む、ドラムがテンポをずらして入ってくる、やはりトライバルなリズム
リズムが絡み合っていく、大きな構造は2ndあたりからずっと変わらないメタリカの構造なのだが、音像があまりに違う
後は歌メロ、歌にスポットが当たるパートが違う質感、声もメロディもハード寄りのメロコア的
ツーバスで疾走、ラーズのバスドラに重さがそれほどない、塊的な感じはあるが
けっこう長時間ツーバスが続く、これも珍しい
あまりに音楽性が変化している、なるほど、メタルコアか、、、
確かに、まさにメタルコアだ
★★★☆

3.Some Kind Of Monster 8:26
低音から、けっこうホワイトノイズ、アンプノイズが乗るギター音
ライブ感を出したかったのだろうか、やはりドラムの音は金属的
ちょっと変わったギター音、遠くから通信する様な、少し電波が途絶え途絶え
リフが少し遅れるがドラムは疾走する、ラーズの手数が多い
手数よりは重量感の方が重視されてきたように思うが、ラーズのドラムとジェイムスの声が負荷が高いプレイが多い
いやぁ、これは80年代の面影がない、もちろん、本質的な曲構造など連続したところはあるのだけれど
復活したヘヴィ路線のAcceptみたいな、あるいはリッパー期のJudas Priestのような、それぐらいの変化だな
息苦しさがある、音の隙間は少ない、壁のようにうねるギターもそうだが、ドラムの手数も多い
ギターもよく刻む、太いギター音でかなり細かく刻む、ザクザクというよりトレモロに近いぐらいの高速
ボーカルはラップのようなスタイル
Loadにもあった実験性を進めた作品、という一面もあるかも、実はLoadの方が実験的だった
ただ、アグレッションは高い、むしろ一番高速なアルバムかもしれない、少なくとも頭3曲は
初期から実はそんなにアップテンポの曲は多くない、ミドルテンポの曲が多いバンド
掘削する様なリフ、鉄と岩と火花、00年代初頭のメタルの音はこんなだったか、そうかもしれないな
途中、呪術的なコーラス、歯切れの良いラップ的なボーカルい絡み合う、繰り返されるコーラスフレーズ
ちょっとサイケな空気感も出てきた、耳が慣れてきたら確かにこれサイケ感もあるかも
途中からかなりヘヴィな空気感に、ストーナー的な要素が戻ってきた
1曲目のようなひたすらなアグレッションは薄れてきた、声もがなり立てる感じからは落ち着いてきた
★★★★

4.Dirty Window 5:25
リズム、リフ、連打する、そこからリフが展開する
お、アップテンポに、ハードコア的な展開
タムの音が金属的、カンカンと響く、ボーカルはややエモーショナルな歌い方
音が若々しいな、この時すでにデビュー20年ぐらいなんだが、若返ったというかフレッシュな音像ではある
むしろデビュー作とか2ndぐらいの荒々しさ
耳に残る単語を並べるボーカル、パンク、ハードコア的
けっこうリズムは凝っているが、一緒に疾走する、変化する感じが強い
途中、少しラテン的なフレーズを経てボーカルの名詞連呼パートへ
単音程で刻む、リズムとしてのリフ、ドラムが絡む、ベースも蠢く、儀式的なボーカルが乗る、トライバル
奇声から疾走へ、再びラテンなブリッジ、このパートは面白い、ちょっとダンサブル
そこから再びハードコア的な名詞連呼ボーカルパート
この曲はなめらかにいろいろなパートに行くな、ちょっと南米的なのかも、Sepulturaとか
終盤の変な声が続く中でリズムとボーカルが繰り返される辺りなど
★★★★☆

5.Invisible Kid 8:30
オープニング、リフの反復タイミングが途中で変わり、ドラムとポリリズム感を出す、こういうのは匠の技
ボーカルが入ってくる、けっこうポップ、フックのあるメロディを作る能力が高い
ボーカルが荒々しい、声をつぶして歌っている
ブリッジ、弱弱しい声になる、透明な子供、か
内面の怒り、抑圧された幼児性だろうか
アジテーション的なボーカルに、ハードコアの要素が強い
リフだけになる、リフにバンドが絡んで再びボーカルヴァースへ
ヴァースはメロコア的、ただ、音は終止攻撃的
ややささやくようなブリッジ、一度間奏というかブレイクを挟んでまたささやきが続く、内面の声か
複数の声が絡み合う、演奏と音像がだいぶ荒々しいが、サイケな作りではある
コーラスはフレーズを連呼し、間奏へ、引っ掛かるドラム、リズムがつまずいたようになり展開する
確かにソロがない、その分ボーカルメロディを強く感じる
酔っぱらったような、泣きかけているような声でメロディが続く、声の感情表現が多彩
ギターリフが少し歪みだす、ただ、全体としてはリズムの執拗な繰り返し
ふたたび最初のヴァースへ、このしつこいほどの反復は酩酊感もある
ただ、酩酊を拒むような音像なんだよなぁ、醒まさせるというか、暴力的な嵐というか、ずっと緊迫感がある
ささやく、うめくようなパートへ、コーラスと絡み合う、渦を巻く
コーラス、アジテーション、カンカンと金属音が続く終盤
機械が動くような
★★★☆

