6.ソロプレイで楽器の限界に挑戦し続ける = JAKE SHIMABUKURO
ジェイク・シマブクロはハワイ州出身の日系5世です。ウクレレプレイヤーおよび作曲家で、日本の映画「フラガール」や「サイドウェイズ」のサントラも手掛けました。そのプレイはウクレレという楽器の可能性を拡げるもので、ウクレレに対する印象が変わります。先日紹介したバルトロメイ・ビットマンのように、ジェイクも伝統音楽・楽器に新しい試みを持ち込んでいるプレイヤーの一人です。他にもウクレレ1本でQUEENのボヘミアンラプソディをカバーしたり、面白い挑戦を続けています。テクニックや新しい挑戦だけでなく、作曲家として美しいメロディーを作るセンスも抜群です。
ハワイ音楽は独特の陽気さとリラックスしたムードを持っています。ジェイクも自分の音楽にロックテイストを持ち込んでいますが、ウクレレという楽器の特性やハワイ音楽のルーツを感じることができる音楽を奏でています。ウクレレはギターに比べると残響音が少なく、音域も狭いのですが、エフェクターや奏法を駆使して自由な音世界を作っています。音楽は制約があったほうが良いものが生まれるという話もありますが、まさにウクレレという楽器の制約があるからこそ様々な新しい試みが浮かんでくるのかもしれません。
もう一人、新世代のウクレレ奏者のタイマネを。彼女も従来のウクレレの枠を超えた音楽を追求しているアーティストです。
ウクレレ弾き語りも一曲。ハワイ音楽を代表する歌手、 Israel "IZ" Kamakawiwoʻoleの「Somewhere over the Rainbow」はハワイで今も日常的に流れています。
ハワイ音楽についてはこちらの記事でも取り上げています。
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今度はアコースティックギターに目を向けて、楽器の可能性を広げているソロプレイヤーを何人か紹介しましょう。イギリスのGareth Peasonはカントリーやロックンロールをすごい速さでプレイしながら、それでいて音楽的な楽しさを失っていません。
イタリアのLuca Stricagnoliは変形特殊ギターで各種奏法を取り混ぜながら一人オーケストラのような超絶技巧と、卓越した編曲能力で楽しませてくれます。
少し上の世代だと「ギターの神様」Tommy EmmanuelやMichael Hedgesといったベテランプレイヤーがいます。バンドアンサンブルはより複雑なハーモニーを作ることができますが、ソロプレイには小宇宙のような美と緊張感があります。