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Every Time I Die / Radical

Every Time I Dieは、1998年に結成された、ニューヨークのバッファロー出身のアメリカのメタルコアバンドです。彼らは、エネルギッシュで激しいライブショーで高い評価を得ています。現在はメロコアの殿堂エピタフレコードに所属。エピタフはきちんとハードコア色の強い、アンダーグラウンド感を保ったままでメジャーで勝負できるようなバンドを抱えているし、そういう音作りも上手い。USではかなり人気のあるバンドのようでビルボードでも50位以内には入っています。本作は5年ぶり9作目。

活動国:US
ジャンル:Metalcore、hardcore punk、Southern rock
活動年:1998-
リリース:2021年10月21日
メンバー:
 Keith Buckley – vocals (1998–present)
 Jordan Buckley – lead guitar (1998–present)
 Andy Williams – rhythm guitar (1998–present)
 Stephen Micciche – bass (2001–2005, 2011–present)
 Clayton "Goose" Holyoak – drums (2017–present)

総合評価 ★★★★★

意欲作。音の洗濯機に飲み込まれるような、グルグルと振り回されるような暴虐性がある。比較的シングル向きというか単曲でのカッコよさを追求したA面(1~8曲目)で、ハードコア的な感覚だと2はキラーチューン。他にもシングルカットされた(MVが作られた)メロコア的な4や8がおそらくリードトラックとしてメインストリームやラジオ向けなのだろう。それらのクオリティは押しなべて高い。そして後半、9曲目~15曲目は一つの組曲のようになっていてプログレッシブハードコアというか、サザンロックやストーナーロックの雰囲気も織り交ぜた膨大なアイデアが詰め込まれたパートになっている。単曲で聴くよりB面全体の流れに身をゆだねる感じ。最終曲は毛色が違い、1曲の中に実験的な要素を詰め込んだ曲。新しい挑戦や遊び心を忘れず、20年以上のキャリアで培ってきたノウハウを惜しみなくつぎ込んだ全力の作品。メタルコアバンドの中ではUSでかなり人気がある部類なのも納得のクオリティ。

1.Dark Distance 02:54 ★★★★☆

電子音が鳴り、ボーカルがきりこんでくる。グルーヴィーでヘヴィなバンドサウンドが入ってきて激烈な展開に。ザクザクとしたリフ。Pantera直系、といった感じか。メタルコア+サザンロック、といえばPanteraだよな。曲展開は練られていてヘヴィでグルーヴィーな根幹は保ちつつビートの勢いが上がる。ベースソロになり少し引いた後、ヘヴィなパートへ。緩急のつけ方がクールで音のテンションとアグレッションが高い。

2.Sly 02:31 ★★★★★

ややポップというか、耳に残るフックがあるハイテンションなボーカル。ボーカルラインとリフが絡み合う。バンド全体が有機的に迫ってくる。こういうアグレッションとポップというかフックの組み合わせ方があるのか。ちょっとエモというかサーカス、ミュージカル的なコーラスとアグレッション強めのメタルコアサウンドの融合。奇妙で疾走するパレード。途中から激烈なブレイクダウンになり終曲。

3.Planet Shit 03:56 ★★★★☆

ハードコアマナーな疾走曲。パンキッシュな速度感。コールアンドレスポンスというか掛け声も入る。これはライブでモッシュが起きそうな曲。どの曲も曲の中でダイナミックにテンポやリフが変化し、体を振り回される感覚がある。力技のハイテンション。

4.Post-Boredom 03:16 ★★★★

ちょっとクリーントーンで、グランジ的な、90年代的なアメリカンハードロックの音作り。カラッとしている。テンションは相変わらず高いがアグレッションはやや後退してハードロックテイストの曲。ただ、メロディアスなハードロックというよりは歌メロはハードコア。演奏がカッチリしているから硬派なメタルコアというべきか。途中からメロディアスさが増し、メロコア感が出てくる。

5.A Colossal Wreck 02:28 ★★★★☆

また超ハイテンションなハードコア、メタルコアサウンドに戻る。「Son of a Bitch」の掛け声が激しい。短い曲ながら単に疾走して終わるのではなくきちんとブレイクダウンパートがあり、緩急でこちらを振り回してくる。どの曲も手が込んでいる。

