見出し画像

読書履歴#29_堀川の奇跡(学校改革に本気で向き合った話)

<<前回投稿文 次の投稿文>>
読書期間 2022年10月21日〜10月25日
文字数:約2,500

はじめに

久しぶりの読書履歴の発信です。
読書期間が2022年10月分なので、下書きしていたものを発信していない状況が続いていました。

ちょっと時間をおいて改めて自分の読書履歴を見返すと、同じ本を読み返すのと同じ効果があるのかな?と思って期間を空けてみました。

長女が生まれたとき(もう約10年前・・・)に子育てに関する本を読んでおり、久しぶりに手にとって一気に3冊読んでしまったので、ここのところ連続で子どもの教育に関する本です。

この本は宝槻さんの「強烈なオヤジが高校も塾も通わせずに3人の息子を京都大学に放り込んだ話」で紹介されていたので読みました。

京都の公立高校が教育改革を実施し、その結果として有名な国公立大学への進学が劇的に増えた話です。

良い学校=有名校の合格者数ではなく、子ども自身が不透明な時代に「自分自身で考えるためにはどうすれば良いか」を追求した学校改革の話です。
その結果として有名校への合格率が上がっています。

結局勉強ってやらされるものでなく、やるものなんだなとつくづく感じます。
その環境を作るのが親と学校の役割なんですね。

気づきの多い本です。

第1章 堀川の奇跡ー改革はこうして実現した

・1999年に旧校舎の改築と合わせて、全国初の人間探求科と自然探求科を開設
・1999年に入学した生徒を第一期生と呼び、この一期生が卒業した年に国公立大現役合格者が6人から106人に増え、「堀川の奇跡」と報道された
・この理由は授業の在り方を見直し、進路指導のシステムを変え、学習内容を改善し、探求化という専門学科を創設し、「生徒個々の興味や関心を引き出し、楽しく学べる学校を目指した」結果
大学に受かることが人生のゴールではない
・堀川では目に見える学力としての受験対応力と、すぐには目に見えないたくさんの学びや遊びを通して得られる生きる力との両方に取り組む
探求科とは基礎的な学習の上に自ら探求する力を養うことを願って作られた普通科の専門学科であり、普通科目の学習内容をもっと深めるこを主眼としている
・生徒の知的可能性は授業によって開かれる
授業を柱とする高校生活のなかでどれだけの仕掛けやきっかけがあるかによって学校の値打は決まる
・そのためには教員一人ひとりが授業の質の向上のために努力を続けることができるかにかかっている

奇跡と呼ばれた学校
国公立大合格者30倍のひみつ
ISBN978-4-02-273125-8
P12〜P50

第2章 堀川の教育ー二兎を追う

・一期生を迎えるために設立した準備部では、企業では当たり前の目標からの評価を徹底した
・努力したのですが、という言葉は不要で、結果が問われるのみ
・実際には簡単には行かず、間違えば恐怖政治となる
・一方で目標を数値化すると、生徒という個性も数値の中に紛れてしまうため、堀川では数値目標を設定しなかった
教員は生徒が求めているものを提供する。なぜなら教育とはサービス業だから
一般のサービス業と学校の相違点は生徒が求めていないものまでサービスすること
勉強が好きでない子はしんどい思いをするが、それによっていつのまにか力が付いていく
・ものごとにはさまざまな側面があり、何かに取り組もうとすると一つの面に集中し大切なものを見落としてしまう
視野を広げて少なくても二つの面をカバーすることでより高い成果を上げることができる。この事を二兎を追うという言葉に託している
知識習得型とは詰め込み型の勉強で、課題探求型は自ら考えて取り組む勉強
この二つはどちらが大切かと論じられがちだが、どちらも重要であり、むしろ二つは相乗効果で膨らんでいくもの
・堀川では18歳で自立できる青年を育成することを目標としているが、そのためには見える力と見えない力の二つの力が必要
見える力とは数値化できる力、つまり知識の量的なもの
見えない力は数値化できない力、例えば判断力や企画力、実行力や行動力、求心力や持続力、創造力や愛情など試験で測定できないもの
歴史を学ぶことで過去の人が歩んできた成功と失敗を知り、
 数学を学ぶことで論理的な思考を構築し、
 国語を学ぶことによって語彙を増やし、さまざまな人の考えを知る。

勉強は受験に有効ではあるが、決してそれだけのためではなく自立した大人になるために学ぶ
・見えない力はゆとりの部分が育てる
本当のゆとりとは、叩き込まれた基礎や基本を使ってじっくり考えること
叩き込まれただけでは定着はしないので、何度も自分でやってみる。自分自身で取り組んで初めて学んだことや考えたことが定着していく
・守られている中での傷付きや挫折は成長期に重要な意味を持つ。この時間を十分に使わせることがゆとり
ゆとりの時間は自己管理能力を高める
自己管理能力とは「時間の管理」「復元力」「耐性」
・堀川が掲げる独自のメディアリテラシーは「受ける力」「考える力」「判断する力」「表現する力」
堀川が重視するのは「幅広い言語能力」であり、この能力はさまざまな学科とコラボし探求の質を上げる。もう一つ重要な役割はイマジネーションの根っこは言語能力が必要

奇跡と呼ばれた学校
国公立大合格者30倍のひみつ
ISBN978-4-02-273125-8
P52〜P103

第3章 すべては君の知りたいから始まるー探求基礎という授業がある

・探求課程で大事にしたいのは「負荷、展開、収束」のスパイラル
負荷をかけて知識を身につけ、具体的に展開する。その取組みを通して、失敗や挫折を経験し、生徒は自分の進路へと収束していく

奇跡と呼ばれた学校
国公立大合格者30倍のひみつ
ISBN978-4-02-273125-8
P106〜P141

第5章 若者たちの巣箱ー校長アラセはこう考える

・木は光を浴びて育ち、人は言葉を浴びて育つ
少しだけ知っていることと全く知らないことは全然違うので、新しいことを学ぶためには幅広い知識を詰め込んでおくことは大切
・知識や経験を得られる場所はさまざまな体験、特に自然の中での遊びの体験は子どもにとって大きな学びのチャンス
・最近の教育は農業的(一年単位の短期目線)になっているので林業的(10年単位の長期目線」になる必要がある
一年を思うものは花を育てよ
 十年を思うものは木を育てよ
 百年を思うものは人を育てよ

奇跡と呼ばれた学校
国公立大合格者30倍のひみつ
ISBN978-4-02-273125-8
P176〜P208


いいなと思ったら応援しよう!