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Serpent Sermon / The Saurian Hymns

Serpent Sermonはロシアのシンフォニックブラックメタルバンド。ジャケットに惹かれて聞いてみました。2021年に今回レビューする1stアルバムをリリース。ほとんど情報がないバンドですが、おそらくスウェーデンのブラックメタルバンドMardukによる12番目のスタジオアルバム「Serpent Sermon」からバンド名を取ったのでしょう。VocalはGrotesque Orchestra, Vintergata, ex-Funeral Moon, Nortia, ex-Morbid Violenceということで、他にも色々な活動をしている様子。2011年ごろから活動しているようなので10年ほどのキャリアがある中堅と言ったところでしょうか。

出身国:ロシア
ジャンル:Symphonic Black/Death Metal
活動期間:結成時期不明ー現在
メンバー:
 Artemy Mityushin (Guitars)
 Alexander Demidov (Vocals)

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1.Typhon 03:53 ★★★★

かなり不穏なメロディからスタート、イントロのつかみはかっこいい。ドラムは極端なブラストではなく、そこそこの手数。ボーカルはグロウル。極端な疾走やプリミティブブラックというわけではなく、ややミドルテンポでリフなどが展開していく感覚も持っている。途中から激走パートに変わった。カオスな音の渦というよりはブラックメタルにしては統制が取れている。シンセと思われるオーケストラの音もかすかに入っている。ややプロダクションは悪めながらメロディセンスが面白い。

2.Nahash 03:57 ★★★☆

ブラックメタル、ミドルテンポ。荒涼感はあるが北欧とはまた違う趣がある、少し人懐っこいというか、メロディにどこか朴訥とした感覚がある。のルウェジアンブラックのような暗黒性を感じない。やや和音の感覚やギターの音がクリアでフォークメタルというか民謡的なメロディも入ってくる。ただ、フォークメタルと言えるほど露骨には入ってこない。これ、ドラムは打ち込みなのかな。Facebookのページを観るとエピックと言うか、神話、ギリシャ神話をモチーフにしたアルバムらしい。

3.Apep 04:30 ★★★

テンポは速いが激烈性はそこまで強くない、プロダクションの影響もある。ややドラムが後ろに下がり、弦楽器、オーケストラの音像が前面に出てきている。声はかなり合いの手が多く次々と湧き上がってくるような多重録音のスタイル。どの曲も似たような感じでやや平坦。クオリティが低いわけではないが似たような音像が続く。独特のメロディセンス、エキゾチックな感じは面白いがB級感が強い。同じようなフレーズの反復が多い。

4.Aždahha 04:26 ★★★

かなりはっきりした輪郭のあるリフ。おお、疾走方向ではなくこういうパワーメタル、正統派HM的な方向にアルバム中盤から行くのか。歌い方こそグロウルだが、テンポは遅め。基本、ギターはコードの高速かき鳴らしでアトモスフェリックな感じが強いが、最初はリフがあった。途中から疾走パートで音の壁、ノイズ感が強まるが和音感も強い。あまり余分な音は鳴っていない。ボーカルが一番はみ出ているが喚き散らしている感じはなくコントロールされている感じ。

5.Gallu 04:04 ★★★☆

細かいアラーム音のような音が入ってくる、これもリフがしっかりあるミドルテンポの曲。なんだろう、90年代中盤ぐらいのサウンドにも聞こえるなぁ。オールドスタイル。ブラストではあるがBPMはミドルテンポ。トレモロでメロディを奏でるが比較的遅め。世界観で聞かせるタイプのようだ。メロディ展開はどこか独特、ロシア的なものを感じる。お、これは伝統楽器も出てきた。フォークメタル感が強い。こういうミドルテンポで、メロディ反復するような曲が持ち味なのかな。疾走曲はあまり迫力というか突き抜ける激烈性がない。

6.Damballa 04:08 ★★★☆

心機一転、疾走曲へ。ここまでで一番突進型かも。オーケストラも緊迫感がある、ドラムの音が大きめ。オーケストラサウンドだがクラシカルというより、どこかメロディがロシア的。細かいフレーズを反復していく。一番緊迫感があるな。

7.Amaru 04:21 ★★★★

ゴシックで荘厳な雰囲気のイントロ、ピアノが鳴る。そこから正統派HM的なけっこうかっこいいリフへ。これはいろいろなパーツが噛み合っているな。

8.Vritra 05:55 ★★★★

ドラムの手数が多く、ややギターはジェント的なピッキングハーモニクス音も出てくる。このバンドなりにフルスロットルの曲。民族楽器というか聞きなれない音、反復する伝統楽器音が入っている。面白い音像。独特のメロディセンスがある。途中に唐突にJudas PriestのPainkillerの歌メロが差し込まれる。面白いな。やはり正統派HMの影響を受けているのか。Judas Priestのだと一番近いのはJugulatorとかの空気感か。後半になるとだんだん荘厳さが増してくる。

総合評価 ★★★☆

頭一つ抜けるような新規性や完成度はない。どれも今一つ煮え切らない、演奏力も楽曲も。ただ、聞き苦しさや飽きるまではいかない。やはりちょっと独特のメロディセンスを持っているからだろう。プロダクションは甘めだし、研ぎ澄まされた何かまでは感じないが、それなりのキャリアを持った人たちがしっかり自分たちの音楽を奏でていて楽しめる。自分たちにできること、を最大限つぎ込んだ感じがして好感の持てるアルバム。かなりオールドスタイルだが、それもまたロシアらしさとも言えるかも。

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