見出し画像

Metallica ‎/ Load(1996)

Metallica6枚目のオリジナルアルバム、1996年リリース。問題作その3にして、衝撃度は一番だったかもしれない作品。「メタリカ学習帳」のとんでもなさも含めてなんとなくリアルタイムでは闇歴史扱いされることもあるアルバムですが、改めて聞き直すと良い曲は良いですね。メタルの枠を外して、もっと普遍的な「ロック」を追求した感じ。80年代のメタルバンド以外に、70年代、60年代のロックバンドもMetallicaのルーツにはあるわけで、またジェイムスはカントリーも好き(USのカントリーは日本におけるJ-POPみたいなもので、国内ではずっと人気があるし一度は通る)。そういう「より古いルーツ」からの影響をより表面化させつつ、自らが培ってきたメタル音楽の構築手法と組み合わせて新しいものを作ろうという実験性を感じます。ダウンチューニングとか、弦がたわんだ感じがグランジ・オルタナの影響も感じますが、もっと前のサイケデリックな感じもする。このアルバムセッション中にMotörheadのカバー曲をやっていたのは前回触れたとおりですが、Motörheadもけっこうサイケ色がありますよね。暴走する中にちょっと酩酊感があるというか。レミーはもともとジミヘンのローディとしてキャリアをスタートし、Hawkwindにいた人ですからサイケのど真ん中にいた人でもある。そのあたりの空気感は、一つの指標として合ったような気がします。あと、ジェイムスのカントリー志向が出た結果、サザンメタルというか、たとえばザックワイルドのPride & Grolyを彷彿させる曲(9,11)が入っていたり、あとはリッチーブラックモア感がある曲(Space Truckin’を彷彿させる8や13)っもあったり。バラエティに富んだ内容ながら、それぞれのルーツを感じさせる内容になっています。ちょっと新しい表現手法、音像が消化しきれず曲自体の出来にばらつきはあるものの、Metallicaサウンドを拡張した野心作。チャートでも評価されまくったし、「ブラックアルバムの次」でここまで攻めた、音楽性を拡張したアルバムを出したことでMetallicaはその地位を確固たるものにし、「メタラー」だけではない、より普遍的な「アメリカを代表するロックバンド」の一つへと成熟していきます。何より、これはメタラーから酷評される原因の一つでもあるんですが、音の密度が前作までに比べるとかなり薄い、聴きやすいんですよね。だから、聴き疲れない。これは一般知名度を得るうえで大事な要素だった気がします。

あと、ラーズのドラムがイキイキしています。たぶん、あまりに神経を研ぎ澄ませて作った2作で疲れたんじゃないでしょうか。ベーシスト交代で一番プレイスタイルに変化が出たのはラーズだったように思います。すごく神経を研ぎ澄ませていた、というか。このアルバムではその感じが薄まって、もっと自然に叩いている、ややレイドバックしている感じもします。バラエティに富んだリズムを叩いてみたかったのかもしれません。

シングルカットもされた「4.Until It Sleeps」は当時はモダンになったMVの印象も強かったですが、改めて聴くとスウェーデンのGhostに通じるものがありますね。どこかホラー、オカルト風味があるというか。カークがオカルトマニアなのは有名ですが、その影響かところどころホラーロック・ショックっく的なテイストが出てきます。Misfitsもカバーしているし。ゴシックメタルの要素。ただ、ゴシックから連想される「耽美的」というよりは、もう少しコミカルなホラーとか、オカルトな印象を受けます。MVは耽美的だったのでその印象もありましたが、音だけ聞くと結構明るい。ゴシックの典型的な音像である英国のParadice Lostとかより、Ghostに近いものを感じます。ラーズやカークがお気に入りバンドで「Ghost」の名を上げていますが、そもそも通底するものがあるんですね。

このアルバムからは、最もストーナー感の強い「Bleeding Me」をどうぞ。リアルタイムではあまり印象に残っていない(ここまで集中力が続かなかった)曲ですが、改めて聴くとカッコいい曲です。

