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Sabaton ‎/ The Great War

北欧メタルスウェーデン編でも取り上げたSabaton。1999年結成、2001年デビューのパワーメタルバンド。戦争をテーマにした曲が大半なので「ウォーメタル」とも。日本ではそもそも人気が高く、Babymetalとの共演もあったので知名度も高いと思われます。個人的には一番メタルを熱心に聞いていた時期と活躍期間が重なっていなかったのではじめてきちんとアルバムを聴いてみました。シングル曲だとそこまで突出したものを感じなかったんですが、アルバムを通して聴くとバンドの魅力と作曲力が分かりました。どの曲もフックがあるし聞き飽きない、勇壮感があり盛り上がるけれどコテコテしていなくて洗練されている感じもする(たとえばManowarとかと比較して)。このアルバム、勝手に70分ぐらいの大作かと身構えていたんですが(たぶんアイアン・メイデンの「戦記」とかアイスド・アースの「ザ・グロリアス・バーデン」といった大作をジャケットや「ウォーメタル」というテーマから連想したため)、実際聴いてみると40分ほどで駆け抜けるアルバム。楽しかった。スウェーデンメタルシーンを牽引するバンドの一つですね。

スマホで聴きながら読みたい方はこちら(noteに戻ってくればYouTubeでバックグラウンド再生されます)。

2019リリース

★ つまらない
★★ 可もなく不可もなく
★★★ 悪くない
★★★★ 好き
★★★★★ 年間ベスト候補

1 The Future Of Warfare 3:26
抜けのいいリズムから勇壮なコーラス、音作りがフックがあって洗練されている
リフの刻みとヴァースが絡み合う、さすが評価が高いだけのことがある
ポップさも感じるシンガロングなコーラス、とはいえ勇壮で雄々しい
ギターの音は刻みはあるがそこまでヘヴィではなくやや丸みを帯びている
間奏のギターソロもよく練られている、曲構成がシンプルで乗りやすい
★★★★

2 Seven Pillars Of Wisdom 3:02
メロディアスなリフ、勇壮なメロディ
船乗りだろうか、War Metalというぐらいだから戦争の歌なのだろうが
海軍か空軍か、疾走感、船出の勇壮感がある
ちょっとパイレーツメタルの一群にも通じるシンガロングなサビだからか
物語るようなボーカルパートから間奏へ
流れるような流麗なメロディ
★★★★

3 82nd All The Way 3:31
フックのあるリフ、から、少しコードがずれてボーカル
これは北欧的なメロディ展開
ちょっとディスコ的な雰囲気もある
コーラスで少し転調してくれたら面白いのに
リフからヴァースに変わるところは転調感がある、途中どこかでずらしているのかな
いや、コーラスで変わっているのか
うん、これは北欧的で良い曲だ
★★★★★

4 The Attack Of The Dead Men 3:56
何かが開くような、動き出すような音から勢いの良いリフへ
ミドルテンポでディスコリズム、四つ打ち
これはディスコサウンド、コーラスが呪術的というかジンギスカンとかアラベスクとかああいう耳に残るメロディ
野太いコーラスも心地よい
ギターソロが上手い、テンションをうまく上げるメロディアスなフレーズ
★★★★☆

5 Devil Dogs 3:17
パイレーツ的なリズム、ノリの良いコーラス
勇壮さを追求するとバイキング音楽に行きつくんだろうか
まぁ、北欧のルーツでもあるから自然なことではあるのだけれど
乾杯! 感はあまりなく物語性を感じるのは効果音や音作り、歌詞のせいだろうか
これで歌詞がウォッカだのビールだのイェーガーマイスターだのを歌うとバイキングになりそうな曲
歯切れ良いリズム、シンガロングで分かりやすいコーラス
とはいえ展開が早くメロディもしっかり展開していく
★★★★

6 The Red Baron 3:22
クラシカルなメロディから、クラシックの曲のモチーフ
なんだっけこれ、バッハだろうか
からアップテンポのナンバーへ、このテンポはアルバムで初めて
高速シャッフルリズムというか、ノリが良い
カッコいい
軽やかでテンションが上がる
★★★★★

7 Great War 4:28
壮大なイントロ、クワイアコーラス
シンフォニックな始まり
力強いコーラスが耳に残る
少しテンポダウンして追憶する老兵のような2ndヴァース、これは情景を描くのが上手い
そこからまた現代に戻り、ブリッジ~コーラスへ
途中からドラムの手数が倍に、疾走感が出てくる
★★★☆

8 A Ghost In The Trenches 3:26
曲の途中からスタートするような、いきなり盛り上がる曲
コンパクトな曲作りが上手い、メロディアスなリフ、つかみから持っていかれる
メロディの展開が早い、少し前のめり的なメロディ
この曲もダンサブル、コーラスの後ろに入ってくる合いの手的なコーラスが良い
間奏はかなりメロディアスで雰囲気が変わる、優美なメロディ
さらにコーラスで転調、これでもかと盛り上げてくる
★★★★☆

9 Fields Of Verdun 3:17
メロデス的というか、デイブマーレイ的な(レインメイカーとか)コードとメロディが展開するリフ
いや、ジューダスプリースト的というべきか、センチネルっぽい
間奏での空気の換え方が上手い
様式美、正統派メタルの良曲
★★★★☆

10 The End Of The War To End All Wars 4:45
ピアノとバイオリン、優美なシーンからスタート
バンドが入ってきて勇壮なメロディに
どの曲もコンパクトで完成度が高い
壮大なクワイアコーラス、レクイエムか、ヴァルハラへの旅立ちか
シンフォニックで壮大な音像
爆発音と共に終曲、分かりやすい
★★★★

11 In Flanders Fields 1:57
アカペラの曲、美しいエピローグ
★★★☆

総合評価
★★★★★
人気があるのがよくわかる、分かりやすくコンパクトでありながらドラマがある
メタルならではの煽情力もあり、心沸き立つ瞬間もある
一本調子かと思えば曲のバリエーションの引き出しが意外に多く、ところどころで雰囲気を変える曲を入れてくる
アルバム全体も40分弱と潔いが、それなりに満腹感がある
何曲かシングル曲は聴いてきていたが初めてアルバムをきちんと聴いたら、思った以上に良いバンドだった
ややアグレッションは弱めだが、それはこのバンドの求めるところではないのだろう
あと、全体的に曲がサラッとしている、あまり耽美だったり極端なエモーショナルさがない
シリアスなトーンの曲もあるが、アルバム全体としてみると楽しさ、陽気さを感じる
娯楽性が高く中毒性もある名盤

ヒアリング環境
夜・家・ヘッドホン

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