Gorilla Biscuits / Start Today
Gorilla Biscuits(ゴリラ・ビスケッツ)は1986年結成、1988年デビューのNYのバンドで、80年代後半に起きたストレート・エッジ・ハートコア・ムーブメントの中心的なバンドです。ストレート・エッジとはwikiによれば
ストレート・エッジ (Straight Edge、略称: SEもしくはSxE) は、ロック音楽などにおける思想・概念・ライフスタイルであり、ハードコア・パンクのサブジャンルである。
「喫煙しない」「麻薬を使用しない」「アルコールを摂取しない」「快楽目的のみのセックスをしない」というのが基本的な理念。それまでのロックの価値観であった「セックス、ドラッグ、ロックンロール」という享楽的な生き方に対するアンチテーゼと捉えられている。
だそうで、確かにヘルシーというか、健康的で躍動感。陽性のエネルギーを感じます。1989年の2作目にして今のところの最終作。ZOZOの前澤さんはこのアルバムから自分の社名を取ったそう。
1.New Direction 02:29 ★★★★
ファンファーレが鳴り響く、競馬場的。
そこからギターが入ってくる、ドラムとベースだけになって疾走する。ギターとボーカルが一斉に入ってくる、かなり音像はかっちりしている。メロコア的。ところどころピッキングハーモニクスが入り、ギターの音色は凝っている。意外とメロディアス。ギターはヴァースはけっこう刻みがある。ブリッジミュートしてザクザクと刻むというか。思ったより聞きやすい。ボーカルはスクリーム一辺倒ではなくメロディアス。少しづつテンポがスロウになりミドルテンポに落ちる。ブレイクダウン。
全体としてかなり聞きやすい、フックがあるし軽快で開放感がある。勢いよく終曲。
2.Stand Still 02:07 ★★★★
こちらも勢いよく曲がスタートする。ああ、ハイスタ的だなぁ。メロディアス。NYハードコアってナパームデスとかディスチャージとかエクスプロイテッドとか、とにかくシャウト、アジテーション系かと思っていたがこのアルバムはハイスタに近い。お、この曲もブレイクダウン。テンポがチェンジする。メロディアスなボーカルと雄々しいコーラスによるコールアンドレスポンス。勢いを保ったまま一気に終曲、終わり方が潔い。
3.Degradation 01:34 ★★★★
疾走、勢いよく駆けてくる。ただ、メロディは明るめ、コード進行もメジャーコードというか、パンク。メロディックパンク。デスやスラッシュのような不協和音感、テンションコードはあまりない。メジャーコードの中でちょっとテンションが入る、ぐらい。こちらも途中でテンポがスロウダウンする。このギアチェンジパターンが多用されるな、やはりこれがないと曲が締まらないのだろう。
4.Good Intentions 00:29 ★★★★
短い、勢いよく疾走。ワイルドハーツのカフェインボムをさらに勢いよく短くした感じ。駆け抜けて終曲。
5.Forgotten 01:31 ★★★☆
同じテンションで再び走り始める。かっこいいな。マラソンというか短距離を疾走する感じ。途中からスロウダウンするが、スロウダウンしても明るめで青春パンク的というか、明るいメロディ。ボーカルのテンションや演奏のテンションは高い。
6.Things We Say 01:42 ★★★★
さらにメロディアスに。ああ、ハイスタはこれが元なのか、というか日本のハードコア、ハウリグンブル界隈はこのバンド直系かもなぁ。スタートトゥデイはZOZOTOWNの社名だが、このアルバム名から取ったらしいし(前澤さんはもともとバンドマン)。確かに、日本のシーンへの影響が大きそう。エピタフ系より軽やかで疾走感がある。
7.Start Today 02:03 ★★★★
ミドルテンポでメロディアスなスタート。少し跳ねるようなリズムだがファンクまではいかず直線的な跳ね方、垂直ジャンプというか。ちょうどダンスしやすいリズム。飛びやすい。途中でハーモニカが入ってくる。そういえばバトルロッカーズもハーモニカ入れてたな。ハーモニカ入れるのはロックンロールの系譜なのか。