スマホで聴きながら読みたい方はこちら(noteに戻ってくればYouTubeでバックグラウンド再生されます)。

1996リリース

★ つまらない
★★ 可もなく不可もなく
★★★ 悪くない
★★★★ 好き
★★★★★ 年間ベスト候補

1.Ain't My Bitch 5:04
ややゆるんだ感じのギター、ギターの音色はヘヴィというか少しゆったりしている
刻み感が薄いがグルーヴが増している
従来、あまりリフでは使わないチョーキングが混じっているからか
カーク的といえばカーク的なんだが
ドラムが一定の安定したリズムを叩いている、ストレートな展開
と思いきや途中でリフが走り出す、この曲自体は音作りがモダンになった感じはあるな
音色が洗練されている、ベースからはやはりあまりグルーブを感じない
コード進行も違うかなぁ、ちょっとコード展開感が強い
とはいえ低音で引きずるようなリフもあるんだが
うーん、ジェームスのリフまでチョーキングを使うのは珍しいな
後、ギターの音が低音が太くなっている、歪んではいるんだがなんというかサザンロック的な音というか
US色が強くなった、とも言えるかも、アメリカンな音の比重が強い
なんとなくノリが今までと違う、BPMも違うか
あ、ドラムのリズムが跳ね気味なんだ、ちょっと跳ねているというか軽快
このパターン、ノリは今まであまりないかも、ライブ的
後は歌メロだな、曲展開が早い、リズムがところどころずれる、ブレイクやユニゾンで意表を突くところはある
最後、もう一度曲が始まると見せかけて終わる、というのはよくメタリカが使うパターン
★★★★

2.2 X 4 5:28
2曲目の頭で音が小さく感じるパターンは踏襲
1曲目を大きくしてるのかな、音圧の落差がある
これはワウも使った、カークのソロっぽいリフ、これは今までジェームスは弾かなかったな
曲の途中、間奏部とかではあったけれど、曲の頭でこういうフレーズは今までなかった
サイケ色が強い、ブリッジもかなりサイケ
70年代ハードロック的サイケは今までも取り入れていたが、60年代サイケまで回帰したような曲だな
シタールのような弦のゆるみといい
逆回転したようなコーラス、幻覚でゆがむような音
いわゆるストーナーは音そのものはあまりぐにゃぐにゃしない、かっちりしたリフの反復による酩酊
サバスもそうだよね、それより先祖返りした感じ
なんというかノリがゆるやか、コード進行はそれほど明るくないが、どちらかと言えば明るい、ハッピーな雰囲気
ジェームスがコードをかき鳴らしている、やはりグルーヴというか、それぞれが違うリズムを奏でて多層化する構造は似ている
そういう「メタリカ語法」もう少し広い「ロック」のフォーマットで試してみたくなったのだろうか
歌メロがメロディアス、音程の上下移動が多い
リズムも跳ねている
★★★

3.The House Jack Built 6:38
ゆったりとしてアルペジオ、下から登ってくるような歌、低音から入ってくる
本当に60年代間があるな、久しぶりに聞き直すが1曲目は覚えているが2曲目3曲目ああまり覚えていない
リアルタイムで買った記憶はあるが、学習帳とかついていなかったっけ
あれはReloadの方だったかな
なんだかとにかく話題にはなった記憶がある
聴いても別に不快ではないが、あまり印象に残っていない
低音でけだるいボーカルが続く、リフもあまりなくアルペジオとコードがからむ
ややリフというか、刻む感じは出てくるがかなり控えめ
ドラムの音も小さい、ベースは色気なくルートとリズムを刻んでいる
ワウギターが空間を埋めてくる
歌メロが展開する、何をやろうとしたんだろう、ブリットポップみたいなのやりたかったんだろうか
一時期OASISが好きと言っていたし
リズムもブレイクはあるもののけっこう単調というか、変化が乏しい
ドローン感はあるものの、反復による快感までは感じない
トーキングモジュレーターによるソロが入る、変な音、人が嘔吐しかけているようにも聞こえる
バカにされてる気もするなぁ笑
かなり実験的、ホワイトアルバム(ビートルズ)的な
ボーカルが声を張り上げる、この曲は何をしたかったのか今一つ分からない
リズムの組み合わせも中途半端だし、ギターの音を重ねる? それも今一つ
変な音が入った変な曲、歌メロ自体は少し魅力があるけれど
★★☆