6.Desperate Pleasures 03:11 ★★★★☆

やや不穏な響きのするイントロ、アルペジオ。お経のようなボーカル。だんだんとテンションが上がっていく。ハードコアだが実験的な要素もある。オールドスクールなハードコア感もあるが、音のアグレッションや迫力は最新型で音圧高め。ちょっとスカスカした感じはない。UKのTurnstileとかにも近いごった煮感があるが、USのバンドらしく一つ一つのパートはもっと力技でカラッとしている。ハイエナジー。

7.All This And War 03:10 ★★★★☆

ハイテンションなパートが続く、途中からかなりスラッシーというかダンサブルなビートに変わる。祝祭感がある。こういうバンドはライブが規制されると厳しいよなぁ。2021年にこれだけハイテンションな作品を出したことは凄い。この曲も後半ブレイクダウンがあるな。大半の曲がビートが途中で変わる。盛りだくさんなライブ、ビートが多彩で目まぐるしい音の坩堝に巻き込まれ続ける感じ。音の洗濯機。最後、なかなか強烈なスクリーム。

8.Thing With Feathers 03:38 ★★★★

急に雰囲気が変わりギターのアルペジオ。静謐な雰囲気に変わる。そこからベースが入ってきて、ちょっとウェスタン感もある。カントリー的なボーカル。この辺りはグランジ、オルタナ直系な感じ。ダークでゴシックな感じ。そこからコーラスへ。歌メロもメロディアスで、ヒットチャートに向けた曲かな。メロコア感もある。

9.Hostile Architecture 02:36 ★★★★☆

ハイテンションが戻ってくるが、やや軽めというかハードコア的な疾走感がある。ザクザクした、スケーターロック的、ミクスチャー寄りのスラッシーなサウンドと言えるかも。小難しさのない疾走曲。あ、しっかり途中でブレイクダウンは入る。こういうメタルコアマナーは外さないんだな。リフの詰め込み方、なだれ込み方は流石ベテランの技。

10.AWOL 02:10 ★★★★

ハードコアマナーな曲。変わらずテンション高い。この辺りは短めの曲を畳みかけてくるな。

11.The Whip 02:30 ★★★★☆

疾走、9曲目以降はほぼ途切れなく曲が続いてくる。一つの組曲というか、連続した曲のようにも聞こえる。ちょっとプログレ的な、変拍子が多用された曲。

12.White Void 03:34 ★★★★☆

メロディアスでややストーナー的なメロディ。こういう展開になるとはちょっと予想外。なるほど、こういう側面もあるのか。こちらも前曲から続いている感じがする。ストーナーロック的、サザンロック的な曲。

13.Distress Rehearsal 03:13 ★★★★☆

疾走曲、前の曲が良いアクセントになってアルバムの雰囲気が変わったので、ハードコア曲に戻ったときの疾走感が増す。刻みがザクザクしたスラッシーな曲。ボーカルはハードコアスタイル。

14.sexsexsex 03:27 ★★★★☆

こちらはちょっとダウナーなボーカル。蠢くようなリフ。少しサイケな感じがある。そこからハードコアな疾走パートへ変化。アイデアが詰め込まれているな。9曲目以降はLPだとB面扱いなのだろうがここが一つの組曲というか、次々とシーンが入れ替わっていく印象。詰め込まれたアイデア量(リフ、ボーカル、ビート等々)が膨大。

15.People Verses 03:33 ★★★★★

メロディアスなパートへ。壮大な組曲のクライマックス感もある。こんなにプログレッシブな感じになるとは最初からは想像できなかったな。1曲の中にかなり様々な表情が詰め込まれている。

16.We Go Together 05:02 ★★★★☆

一度組曲が終わり、アンコール的な立ち位置か。かなりプログレッシブ、ジェント的な曲。変拍子と音程移動が激しいリフ。途中でオリエンタルっぽいオーケストラというかくぐもったラジオのような音が聞こえ、1曲の中でドラマが展開されていく。予想外の展開。ストーナー的でもある。面白い、実験的な曲。


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