We Are Diamond Dogs

どうやら誰にでも忘れられない人がいるらしい。
未練があるとかそういった類の話ではなく、どうか幸せになってほしいと願わずにはいられない相手がいる。結婚して、パートナーと幸せに暮らしている人であっても、だ。

恋愛において、多くの人が、小さな火種に風を送り、起こった火の勢いを維持する努力をしていると思っている。
しかし人生で1度は、若さ故か、何も手を加えずとも勝手に燃え盛り、自分ではもう消せないくらいの大火になっていることがある。
ただ炎のゆらぎを眺めることしかできない。
そんな恋愛。

火事跡にもう一度火が起きることはもうないだろうけど、倒壊した家屋が撤去されることもない。
いつの間にか思い出の灰でダイアモンドができていて、綺麗に引き出しに保管されている。
たまに眺めては、また会いたいなんて思う。
そんな失恋。

打算的な自分は家出をしてしまうくらい、「あなたに私の人生めちゃくちゃにしてほしい」と思えるくらい、また人を好きになってみたい。
「それなら」と思う恋ではなく
「それでも」と思う恋。

ときどき、何かの拍子で
ただ会いたくなる。
ただ、会いたい。
でも会えないからせめて祈る。
どうか幸せでいてくださいと。


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