6.My World 5:46
轟音、和音だが少し不協音も混じっているような気がする
音階が多少展開するリフ、カカカンとタムの音が響く
ボーカルが入ってくる、メタルコア
リズムはカッチリしているが、ギターの音は塊感がある
ボーカルラインには一定のフックはある、単純にかっこいいメロディではある
この振れ幅、やはりLoadからの延長というか、しかしS&Mの次がこれか
ミクスチャー、ラップ的な雰囲気もある、少し跳ねるようなニュアンスもある
疾走しだすドラム、ラーズのプレイはかなり手数が多い
アグレッションが強い、彼にしては叩きまくっている
ベースは編曲上、必要なものを適切に埋めているという印象、必要十分というか
ミクスチャーメタルなんだが、それをものすごく轟音、メタルコアの音でゴリゴリ演っている
ドリルで掘削するがごとき勢いで終曲
★★★☆

7.Shoot Me Again 7:10
切り刻むような、ジェント的なギター音
執拗に反復され、展開するリフ、ちょっとメシュガー的
リズムが安定する、ボーカルが入ってくる、ハーモニーが入る
ブレイク、小節ごとに区切るような音、ストップアンドゴー、一つ一つの小節の区切りが強調される
ラップ的、語り的なボーカルパートに変わる、Shoot Me Againというフレーズを連呼するブリッジ
そこからメロディアスなサビへ、ダークな雰囲気
とにかくヘヴィな音像、なんというか、灰色というか
ただ、感情の熱量はある、ボーカルがアジる、サビは少しブラックアルバム的か
しかし、リズムの区切りの多い曲、サビの最後もフレーズごとに曲が止まるし
そういう分断された感じが印象に残る
カークのソロがないのも閉塞感の原因かも、あれ、開放感があるからなぁ
ひたすらリフ、重くて太いギター音で刻むリフ、金属的なドラム、ボーカルは荒々しさもある
攻撃的な要素が多すぎる
★★★

8.Sweet Amber 5:27
微かに聞こえるリフ、ブルージーな試し引きのような
そこからリフを刻み始める、ジェイムスの刻みリフ
バンドが入る、2本のギターの刻みにうねるベース、アップテンポのドラム
リフがメロディに変わる、そこにボーカルラインが絡む、アーシーな感じ
メロディが展開してリフに戻る、再びブリッジへ
言葉を吐き出す、ハードコアなサビ、こういうパターンが多いなこのアルバムは
ドラムが後ろにいて全体を統制するというより、一緒に疾走していく感じもある
RushのVapor Trailsもこんな音作りだったかもなぁ
細かい刻みが入る、バタバタとリフが暴れる上でボーカルとドラムは少し落ち着いたテンポでメロディを紡ぐ
これはヘヴィブルースか
最後、少し走り出して終曲
★★★

9.The Unnamed Feeling 7:09
ひっかくようなリフ、少し違うリズム感で他のギター、ベースが入ってくる
全体として大きくは合っているのだが、ところどころ不協的なオープニング
コードが進行する、エフェクトのかかった声が入ってくる、これはニューメタル的
ボーカルが入ってくる、クリアトーンでメロディアス
刻むリフに対してボーカルが残る、変わった音像
渦を巻く、Loadの時ほど実験的な感じはなく、どの曲も一定のクオリティにまとまってはいる
曲の焦点があって、フックもアイデアも入っている
ずれていくギターリフ、絡み合うリズム、メロディアスなボーカルパートへ
ボーカルが暴れだす、訴えるような、演劇的な歌い方
さまざまな声色を使う、こういうシーンは珍しいな
新機軸の曲ではある、ドラムはヘヴィ目、いつものラーズ感
カークのワウっぽい音も入ってくる、間奏でかなりツーバス疾走したな
曲の展開がかなりじっくりと、メロディを煮詰めていく、音はメタルコアだが曲はストーナー的
★★★★