8.Two Sides 02:04 ★★★★
ドラムの連打からギターが入ってくる。どの曲も似たバイブレーション、テンションがある。一本調子、というわけではなく、一曲一曲が短いのもあって飽きる感じはない、次々に畳みかけてくる、という感じ。パーティー感・高揚感がある。ドラムがけっこう手数が多いなぁ。ギターはそこそこルーズというか極端にかっちりはしていないがミュートと刻みも駆使していて演奏力やテクニカルさを前面には出さないが、バッキングパターンはけっこう凝っている。ベースはけっこう上下移動している。
9.First Failure 01:39 ★★★★
今度は上から降りてくるコードパターン、刻みで軽快に進む。心地よい。いいなぁこのギター、弾いたら楽しそう。それほど難しくないし、かといってフックがあるしバンドアンサンブルも考えられている。途中、ギターが消えてベースだけに、こういうフックの効かせ方はバンドならでは。
10.Competition 02:04 ★★★★☆
どの曲も同じテンションで進んでいく。ただ、けっこう似てはいるがそれぞれの曲のキャラクターはある。面白いなぁ。音がフレッシュ。この曲はコーラスというのか、サビのボーカルラインとバックのギターが絡み合う。途中からベースソロのようなパートに。そこにギターが絡んでくる。ちょっと凝った作り。金属的なリフというかカッティングをギターが奏でる。こういう個々人の技量ではなくバンドアンサンブルで展開していくのはかっこいい。途中に入る合いの手コーラスがかっこいい。
11.Time Flies 01:44 ★★★★
コード進行からベースだけになり、またバンドが戻ってくる、高速パンク。初期ワイルドハーツにも近いものを感じるな。適度なメロディアスさ。途中でテンポチェンジしてミドルテンポに。ああ、これがギターソロみたいな意味合いなのか。80年代メタルだと大抵の曲にギターソロがあったが、位置づけてきにテンポチェンジするのがギターソロ的な感じなのだろう。確かにそこで曲の風景がリフレッシュされてまた疾走することでカタルシスが出てくる。
12.Cats And Dogs 01:35 ★★★★☆
同じく疾走、とはいえけっこうメロディアス。ブリッジでじっくり音階が上がっていく。コーラスなのかヴァースに戻ったのか。シンプルながらフックがある曲。メロディアス。「猫と犬」とはどんな歌詞なんだ。特撮のアベルカイン(猫VS犬)みたいな歌詞なんだろうか。お、またテンポチェンジ。この曲はテンポチェンジしたところにメロディアスなボーカルが入る。勢いとく駆け抜けてさっと終曲。
13.Sitting Round At Home (bonus track) 01:44 ★★★☆
ここからボーナスらしい、シングルB面とかだろうか。ミドルテンポでじわじわ来る。確かにアルバムとはノリが違う。...と思ったら疾走を始めた。また歌が入ってきたらミドルテンポに戻る。緩急が極端で実験的。歌メロはけっこうメロディアス。
14.Biscuit Power (bonus track) 01:22 ★★★★
こちらもミドルテンポというかやや怪しげなイントロ。から猛烈なハードコアに。メロディアスさがあまりない。奇声が入ってくる。ゴリゴリのハードコア、疾走というかノイズパンク。これはハードコアのイメージに近い。全曲こんな感じかと思っていたらむしろこの曲だけが異質。
全体評価 ★★★★☆
名盤の貫禄がある。思ったより全然メロディアスで聞きやすかった。それこそハイスタのメイキングロードとか、そんな感じに近い。これが大本なのかな。1989年作か。90年代初頭はこんな空気感だったかもしれない。バッドレリジョンのノーコントロールも89年。ずいぶん前に聞いたきりだがもっと哀愁というかマイナー調の曲があったような印象。このアルバムはなんというかメロディが明るいというか勢いがある。健康的でアスレチック、肉体の躍動を感じる。元気が出るアルバム。