4.Until It Sleeps 4:29
インディーロックのような始まり方、ゴシックか
IDLE HANDSみたいだな、これはマイナーすぎるか、まぁダンジグとか
Misfits好きだからそのあたりからか
Ghost好きとか言っていたのも分かる、そういえばそもそもゴシックとかホラーっぽい要素はあったんだよね
この曲はそういう路線「ホラー・(ポップ)・ロック」路線だなぁ
こういうホラーっぽい雰囲気があるポップな曲ってジューダスプリーストにもあるよね
プリーストもけっこう変な曲多いからな
この曲も刻みやリフは穏やか、ボーカルは変わらないがジェイムスのギターは別人のようだ
カークはあまり変わっていない、むしろギターはカーク色が強い
ただ、別にカークが望んだわけじゃないだろうな、カークはネオクラシカルなフレーズも意外と入れるし
一面として、グルーヴを出すためにルーズなフレーズとかを「かっちりした」ジェイムスに合わせていっていたから
両方ルーズになってしまうとグルーヴが減る
ベースが出てくる、ドラムはけっこう軽快
ドラムはイキイキしているな、全体的に
改めて聴くとGhost的な曲、メタリカっぽくはない
★★★★

5.King Nothing 5:28
ベースのうねりから、ベースはなんというかリズムがのっぺりしてるなぁ
整理されて、きっちりしたリズムをやる人なんだろうけれど、グルーヴはあまりない
ドラムのグルーヴが入ってきて曲が動き出す
ギターが左右でブルージーなフレーズに、曲の緩急がかなりドラムとボーカルに頼っている
うーん、グランジってこういう感じだったっけ
メタルとして扱うから変なんだよな、ギターロックの進化ではあったけれど、どちらかといえば回帰というか
比較的ゆったりしたリフ
ドラムのカッチリ感は強い、本当にドラムはいろいろなパターンを叩いている
ギターによって曲が展開していき、アクセントをドラムがつける
ベースが途中で入ってくる、整理されたおとなしい音、丁寧なプレイとも言える
ボーカルの温度が上がる、ドラムが入ってくる
これ、ジェイムスも歌うときは楽しかったのかなぁ、ライブ聞いて歌が上手くなったのに驚いたが、ボーカルとしてはかなりいろいろなことに挑戦している
音域や音程移動、声色のパターンが増えた
★★★☆

6.Hero Of The Day 4:21
アルペジオ、アコースティックな音
ベースが低音を支える
完全にバラード、なんというかパワーポップバンド的
インディーロックというか、爽やかな音像
こんな曲あったっけ
朝の光、微睡のようなアルペジオ、ジェイムスの歌い方も静か、というか恐る恐るというか、、、
今までメタリカメンバーはソロアルバムを出していないが、メンバー誰かのソロアルバム的な曲
「本体でできないからやってみました」的な
途中からリフの刻みが入ってくる、ただ、ギターの音がかなり上ずっている
これ、グランジの影響なのかなぁ、確かに当時こういう音が流行っていたかも
モトリーのジェネレーションスワインもだいぶアレな出来だった記憶があるが(曲をグリッターぐらいしか覚えていない)
なんだろうなぁ、何か音に迫力がない
それなりにギターフレーズは展開したりしているが、、、エッジがあまり感じられない
★★

