生産管理システムを勉強してみた#10
新しいキャリアに挑戦予定
すぐに戦力になれるように生産管理システムについて勉強を開始
第10章。ゴール見えてきました!
参考図書
「第9章 工程管理サブシステムの統制機能を向上させる仕組み」の振り返り
生産計画システムをコアにし、そこに関連するサブシステムおよびマスタに関して第4章から説明が続いてます。このつながりを見失うとなかなか全体を理解するのが難しいな。と思っています。第9章は工程管理サブシステムがメインあり、どうやって現場のデータをリアルタイムに拾い、改善するかについて詳細な説明がありました。
第5章から続けている以下の全体振り返りもテンプレートとして載せておきます
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第1章 生産管理システムが漠然としている背景
第2章 製造業の業態と流れる情報(滞りがちな情報)の整理
第3章 生産管理システムを重要要素で分解し、ユーザーの業態要素との組み合わせ方
※第4章以降は、3-1の生産管理は7つの主要機能で考えるをイメージするとよいです。
第4章 生産計画をコアとした時の、販売管理サブシステム(特に受注)と購買管理サブシステムとの関係(EDI機能含む)
第5章 コアとなる生産計画の作成ステップと攪乱の考慮
第6章 基準生産計画に含まれる製品の生産計画と必要部材を確認して製造指示への落とし込みを実施するMRP
第7章 生産管理システムの土台を支えるBOMの中身について理解
第8章 購買管理システムを理解するための購買業務について
第9章 工程管理システムへのデータインプットと改善方法について
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第10章 生産管理から考える在庫と在庫管理
第10章のまとめ
在庫はあらゆるビジネスで比較的身近な存在です。
でも在庫は悪。というイメージもありその理由は?と聞かれるとついついBS(貸借対照表)レベルで話をしてしまい、結局経営層が気にする指標。とイメージしていました。
たしかにそうなのですが、この章では「とは言え在庫は必要」「でも何を共通のゴールとして管理すれば良いか」ということを教えてくれます。
<10-1 要点>「在庫」とは何か、なぜ在庫が必要か
・在庫が必要とされる8つの大きな理由
①顧客LTに間に合わせる
顧客の求める納期が、自社の生産LTよりも短い場合、納期要求に合わせるために「製品」「半製品」「原材料」を持っておく必要がある
②工程間の相互干渉を減らす
工程間で能力差がある場合、能力の大きい工程のあとに在庫が発生する
③生産の平準化
生産能力に合わせて生産量を平準化すると在庫が発生する
④需要変動に備える
景気の変動や季節によって需要量がバラつく場合、欠品が発生しないように在庫を持つ
⑤まとめ買い・まとめ生産
原材料や部品の発注をできるだけ安価に抑えるため、一定量のロットで購入する
⑥輸送中・荷役中
輸送や荷役に要する期間は販売とならないため在庫となる
⑦欠品防止のための安全在庫
欠品による販売機会を逃さないため需要予測より多めに生産しておく。生産面からも突発注文、トラブルに備えて在庫を安全目に持っておく
⑧使い残し、売れ残り
必要な在庫ではないが、発注ミス等で残ってしまった在庫
引用:生産管理システム構築のすべて ISBN 978-4-534-04674-1 P198~199参照
<10-1 所感>
極めてシンプルな内容でした。在庫の概念はAmazonを代表とするロングテール在庫が今では珍しくなくなってきており、必ずしも悪ということもなくなってきている印象です。
ただ在庫単価が高いと、資産(BS)側に影響し、ROE、ROAに悪影響を及ぼしてしまうので、効率よく販売してBSをスリムにしたい要望は多いと思います。
<10-2 要点>在庫削減と在庫管理の必要性
・なぜ在庫を削減する必要があるのか
①資金効率を落とす
売上を計上できていないため、運転資金が圧迫され金利負担が増す
在庫は「棚卸資産」として計上される
②在庫維持コスト
在庫管理のために管理工数や保管場所が必要となる。外部倉庫でも費用は発生する
③破損・価値定価リスク
在庫品として抱えると、在庫の価値が喪失するケースがある