10.Purify 5:14
勢いのあるギターリフ、横揺れ、ニューメタル的
そこからリズムが刻まれていく、全体として少しづつリズムがずれていくというより大きく全体でリズムが展開していく
ギターソロがない分、パートが変化する繋ぎの部分がバンド全体で遷移するからかもしれない
ギターメロディやソロがあれば、それが連続している間にドラムやリフが変化していく、それぞれ個別に変化していく、といったパターンが多かった
あと、ガレージインクでのハードコアカバーも音作りには活きているのかもなぁ
お、途中からハーモニーというか、和音感のあるかっこいいギターリフが出てきた
中盤からの疾走感はかっこいい
ボーカルパートに戻ってきた、ゆるやかに展開するメロディ、ニューコア的でもある
一通りクライマックスを迎えた後、終盤で別のリフが始まる、こういう「曲が続いていく感じ(余韻)」で終わるのが上手い
★★★☆

11.All Within My Hands 8:48
少し遠くで鳴るドラム、リフが入ってくる
ドラムが走り出す、かなりSlipknotのドラム音を意識してるのじゃないかなぁ、改めて聴くと
パーカッションというか
オープニングの後、浮遊感のあるギターアルペジオ、最近のGojiraのようでもある
ちょっとスぺース的、サイケ、ストーナー、同じ反復感
ボーカルがメロディアスになるがバックはコード展開感がない、分離する、面白いな
ひたすらリフを刻んでいる、これは実験的だけれど2020年の曲と言われたらそうかなぁと思う出来、モダン
サイケな音世界とハードコア的、ニューメタル的音像が混じり合っている
これは面白い組み合わせ
サビでボーカルメロディにギターやベースが合わせないも面白いな、ボーカルだけ浮くというか
耳には違和感と共に残る
曲がひと段落して、また次のリフが始まる、そこからテンポを何度もブレイクする
ギターリフはずっと刻んでいる、ドラムも安定して走りだしてボーカルが入ってくる
ドラムはところどころツーバス連打する
中間部、ギターリフの刻みがけっこう長い、声が裏返るボーカル、こういう「弱み」を見せるというのはジェイムスは1st以来
ボーカルが喚く、「KILL KILL!」と叫んでいるのか、かなり直接的だな
ちょっとホラー的か、そこまでシリアスな感じでもない
この曲は実験的
★★★★

全体評価
★★★☆
なるほど、改めて聞き直すとニューメタルの影響が強い音作りに変化している
当時は「なんだこりゃ」と思った記憶があるが、今聴くといわゆる「メタルコア」なんだな
メタルコアの先駆と言われたら納得のサウンド
なんというか単純にカッコいいメロディ、シーンがあるが、全体的にはやや単調
こういうメロディはやっぱりちょっとよくわからないところがある、個人的な嗜好だが、、、
ただ、よくこの路線でここまでの完成度を作り上げたものだ
そもそものコンセプト変更が極端すぎるのではと疑問符はあるが、今聞き直すと時代を先取っている音
こういうロック(メタルはロックに最後に現れた大きなムーブメントであり、つまり最新系のメインストリームのロック)の拡張、進化をサラッとして見せる、少し先の音像を具現化してしまうのがトップバンドなんだな
今までそういう視点で考えたことがなかったが、ビートルズ的な、「出したときはよくわからない部分もあるが、振り返ってみると先駆的」な音を作っているバンドなのかもしれない
同時代のメタルシーン、ロックシーンのトレンドをかなり敏感に取り入れて、その中でもトップレベルの曲を作りだしている
メタルコア、ニューメタルと考えるとどの曲も激烈性がありつつフックがあるメロディもあり、高品質
ただ、じゃあ「メタリカらしさ」とは何なのか
このアルバムは高品質だが、その核が見えづらい
「ニューメタルもメタルコアもできるメタリカの凄さ」は分かるが、突き抜けるような魅力を感じない
ある意味「売れ線」だったのかもしれない、市場やトレンドにメタリカが乗ってみた、的な
単にやってみたいものをやったのだろうが、ではどこまでメタリカというバンドは変化していっても本質が残るのか
このアルバムはやや本質から離れすぎた気がする
Load以降、Reload、ガレージインク、S&Mとサウンドを拡張、変化させてきたメタリカはSt.Angerでさらなる変化を遂げた
ただ、ベース不在の中で作られたアルバムで、映画「真実のメタリカ」にもあるようにかなりメタリカらしさを見失っていた状態、拡散していった結果、分裂寸前になっていたわけだ
ここからどうバンドが再生していくのだろう

ヒアリング環境
夜・家・ヘッドホン

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