7.Bleeding Me 8:18
アルペジオとベースが絡み合う
このアルバムは聞きやすいなぁ、密度が薄いというか
少なくとも5枚目まではかなり集中して聴くことを要求されたんだよね、気を抜くとおいて行かれるというか
心地よいんだけど酔っぱらって聞くとすぐ酩酊するというか、音の渦に飲まれる
普段はそれでいいのだけれど、こうしてレビューを書こうとするとかなり真剣さを求められるというか
このアルバムはその感じはない、ちょっとした退屈感もあるが、不快まではいかない(ちょっと3曲目のソロの音は不快だったが)
単に心地よい、心地よく流れていく
このアクのなさは特徴なのかもしれないな、イージーリスイングメタルというか
曲の輪郭とか、ところどころでやる気を出す感じとか、メタルとしての輪郭はあるが、ぐいぐい来る感じはない
「酩酊感」をまったく違うアプローチで作ってみた、という実験的なものかもしれない
たぶん、「こういう音楽(を聴いた時の感覚)が好き」というのは変わらない、アーティストのコアにあって
それを全然違うアプローチでやってみたんだろうな
間奏部分のギターソロの音は美しいな
リフがどうも音の塊感があるというか、背景の山が動いているような、しっかり前面に出てこない
歌メロはブルージー
8分もあるのでそれなりに展開していく、これは00年代以降のヘヴィロックにも通じるかも、マストドンとか
ちょっとオーガニックなサウンドで複雑な展開をしていく、という原型的な曲かもしれない
今までもその要素は実はあった(1stからあった)が、それが分かりやすく出ているかも
分かりやすくというか、今までの曲に比べるとシンプルなんだよな
ジェイムスの刻み、リフ展開がかなりゆるやかになっているし、歌メロはそこそこ展開していく
ただ、この曲はストーナーだな、きちんとリフもあるし、ああ、キャンドルマスとかスリープ的
案外、この曲は発明だったのかもしれない、こういうギターの音でこういうメロディの入れ方で反復する
60年代サイケまで一度戻ってもう一度ロック、ハードロックに取り入れてみた、と
70年代ドゥームメタルの再発明というか、60年代まで戻ってそのルーツから再構築してみた感じ
最後、歌メロが上昇するのはいらなかった気がするが、低いままで終わった方が良かったんじゃないかな
★★★★

8.Cure 4:54
ドラム、リフ、これ、ジェイムスのリフか
ゆるんでダルイ感じだがリズムがきっちりしているリフ
ボーカルがつぶやくような、ラップのような歯切れの良い感じより呟きに近い
ハンドクラップみたいな音も入ってきたな、インベーダーゲームのようなリフ
ディスコサウンドかこれ
音楽史の中の(とはいってもロックの歴史は56年からだからこの時点では40年分だが)いろいろなレガシーを探ってみた感じか
いや、なんでインベーダーを想起したかと思えばメイデンのインベーダーだ、魔力の刻印の1曲目の
あれ、オープニングなのに今まで一度もライブで演奏されていないんだよね、変なノリの曲、リフが変
あのリフに似ている、なにか変な音階
これはちょっとユーモラスだな、ハンドクラップもあるし、ディスコ的なんだろう
ディスコの曲って変な音程、印象に残る音程を使ったりする、ジンギスカンとか
ガレージバンドとかもこういう音程を使う気もする
いや、スペーストラッキンだ! パープルの
それかー、宇宙か
インベーダー違うわ、なるほど
70年代ハードロック回帰か
★★★

9.Poor Twisted Me 4:00
ゆったりしたハードロックなリフ、ブギか
いや、さらに手数が半分、ゆったりしている
すいつくようなリフ、ジャムセッション的
ジャムバンドみたいなのをやりたかったんだろうか、PhishとかGov't Muleとか
途中から軽快なリズムに、アメリカンハードロックテイスト
そんなに悪くはないが、この曲はメタリカ感がものすごく薄いな、声もエフェクトがかかっているし
いきなり流したらバンド名当てられない気がする
Pride&Gloryにも近いな、ザックワイルドの、というかザックワイルド感が強い
まぁ、曲としての魅力はあるが、、、
★★★☆

10.Wasting My Hate 3:57
歌メロからスタート、そこからリフが入ってくる
これはメタリカらしい構成、ギターの音は変わっているが従来のメタリカっぽい
ジェイムスも裏打ちのリフに変わるなぁ、ジェイムスは残ってカークだけ展開するわけじゃないのか
これはリフが引っ張る曲、ドラムも拍を変えてリズムアクセントを細かく入れるがリフが主体
ドラムがおとなしく聞こえる、そうか、今までの曲はラーズが楽しく叩けるっていうのがあったんだな
この曲はけっこうかっちりしている、とはいえ、コード進行はけっこう動くし、音は塊感があるグランジっぽさがあるが
疾走感もそこそこある、そこに従来はなかったメロディアスな感じもある
これは前作に入っていてもおかしくないな、前作からの連続した音像
★★★★

