「僕たちは仲もいいし、コミュニケーションも取れてますよ」
初めて関与する企業や組織で、組織変革のプロジェクトの取り組みや研修・ワークショップを担当させていただくときに、参加者の皆さんから「僕たちは仲もいいし、コミュニケーションも取れてますよ。問題はありません」と言われることがよくあります。
「なのに、なぜこんな取り組みに時間を割かないといけないんですか」という無言の抗議の裏返しでもあるのでしょうが、実際にそう感じていらっしゃるので、本音の声とも言えます。
中には、オチをつけて笑いを取ることが意識されている組織もあります。確かに、雰囲気も楽しそうですし、仲も悪くないのがよく分かります。
ご本人たちも、お互いに仲がいいしコミュニケーションも取れていると感じておられ、その関係のあり方が日常化していて、特に違和感を覚えることもないようです。
ですが、関係を観察していると、お互いの間に見えない壁や、心の距離が離れているように感じることが少なくありません。
むしろ、コミュニケーションが良く取れているといわれている組織ほど、言葉をしっかり受け止めて深めていく前に、軽妙なやり取りの流れの中で茶化されてしまうことがよく起こっているように感じます。
それでも、構成された対話の場を重ねていくと、少しずつお互いの言葉の背景や想いに意識が向くようになって、これまで以上に相手のことが深く理解できるようになっていきます。
そしてその結果として、互いの信頼関係が深まることを体験してもらえることが起こります。
会社組織の中でもこういう関係のあり方ができるのか、と驚きを持って気づいてもらえるようになっていくことがよくあります。
そうなると、次に生まれてくるニーズは、場の参加者だけでなく日常の組織の中でもこういう関係が生まれるようにしたい、という欲求。
更には、他部門との間でも、こうした信頼関係を持って仕事をしたいという声が上がってくることも珍しくありません。
特に難しいことをやるわけではないのですが、普段の組織の中での意識の流れとは異なる取り組みになるため、ご自身の中に定着するまでは難しく感じる方もいらっしゃいます。
ですが、自転車に乗る練習と同じで、一度その感覚を身に着けると、その後は比較的スムーズに進むことが多いようです。
こうして関係の土台が整ってくると、次のステップが取り組みやすくなっていきます。
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![むらおか やすひろ@組織プロセスコーディネーター/ ダイアローグ・ファシリテーター](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/14032397/profile_f2d9c69fd4c322579c73d0465e62f3d1.jpg?width=600&crop=1:1,smart)