例1)材料、製品の腐敗、変質、発錆による品質・価値低下
例2)長期間在庫で破損、摩耗、老朽化、陳腐化
④市場動向に鈍感になる
製品の在庫が十分あると、多少の需要増加は在庫で対応するため、需要変化に気づきにくい
⑤問題の本質が見えなくなる
本来あるべき生産LTや品質不良など在庫で補うことができるため、工場の悪い体質を隠してしまう可能性もある
⑥生産効率低下によるロス
在庫品は売れていない製品で無効な作業をしたことになり、生産ライン周辺に積み上げられた仕掛品はスペースや作業性の悪化にもつながる
引用:生産管理システム構築のすべて ISBN 978-4-534-04674-1 P200~202参照
<10-2 所感>
システムを提案するベンダー目線では、この6つの切り口を理解しておいた方がよいと思います。単に在庫管理したい、在庫削減したい。という要求がなぜ生まれてきているのかを傾聴し、課題を解決するツールとしてシステムを提案することが重要です。
<10-3 要点>在庫の種類と在り場所を理解する
・生産管理で管理する在庫を考えるとき
+業種によって在庫するモノが違う
+企業によって在庫の流れが違う
ことを理解しておく必要がある
・製造業では、製品化していく仮定で、原材料は「仕掛品」となり製品となる。
すなわち「原材料を調達してから製品を納入するまでの期間(=製造LT)」が在庫を保存して管理する期間となる
・生産管理における在庫管理では「なにが、いつ、どこで、どれだけ」あって「どこから入庫し、どこに出庫されたか」を管理する
・在庫を積極的に利用する在庫管理の6つの主な目的
①在庫量の適正化
②正確な記録
③資産の減失を防ぐ
④先入れ先出しなどルールの徹底
⑤トレーサビリティの確保
⑥将来在庫の算定
引用:生産管理システム構築のすべて ISBN 978-4-534-04674-1 P203~206参照
<10-3 所感>
<10-2>で在庫管理をする6つの理由を上げました。なぜ在庫管理するのかという課題が分かれば、その結果どのような成果につながるかをさらに6つの目的として列挙してくれています。
課題を一緒に明確にし、KPIを一緒に設定し、改善効果を実感してもらう。
これが生産管理システム導入に必要な提供側の姿勢です。
<10-4 要点>在庫管理の精度の上げ方
<10-4 所感>
このセクションの要点は一枚の図で表現されていました。
<10-5 要点>在庫の評価と在庫分析の方法
・在庫は一般的に数量でなく金額で評価し販売価格でなく製造原価を用いる
・会計では棚卸資産は「在庫の価値」を金額で表し、貸借対照表で表示する
・在庫評価方法
①個別法:個々の実際原価で在庫の価額を決定する
②先入先出法:先に入った順に払出しが行われ、在庫は新しく取得された価格で算定される
③総平均法:多くの会社が採用している
④移動平均法:多数のデータから移動平均を算定
⑤標準原価法:大手の製造業が採用している
・在庫価格と売上高から在庫の効率性を評価する指標として
+在庫回転率 = 出庫金額 ÷ 在庫金額
+在庫回転期間 = 在庫金額 ÷ 平均出庫金額
例)年間売上高 5,000億円、在庫金額 700億円
在庫回転率 = 5,000 ÷ 700 = 7.1
→在庫が一年間で7.1回入れ替わった
在庫回転期間 = 700 ÷ 5,000 × 365 =51.1日
→在庫をすべて販売するために必要な期間
引用:生産管理システム構築のすべて ISBN 978-4-534-04674-1 P212~214参照
<10-5 所感>
急に経理・財務寄りの話が出てきました。それもそのはずで次章はいよいよ財務が利用する原価管理システムの話です。この本は流れが分かりやすくてよいですね。
また在庫回転率などは財務分析でも必ず出てくる指標で、その企業が在庫を適正に管理しているか、効率よく経営されているかを図る指標にもなっています。
生産管理システムは生産の見える化から経営指標のエビデンスにまでつながる。まさにDXの基礎です。
生産管理システムというと少し古いように聞こえますが、昔から今までずっとある重要な仕組みであり、いまその必要性が再認識されているということです!
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