11.Mama Said 5:19
アコギの弾き語りでスタート、オルタナティブフォーク的
ああ、オルタナフォークとドゥームのコラボをメタリカはこのアルバムですでにやっていたのか
ジェイムスの歌い方とか佇まいはカントリー歌手的なところもあるからな、ルックス含め
途中ちょっとバンドサウンドが入ってくるが、かなりカントリーの音像
カークが妙な音でソロを入れてくる、これは上手いな、音響的
カントリーメタル、的な音像だが、、メタル感はあまりないかなぁ
ギターとかベースの音が重い、ので単なるロックよりは重心が低くて不穏な感じはあるが
これはベースがイキイキしてるな
色々な音が入ってくる、それぞれのリズムが絡み合う、ハーモニーも絡み合う
この「絡み合う」感じはメタリカらしさ
かなり本格的にカントリーをやってるな、楽器隊とか音色の選び方といい
この曲どうこうはさておき、後々の萌芽になるような曲ではあるのかも
時代的には早いが、、いや、やはりPride&Gloryの後か
ザックワイルド的、9曲目よりはこの曲の方がメタリカ感がある
メタリカとしては新機軸だが完成度は高い
★★★★

12.Thorn Within 5:51
うねるようなリフ、ドゥームな感じなのだが、音色がけだるい
ゴシックな感じ、ニューロシスとかもこうか
ボーカルがクリアに入ってくる、慟哭感がない
ただ、このアルバムの後半部分はけっこう今のニューコアとか、メタルコアに影響を与えた部分はあるのかもな
ボーカルが重なっていく、ポリフォニー
リズムよりメロディの多層化
リズムは控えめ、少し引いて全体を見ている
全体が丁寧に盛り上げていく、少しギターが前面に出てくる
ただ、肝心の反復する部分がそれほど気持ちよくない、ボーカルの多層化なのだろうけれど
最後にコードが展開していくところは面白い、なんだろう、これもオルタナフォークとかの多層コーラスを意識したのかな
ゴシックか、メタリカなりのクワイアというか
後半、リフも入って展開していく、ややルーズなリフ、この弦がゆるい感じはダウンチューニングしてるのかな
コーラスとギターが絡み合い、ドラムも絡み合うがどこかルーズな感じがする
★★★

13.Ronnie 5:17
これDIOにささげた曲なんだろうか、タイトル的に
おお、確かにレインボウのリフを簡素化した、パロディのようなリフかも
ああ、RAINBOWだ、ギターの音がリッチーっぽさがある、太いというか
だいぶ簡素化している、骨格だけにしている
ボーカルラインは何とも言えないなぁ、ああ、でもコーラスとかは様式美っぽい
パロディというか、ジャムってる感じがする
そこにジェイムスならではの節回しというか、ややカントリー的な節回しも入ってくる
でもこの曲の「RAINBOWっぽさ」って説明が難しいかもなぁ
フォリナーみたいな乾いた感じもあるしな、ダウントゥアースの頃のアメリカン意識していたレインボウにならやや近いのが分かりやすいか(ロニーじゃなくてグラハムだけど)
ギターの音色と節回しなんだよな、あとギターリフのフレーズ
ストラト使ったのかな、あまりストラト弾いてるイメージないけど、ジェイムスは特に
ペンタトニックのリフ、けっこうリッチーってソラドレを使ったリフ多いからね
まぁ、AC/DCとかもそうだけれど、70年代HRのリフは多い
後はギターの音の太さと絡み合うと、なんとなくグランジミーツRAINBOW的な音像になる
まぁ、このタイトルだからそれを強く連想するのもあるだろうが
お遊び的で面白い曲
★★★

