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【他の人よりチョット詳しくなれる】フィンランドのカリキュラムには何が書かれているの?
日本では『学習指導要領』と呼ばれる、国の定めたカリキュラムがあります。
フィンランドでも『National Core Curriculum』(以下ではNCCと略記)という、国から出されたカリキュラムがあります。
これまで、フィンランドの教育の「スゴイところ」「ステキなところ」は、たくさんの情報からご存知のことと思います。
では、NCCにはどのようなことが書かれているのでしょうか?
今回はNCCの概要についてまとめます!
「フィンランドの基礎学校はこのようなカリキュラムのもとで動いているようだ」と、チョットだけくわしくなっちゃいましょう!
NCCの目次
1. ローカルカリキュラムの意義とローカルカリキュラムのプロセス
2. 一般的知識と能力の基盤としての基礎教育
3. 基礎教育の使命と一般的目標
4. 総合基礎教育の運営文化
5. 学習とウェルビーイングを促進することを目的とした学校の活動
6. 評価
7. 学習と学校の出席の支援
8. 児童生徒の福祉
9. 言語と文化の特別な課題
10. バイリンガル教育
11. 特定の哲学的または教育学的システムを基盤とした基礎教育
12. 基礎教育における最適な学習
13. 1-2年生
14. 3-6年生
15. 7-9年生
ちなみに、日本の『小学校学習指導要領平成29年告示』の目次は大まかに、
前文
第1章 総則
第2章 各教科
第3章 特別の教科 道徳
第4章 外国語活動
第5章 総合的な学習の時間
第6章 特別活動
です。
単純に見比べてみると、NCCは各学年の各教科に関する項目の前に、(学習指導要領でいう)「総則」の部分を重点的に示しているという違いが目につきますね!
そう!NCCは学術書みたいに読み応えのある書物なのです!
では、NCCの内容を少しだけみてみましょう。
1.ローカルカリキュラムの意義とローカルカリキュラムのプロセス
基礎教育法や政令、NCC2014等に基づく、ローカルカリキュラムの作成や評価、開発、決定事項について書かれている。
簡単にまとめると、NCCの大切にしていることが書かれています!
2.一般的知識と能力の基盤としての基礎教育
「教育組織の遵守すべき義務」や「基礎教育の根底にある価値観」、「学習のコンセプト」について書かれている。
簡単にまとめると、ルールと価値観が書かれています!
3.基礎教育の使命と一般的目標
「基礎教育の使命」や「教育の国家目標」、「教科横断的なコンピテンス(Transversal Competence)」について書かれている。
ここ、「キー・コンピテンシー」や「21世紀型スキル」、「生きる力」、「主体的・対話的で深い学び」と関連します!
4.総合基礎教育の運営文化
「学校文化の意義とその発展」や「学校文化の発展を導く原則」、「学習環境と活動方法」、「統合的指導と学際的な学習モジュール」について書かれている。
ここ、「Phenomenon-Based Learning」、日本でいう「総合的な学習(探究の時間)」と関連があります!
5.学習とウェルビーイングを促進することを目的とした学校の活動
教育機関や教育関係者の責任、家庭を含む学校内外の協力、児童生徒の不適切な行動や懲戒処分について、学年に依存しない個人の学習計画に合わせて学習する柔軟な基礎教育、また「教育の目標を支える学校外の活動」について書かれている。
簡単にいうと、学校は何をするかが書かれています!
6.評価
「評価の目的と学習を支える評価文化」や「評価の性質と一般的原則」、「評価の対象」について書かれている。
何を評価するか、何のために評価するかが書かれています!
7.学習と学校の出席の支援
特別支援教育について書かれている。
ここを読んで、特別支援は奥が深いと思いました!
またフィンランドの特別支援教育についてもまとめてみます!
8.児童生徒の福祉
児童生徒の福祉(welfare)を支える学校内外の支援について書かれている。
Well-beingやWelfare、ややこしいですよね。
ここも今後まとめて、要検討ですね…。
9.言語と文化の特別な課題
サーミ語(Sámi)やロマ語(Roma)、手話、多言語を用いる児童生徒への支援について書かれている。
公用語を複数持つ国ならではの項目と言いましょうか。
大切なことですよね!
10.バイリンガル教育
バイリンガル教育の目的や目標について書かれている。
ヨーロッパでは3ヶ国語の習得が目指されているようですよ!
11.特定の哲学的または教育学的システムを基盤とした基礎教育
政府による認可を得た上で、基礎教育を団体や財団が行う場合は、法に定められた例外を除いて、NCC2014の規定に則って教育を行うことと書かれている。
なぜ教育を行うのでしょう?学校の意義とはなんでしょう?
大切なところですよね…。答えはないですし。
12.基礎教育における最適な学習
「学習を深め、学習の範囲を拡大し、更なる学習のための児童生徒の能力を強化すること」を目的とした、「芸術的および実践的な教科の最適な授業」や「最適な教科」、「自由選択と外国語の最適なシラバス」について書かれている。
教科学習を何時間したからって、ある特定の能力が身につくとは限りません。
「良い教育」とはどんな教育なのでしょう?
13.1-2年生
14.3-6年生
15.7-9年生
ここでは、前後の学校段階や学年との連携や、育成することの目指される「教科横断的なコンピテンス」、各教科の内容や内容の関連等が書かれている。
ここ、もっと詳しくみてみたいですよね。私もです!
これからもっと研究していきます!
ちなみに
第3章以降、すべての章末に「地域の決定の対象となる問題(Issues subject to local decisions)」という節がある。
NCCは国が出しているカリキュラムですが、大綱化されており、
つまり、地方自治体や学校がNCCをもとに、
子どもたちや地域のニーズに合わせて、
自由にカリキュラム・マネジメントをしていいよってなっているのです!
どこをみてもおもしろいですよね!
かなりザックリとまとめたので、他の大切なところを書き漏らしたかもしれません…。
そのときはご指摘ください。
参考文献
Finnish National Board of Education(2016)『National Core Curriculum for Basic Education』