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寺田鉄平個展「瀬戸白」

たった一音爪弾いただけで観客の心を揺さぶるギタリストがいる。
ほんの一音鳴らしただけでグルーヴを感じさせてしまうベーシストも存在する。
その一瞬で直観に作用する力には抗えない。

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寺田鉄平「窯変織部茶碗」

寺田鉄平さんの陶芸作品はそういったものです。
もちろんそれは歴史的・技術的な裏付けも大いに有るのですが、そういった情報は二次的なものであって、まず最初に飛び込んでくる「印象」。とにかくここでガツンとやられてしまう。焼物に対する予備知識があろうとなかろうと響く人にはとことん響いてしまう。

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寺田鉄平「瀬戸黒茶碗」

そしてその先にあるテクニカルな諸々。
薪窯での焚き方による色味、土味、造形の妙味。
最初の印象に惹かれて手に取れば、見れば見るほど情報が奥深い。

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寺田鉄平「黒織部わらや 写茶碗」

更には使う瞬間。
使う直前に水を通すと、色彩がぐっと引き締まり色気が増す。
何をどう盛り付けるか、そして頂く瞬間にたまらなくわくわくする。

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寺田鉄平「灰釉天目茶碗」

こうやって文字にしてみると器について当たり前の事しか書いていないような気がしますが、この「当たり前のこと」の奥深さとか喜びは、本当にシビアで求めることが難しい領域でもあります。
「伝統」と十把一絡げに言われる世の中ですが、守り続けるだけの物は「伝承」であり、伝統には常に歴史を受け止めた上での革新がついて回ります。

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寺田鉄平「織部向付」

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寺田鉄平「織部蓋物」

今回の個展タイトルともなっている「瀬戸白」シリーズはまさにその最先端にあり、かつて桃山時代の陶工たちがあれやこれやと苦心して素晴らしい焼物を後世に残した感覚に重なる、重要な作品とここで言い切ります。

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寺田鉄平「瀬戸白茶碗」

寺田さんの作品に在る歴史的文脈とシームレスに繋がる革新は、手に取って使ってみることで、使い続けることでその意味が身体に染み込むようです。
これを「伝統」と成すのは、これからの歴史を紡ぐのは、今まさにこれを手にする我々に他なりません。

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寺田鉄平「窯変織部水指」

ここで瀬戸や織部といった焼物の歴史性について述べるのは蛇足となりましょう。
兎にも角にも、お見逃しなく。
そして手に取るべき作品がここにあります。

作品撮影:矢島愛子(白白庵/Teaist)

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待望の白白庵初個展!

寺田 鉄平 個展 「瀬戸白」

PAKUPAKUAN presents
Ceramic Artist TERADA Teppei solo exhibition
“SETO SHIRO”

日程 2020年2月1日(土)~19日(水)
   *木曜定休

時間 11:00~20:00

会場 白白庵(ぱくぱくあん)
〒106-0072 東京都港区南青山二丁目17-14
TEL&FAX 03-3402-3021

info@pakupakuan.jp

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威風堂々、機略縦横

世代を牽引する作り手が 遂に、白白庵初個展。
漫画『へうげもの』(山田芳裕・講談社)スピンオフ・激陶者集団「へうげ十作」の中でも屈指の実力派として存在を発揮し、今や世代を代表する陶芸家としての地位を固めつつある、瀬戸の若大将こと寺田鉄平。
軽妙でありながらも重厚感を感じさせる織部焼や瀬戸茶盌など、焼き物ファンのみならずビギナーにも高い人気を誇ります。
そんな彼が満を持して白白庵での初個展を行うにあたり、新しく作り出したのが「瀬戸白」と名付けられたシリーズ。
瀬戸の粘土を焼いて白い釉薬を開発し、「黒」のイメージが強い彼の作品に新味を与えています。
いざ、お披露目の時!!

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【出展作家】 Artist

寺田 鉄平

陶芸家 / 愛知県在住
1975 生まれ
1998 東京造形大学彫刻科卒業
2000 朝日現代クラフト展・入選
2006 朝日陶芸展・入選
    ユネスコ「The Blue of Samarkand」陶芸シンポジウム招待(ウズベキスタン)
2009 京畿道世界陶磁ビエンナーレ(韓国)・入選
2011 第9回国際陶磁器展美濃(多治見市)・入選
    第13回東京・ニューヨーク姉妹都市交流陶芸コンテスト(ニューヨーク)・佳作
2013・2016 第1回・2回藤四郎トリエンナーレ(瀬戸市)・入選
https://www.teradabizan.com/teppei

TERADA Teppei

Ceramic artist / resident in AICHI pref.
1975 Born in Seto City, Aichi Prefecture
1998 Graduated from Sculpture Major – Department of Fine Arts, Tokyo Zokei University
2000 Selected, “ASAHI MODERN CRAFT EXHIBITION”
2006 Selected, “Asahi Ceramic Art Exhibition”
    Invited to Ceramic Symposium of UNESCO “The Blue of Samarkand” (Uzbekistan)
2009 Selected, “Gyeonggi International Ceramic Biennale” (South Korea)
2011 Selected, “The 9th International Ceramic Competition Mino” (Tajimi City, Gifu)
    Fine Work, “13th Tokyo - New York Friendship Ceramic Competition” (New York, USA)
2013 Selected, “The 1st TOSHIRO Triennale” (Seto City, Aichi) (’16)

【企画・ディレクション】Direction

石橋 圭吾 (白白庵) ISHIBASHI Keigo (PAKUPAKUAN)

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http://www.pakupakuan.jp/exhibition/setoshiro.html

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