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Vektor / Terminal Redux(2016、US)

スラッシュ名盤度 ★★★★★

これは凄い! Voivodにも通じる奇妙な和音(ジャズ由来っぽい感じ)を超高速で奏でるスラッシーな曲が続き、どんどんテンションが上がっていく前半~中盤。引っ掛かりがあるテクニカルなスラッシュながらプログレ的な変拍子感よりは直情的な疾走感、ヘドバンに最適なテンション高い音像が続く。かと思えば9曲目では突如スウェーデンのGhostにも通じる、北欧的な美メロが出てきて雰囲気が変わる。そしてまただんだんと疾走感を取り戻しアルバムが終わる。10曲ながら73分とかなり長尺で、テクニカルかつプログレッシブな感覚もありつつあくまで疾走感を音楽的快楽の源泉に持つスラッシュメタル。凄い。

Vektor(ベクター)は2002年にアリゾナ州テンペで結成されたUSのスラッシュメタルバンドで、現在はフィラデルフィアが拠点。プログレッシヴSFスラッシュメタルバンドを名乗っているけれどその名の通りの音像。本作も宇宙をテーマにした壮大なコンセプトアルバム、らしい。ジャケットも含め、音像からもコズミック感がありどこかへ旅立っていく感覚がある。これだけの音世界を築き上げているのは見事。

RYM(Rate Your Music)の年度別ベストメタルアルバムの常連でよく名前は見かけていて「いつか聞こう」と思っていたバンド。ようやく聞いてみたら期待通り、いや、期待以上の素晴らしい出来。これは愛聴盤になりますね。「プログレッシヴSFスラッシュメタル」というワードに少しでも心が動いた方は聞いてみて「おお!」と思うことを請け負います。おススメ太鼓判。

なお、「Voivodっぽいなぁ」と思ったら実際にVoivodのツアーサポートもしていたことがある様子。互いに交流があるんですね。むしろある時期からのVoivodは明らかに曲構造の複雑さが増してよりモダンになったような気がしているのだけれど、相互に影響を与えているのかも。

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