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59.メロディアスハードとプログレッシブメタルの融合 = DGM

DGMは1994年結成、1997年デビューのイタリアのプログレッシブ・メタルバンドです。バンド名は創設メンバーの頭文字、「Diego、Gianfranco、Maurizio」から。メンバーチェンジが多いバンドで創設メンバーはすでに誰も残っていませんが、2008年からはメンバーが安定しており、現在のラインナップで4枚のアルバムをリリースしています。こちらは2020年リリースのアルバム「Tragic Separation」からのナンバー。メロディアスハード(メロハー)の殿堂であるフロンティアレコードからのリリースで、フロンティアらしい王道メロハー=印象的でさわやかな歌メロ、アレンジに、このバンドがもともと持っている技巧的なプログレメタルが融合した独自性の高い音楽になっています。InsideOut(プログレメタル系に強いレーベル)からリリースしていたらこういう音楽性にはならなかったでしょう。フロンティアレーベルの強い色を感じます。そういえば最近出たブルーオイスターカルトの19年ぶりのニューアルバム「The Symbol Remains」もまさかのフロンティアレコードからのリリース。こちらもこのレーベルらしいポップさ、爽やかさが従来のBOCが持っていたクールなポップセンスと絡み合い素晴らしい出来でした。メロハーテイストを注入することで化けるバンドっているんですね。

さて、DGMに話を戻しましょう。イタリアらしいメロディアスに歌い上げるボーカルで、オペラティック。以前、イタリアン・プログレの回でも書きましたがイタリアのバンドは歌心がありますね。歌が上手いボーカルが多い。日常生活に歌が溶け込んでいる、何かあれば歌う、みたいな国民性があるようです。先ほど紹介したSurrenderはフロンティアレコードの色(=メロハー)が強めですが、プログレ・メタル色が強い曲も紹介しておきましょう。こちらも同じアルバムからのナンバーです。

かなり技巧派で、各楽器隊の見せ場がありながら歌メロもしっかり主張するという素晴らしいバランスです。現在のプログレメタルというスタイルの祖であるDream Theaterがそのスタイルを確立した名盤「Images and Words」を初めて聴いた時も同じような「テクニックとメロディの高次の融合」に驚きましたが、さらにその振れ幅が大きくなった音楽です。

最近気に入っているプログレメタルを他にもいくつか紹介しましょう。まずは先ほど名前を出した大御所Dream Theater。2019年のアルバム「Distance Over Time」からのリードトラック「Untethered Angel」です。

歴史の長いバンドなのでアルバムによってヘヴィの寄ったりメロディアスに寄ったりしていますが、リーダーであったドラマーのマイク・ポートノイが脱退してマイク・マンジーニが加入した2011年以降はメロディアスさが重視されている印象です。この曲はテクニックとメロディのバランスが良い感じですね。やはり大御所ならではの卓越した作曲能力を感じます。

メロディとテクニックの融合といってもメロディにはさまざまな種類があります。DGMはメロハーとの融合で強い独自性を出していますが、他にもいくつかハイレベルなバンドを紹介しましょう。

Persefoneは2001年結成のアンドラ公国のバンド。アンドラ公国というのはスペインとフランスの国境にある人口8万人ほどの小国で、アンドラ出身のメタルバンドは非常に珍しい存在です。この曲「No Faced Mindless」は2017年のアルバム「Aathma」からのナンバー、ボーカルは基本的にデス・ボイスですがバッキングがメロディの奔流、演奏力も作編曲能力もかなり高水準でスリリングです。途中で美しいピアノパートに移り変わるところなど、静と動、醜(攻撃性)と美の移り変わりがドラマティック。個人的に2000年代以降のプログレメタルの進化を感じて、このジャンルの新譜を積極的にチェックする動機になった曲の一つです。

続いて、アルバムレビューでも取り上げたHaken。2007年デビューのUKのバンドで今までに6枚のアルバムをリリースしています。

アルバムレビューでも絶賛していますが、「Virus」は2020年のプログレメタルの最先端であり最高峰のアルバムだと思います。こちらはアルバムの2曲目を飾る曲です。何か引っかかるものを感じたらぜひアルバムも聞いてみてください。

今回最後に紹介するのはUnprocessed、2013年結成2018年デビューのドイツの若手バンドで、現在2枚のアルバムをリリース、2019年のアルバム「Artificial Void」からのリードトラックです。

全員技巧派ですが、ボーカル兼ギターがすごい、弾きながら歌うという荒業をやってのけています。ルックスも相まってギターの革命児ジミヘンを彷彿とさせます。

さて、気に入ったバンドはあったでしょうか。最近のプログレバンドはこちらの記事でも紹介しています。それでは良いミュージックライフを。

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