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読書履歴#25_選挙と民主主義を疑い、未来を考える

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8月19日〜8月23日
文字数:約3,500

はじめに(所感)

最近話題の本を読んでみました。
著者である成田氏はTV出演が増えたり目にすることが多くなっています。

ここまで話題になっているのは、「世間の皆が何かしら政治に不安やストレスを抱えているが、それが何か分からない」という事が背景にあるのかと思います。

もちろん私自身もその一人でした。
2012年に民主党のあまりの不甲斐なさから自民党に政権交代して、はや10年です。

自民党に変わってある程度良くなったような気はしますが、本当に自民党政権に満足しているのか?と問われれば、YESとは言い難いです。

でも選挙ではずっと自民党に投票しています。
これは自民党に期待しているのでなく、野党に何の期待もできないからです。

こんな政治で良いのだろうか。と漠然とした不安を抱えている中で、この本を読むと「こうなって欲しい!」と素直に思います。

でも硬直化した政治の世界を変えるのは容易ではないのだろうとも思います。誰か革命家でも現れない限り、変わらない気がします。

変えることは難しいが、知らないことはもっと恐ろしいと思います。
同じように漠然と不安やストレスを抱えた方にお勧めの一冊です。

要約

◼️◯◯主義
資本主義徹底的に勝者に勝たせる、ゆえに格差と敗者を生み出す
民主主義:資本主義で生まれた弱者に声を与える仕組み
・暴れ馬資本主義に民主主義という手綱を掛け合わせるイメージ

◼️故障
・ここ20年の経済を見ると民主主義な国ほど経済成長が低迷し続けている
・背景にネットやSNSの浸透に伴う民主主義の劣化(ヘイトスピーチ、ポピュリズム的政治)

◼️闘争、逃走、構想
・民主主義の再生に必要なこと
1、民主主義との闘争
2、民主主義からの逃走
3、まだ見ぬ民主主義の構想

◼️本書について
目的は選挙や民主主義をどうデザインすればよいかを考え直し改造案を出すこと
・政治が大事と分かっているが、心がどうも動かない、これを考えたり動いたりしたくなるようにしたいと思い、二つの戦略を据える
1、民主主義を違った視点から眺め、考え直す楽しさや面白さを作り出す(内なる興奮)
2、民主主義をどう改造し参加すればいいか、色々な方向に向かう戦略や構想を示す(外からの報酬)

22世紀の民主主義
選挙はアルゴリズムになり、政治家はネコになる
ISBN978-4-8156-1560-4
P5〜P28

第1章 故障

◼️〇▢主義と▢◯主義
経済といえば資本主義、政治といえば民主主義
・逆行して足を引っ張り合うような資本主義と民主主義をなぜ混ぜるのか?
その理由は人類は最初から気づいていた
人の能力や資源がおぞましく不平等なこと、そして技術や知識や事業の革新局面において不平等が大活躍する
・過激な不平等を否定すると、進歩と繁栄を否定し技術革新を否定することになる
・民主主義の建前めいた理想主義的考え方は、凡人たちの嫉妬の正当化と言える
資本主義はパイの成長を担当し、民主主義は作られたパイの分配を担当している整理できる
・日本でも2000年代には、インターネットを通じた多人数双方向コミニュケーションが直接民主主義の究極形を実現するといった希望に溢れた展望が多くあった
民主主義は後退しており、今世紀に入ってから非民主化・専制化する国が増えている
・民主主義の失われた20年は20世紀に見られなかった、21世紀特有の現象
民主主義の失われた20年が始まった2000年前後に独占ITプラットフォーム企業が勃興した時期であり、もう一つ「中国のWTO加盟」がある
・2008年の世界金融危機で民主vs非民主の経済成長率の差が開いた
民主主義の後退の原因は情報通信環境が一変したことそのものではなく、「情報通信環境が激変したにもかかわらず選挙の設計と運用が変化できていないこと」

