童話「ねこのこのね」
ねこは、いつも1人になりたがっていました。というよりも、いつも1人でした。それはさみしいからでもなく、苦しいからでもなく、ただ眠たかったから。
誰にも会わず、ずっと眠っていたかった。
誰にも会わず、ずっと眠っていたがった。
誰にも会わず、すっと眠りにつきたかった。
ある朝、起きたら夜でした。夜起きたのに、朝起きたと思っていた。
夜なのに朝のような、朝のような夜。
そんな日のお話です。
にゃあー。
ねこは独り言を言いました。それは、本当は独り言でなくて、実は空に向かって話してました。空は、いつも気楽な顔してる。いつも素直だし。だから、空だけは信じられる。そんな気がしてます。
ねえ、僕は今の場所から100キロ離れた場所に住みたいなぁって思ったんだけど、どう思う?
うん!いいと思うよ。たまには違う場所に住まなきゃ。でも100キロじゃ、そんなに今と変わらないかもよ。
え、じゃあ何キロくらいがいいかな?
うーん、102.15352キロくらいはベストな気はするけど。。でも、もしかすると距離の問題じゃないかもしれない。
どんな問題??
方向の問題かもしれないよ。水平方向でなくって垂直方向に向かうとか?
そうなんだ。上か下どっちがいいかな??
上に行くには、僕が力になってあげられるし、下に行くにはもぐら君に頼めば大丈夫な気がするよ。
じゃあ、空くん、僕を上に連れてって。
いいよー!
と空が言った瞬間、竜巻が起こりました。竜巻の風は、ねこを巻き込んで、ぐるぐるぐるぐる回って、雲の上に。
あまりにぐるぐるぐるぐる回ったので、ねこは雲の上に着いた時、目を回してしまいました。そして、とてもお腹が空きました。
ぐるぐるぐるぐるー
ねこのお腹の音が鳴りました。その音は、雲の上に住んでいたゆきちゃんの耳に届きました。
ゆきちゃんが、ねこに話しかけます。
お腹空いてるの?ねこさん。
うん、竜巻でぐるぐる回ったせいで、お腹までぐるぐるになって、ぐるぐるぐるぐるってお腹が鳴っちゃったたたたたた。
あれ、おかしいなああああ。
何かおかしいよよよよよ。
雲の上に着いたねこは、目を回しすぎたせいで、話す言葉まで回っちゃうようになりました。
どうしよううううう。
ゆきちゃんは、優しいから親子丼をねこに作ってあげました。
これ食べて元気になって。美味しいよ。
ありがとう、ゆきちゃん。
ねこは、親子丼をぱくぱく食べました。
でも、本当はばくばく食べたかったけど、ゆきちゃんの前だからぱくぱくにしておきました。
でも、本当はおかわりをしたかったけど、ゆきちゃんの前だからひまわりにしておきました。
でも、本当はぷくぷくにしたかったけど、ゆきちゃんの前だからぽこぽこにしておきました。
そしたら、宝物が土からというのは間違えで、雲から宝物がでてきました。
宝物は、かいじゅうのぬいぐるみでした。ねこは、かいじゅうが好きなのです。いつも大事に家のベッドの上に取ってあるのに、どうしてここにあるのかな。
ねこは、そう思ったけど、考えるのもやめました。
だって、空くんがいてゆきちゃんもいて、親子丼食べて、とても幸せな気分だったので。
だんだん眠くなってきたので、雲の上のゆきちゃんの家で眠りました。
おやすみなさい。