14.The Outlaw Torn 9:48
引きずるようなリフが入ってくる、うねる音、ダウンチューニングかな
これは大曲だな、ああ、これもストーナー感がある
出だしからしてストーナー、7と14はけっこうその後への影響がでかいかも
Dizzy Mizz LizzyのAlter Echoにつながる音像の萌芽、DMLのAlter Echoに影響を与えた10枚にMetallicaのHardwiredが選ばれていて、そこからこういう流れの源流はメタリカじゃないかという論考があったのもメタリカを聞き直したきっかけなのだけれど、それを直接的に感じる
案外、1stから(Phantom Lord)サイケ感はあったんだけれど、そりゃホークウィンドとかのスペースロックの流れも聴いているだろうし、ただ、それがここまであからさまに00年代の音に繋がる感じになったのはこのアルバムからかもな
ただ、かなりローテンポでそれほど展開しない、酩酊感は強いが曲へのアイデアの盛り込みはどうなんだろう
5分ぐらいまで同じようなテンション、反復自体は得意なバンドだが、ちょっと音の勢いが少ないかも
ベースがゴリゴリしているが、うーん、これはベースもグルーヴが弱いかもなあ
なんでニューステッド加入させたのだろう、いろいろタイミングとかはあったにせよ、何のケミストリーを感じたんだろうなぁ
単体のプレイヤーとしていい悪いではなく、そんなにラーズのリズムとジェイムスのリフとのリズムの相性がよくないような気もするが
展開してパートが広がる、確かに現代ヘヴィロックに繋がる、原型、轟音系で美しさもありつつじわじわと展開する
HUMのInletとかにも通じる、ただ、歌メロにHUMのような煌めきはないが
じっくりと展開して終わっていく、この路線をもっと練りこんでいって今があるのかもな
実験的な萌芽を感じる曲、完成度は7のほうが高く感じた
★★★☆

全体評価
★★★
半分ぐらい実験的、1,4,7,10,11(12)だけでいいかな
そのあたりは進化と次への萌芽を感じる、他の曲はやってみました感を感じる曲も多い
ジャムセッションの中から曲を練り上げていった感じもある
印象的なのはラーズのドラムがけっこうイキイキしている、後ろにいて全体を統制するようなドラムがアルバムでは多かったが曲を引っ張っていくようなところもある
その分、ギターは前面にあまり出ない、リフが引っ張っていく曲が少ない
このころはどういうパワーバランスだったんだろう、各自の「メタル以外の趣味」が発露したアルバムだったんだろうか
音の密度が薄い、前作までの緊迫感はなく、気楽には聞ける
「イージーリスニングメタル」というか、それなりにエッジはあるし耳を惹く瞬間もあるが濃度が薄い
後、ダウンチューニングを使っているのか、弦が緩んだ感じがする、音が塊感というか、きらびやかさが少ない
むしろ明るい感じのする曲も多いのだけれど、パンチにかける、音作りも今一つ平温な感じ
ただ、00年代以降のヘヴィロックに直接的に繋がる音像(7、12)もあった、かなりストーナー
それから、今までは70年代HRの影響を感じて、たとえばサイケにしてもたぶん70年代HRを経由したと思われたのが、その70年代HRのさらにルーツである60年代までさかのぼった感じもある、2とか
一度ブラックアルバムで完成形になってしまったんだろう、そこから拡散するアルバム
ただ、拡散の方向が散漫で、各曲の完成度が高め切れていないものもある
とはいえ、新機軸が生まれたのは7や11なんだろう
4のメロディセンスも今聴くとなかなか、ゴシックメタルへの接近も感じる
12なんかはメタルコア、ニューコア当たりの音像にも近い
後、ディープパープルというかリッチーブラックモアの影響を感じる曲が8,13と2曲もあったのは驚いた
DPのようなジャムセッション、インプロができるバンドになりたかったのだろうか
色々と自由に好きなことをやった感じで、「METALLICAという枠」の中にいろいろなものを詰め込んでみた作品
今聴いても散漫だが、その後のメタルの歴史を見るといくつか萌芽となったような音像もある
あと、案外ザックワイルド、Pride&Glory(1994)の影響範囲もでかいんじゃないか、とも改めて思った
あのアルバム、リアルタイムで衝撃だったんだよな、カントリーとメタルをけっこう深い次元で融合したというか
そうか、Loadに繋がっていたのか、一つ個人的な謎が解けた
アメリカのカントリーミュージックを組み合わせたフォークメタルってあまりないなぁと思っていたのだけれど、11とかそうだよね、9も(これはザックワイルド色が強いが)

ヒアリング環境
朝・家・ヘッドホン

いいなと思ったら応援しよう!