22世紀の民主主義
選挙はアルゴリズムになり、政治家はネコになる
ISBN978-4-8156-1560-4
P38〜P84

第2章 闘争

・重症化した民主主義が生き延びるための答えは独裁・専政への回帰でないことは明らか
本当に必要なことは「民主vs専政の聞き飽きた二項対立を超えた民主主義への脱皮」
・闘争は民主主義の現状と愚直に向き合い、その問題と闘って呪いを解こうとする営み
呪いの主成分の一つは、民主国家の政策が閉鎖的で近視眼的になっていること。よって遠くの成果よりも近くの世論に目を向けざるを得ない選挙になっている
・さらに日本にはシルバー民主主義という高齢有権者を意識した文化もある
政治家の目を高齢者を中心とした世論から長期的成果へと誘導するための仕組みや制度を考えていく

①政治家の報酬を長期成果報酬年金へ
・成果指標は様々考えられるが政策の効果が出るまで数年かかるのため、引退後の成果報酬年金を出す、など考えることができる(ただし防衛、安全保障、教育などは成果は測れないので成果報酬は導入しない方が良い)
・成果報酬と相性が良いのは、大事な政策成果が誰の目にも明らかで、現実的な時間軸で計測可能な領域
このとき、短期的指標に引っ張られないように複数の成果指標を組み合わせて長期的な成果指標を合成する必要がある
②情報成分表示、コミニュケーション税
・選挙は意義ある投票(入力)があって正当な政治家が選ばれる(出力)
インターネットとSNSによって有権者の情報やコミニュケーションが攪乱され民主主義が劣化している
・これを解決するにはSNSなど公開WEBでの同期コミニュケーションの速度・規模の制約(量の規制)
・コミニュケーション・情報の内容に応じた課税も有効(質の規制)
・Facebookでは表示されるニュースや情報の成分をバランス良く混ぜることで反対勢力へのヘイトや政治的分断を和らげる実験もしている
・こうした情報成分規制やコミニュケーション税は表現の自由への介入と表裏一体
③政治家の定年や年齢上限
・メディアへの介入と同時に考えなければいけないのは、選挙のデザイン
・任期や定年の満了があると、もはや世論を気にせず素朴に言うべきことを発言したり、すべきことを実行したり集中できる(終わりが人を自由にする)
④マイノリティの意見の反映
有権者一人に一票でなく100票割り振って自分にとって大事な政策に多くの票を投じられるようにする
⑤UIUXの改善
・ブラジルで電子投票装置を導入し、識字率の低い層が投票できるようになり政治が変わった(政治家が貧困層をより意識するようになった)
・日本でも名前の似た政党や候補者を誤記することがある

ここまで列挙したものの、どれも実現は容易ではない

22世紀の民主主義
選挙はアルゴリズムになり、政治家はネコになる
ISBN978-4-8156-1560-4
P86〜P130

第3章 逃走

・変えたいがなかなか変えることが難しい現状に目を向けると、いっそ闘争は諦め民主主義から逃走する道が浮かび上がる
・タックスヘイブンは1次元的な金銭損得になりがちだが、それ以外のX・ヘイブンはいくらでも考えられる

22世紀の民主主義
選挙はアルゴリズムになり、政治家はネコになる
ISBN978-4-8156-1560-4
P132〜P155

第4章 構想

◼️選挙なしの民主主義
・提案として「無意識民主主義」がある。これはインターネットや監視カメラを通じて人々の意識と無意識の欲望を掴むあらゆるデータから様々な政策論点やイシューに対する人々の意見を抽出し測定する
・民意データを汲み取るための唯一のチャンネルだった選挙は数あるチャンネルの一つに格下げされ、一つのデータソースとして相対化される
民主主義とは、みんなの民意を表す何らかのデータを入力し、何らかの社会的意思決定を出力する何らかのルール・装置
・いまゼロから民主主義を制度化するとしたら、選挙とは違うルール・装置が出てくるはず
・無意識民主主義アルゴリズムには民主主義の故障への対策が全て組み込まれる
①選ばれた政治家が未来と外部・他者に向かって政策を行うインセンティブを作る
・長期成果報酬年金を内蔵する

②有権者が政治家を選ぶ選挙のルールを未来と外部・他者に向かうように修正する
・無意識民主主義を実現することで、今生きている者しか声を発せないという選挙の欠陥から決別できる
③有権者の脳内同期や極論化を作るソーシャルメディアに介入して除染する

22世紀の民主主義
選挙はアルゴリズムになり、政治家はネコになる
ISBN978-4-8156-1560-4
P158〜P236


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