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大学生のレポート:日米地位協定の現実

今回の「大学生レポートシリーズ」は、2018年7月31日 火曜日 16:23 に書いたレポートです!大学に入って初めて書いた文章です。(※今回は約3200文字です)では、早速!!


1.はじめに

日米地位協定を巡っては、これまでに改定を求める声が沖縄を中心として提起されているものの、主に米国側の反対により交渉は実現せず、「運用改善」に留まっている。本レポートでは、米国側の日米地位協定に関する問題の捉え方に焦点を当て、アメリカが協定の抜本的改定を強く拒む理由について説明していく。

2.日米地位協定

 沖縄で何度も繰り返されている米軍の絡んだ事件と深く関係してくるのが日米地位協定である[i]

【日米地位協定】
在日米軍による施設・区域の使用を認めた日米安全保障条約第6条を受けて、施設・区域の使用のあり方や日本での米軍の地位について定めた条約。

施設・区域の提供、米軍の管理権、日本国の租税等の適用除外、刑事裁判権、民事裁判権、日米両国の経費負担、日米合同委員会の設置等が定められている。

簡潔に言うならば、米軍関係者はこの協定により「日本国内の法から逃れられる特権」を認められている。すなわち、日本の法に縛られない治外法権が認められており、米兵とその家族などの関係者は日本の法律に関係なく自由に行動することが出来るということだ。

日本国民が被害者のケースにおいても裁判権はアメリカにある。さらに、公務外で米兵が犯罪をおかした場合でも、容疑者の身柄が米軍基地内にある場合には、日本側が起訴をするまで身柄は米側にそのまま置かれることになり、日本側が逮捕・拘束することはできない[ii]

これは、沖縄で起きている暴行事件等と密接に関係している。米軍敷地内はアメリカ国内同様の扱いのため、出入国時に特に手続きを必要としない。アメリカ本土から日本の米軍基地に到着し、米軍基地のフェンスから出てしまえば自由に日本に入国できるという点も問題点だ。罪を犯した米兵が軍敷地内に入り、アメリカに帰国してしまえば、日本側が罰することは一切できない

このように、明らかに日本側が弱い立場にあるのは、第二次世界大戦の敗戦国と強国との間での協定だという前提の影響だと考えられるが、理不尽な条件を鵜呑みにし続けるのは望ましくない。日本はこの協定の内容の見直しをアメリカに求めているが、締結からの約50年間アメリカは一切受け付けていない。

3.改定されない理由

そこで、アメリカ側は日米地位協定の問題をどう捉えているのかに注目したい。日米関係や安全保障政策、戦後沖縄史などの研究者で、6年間沖縄の米海兵隊で政治顧問をしてきたロバート・エルドリッヂ氏へのインタビューを紹介する[iii]

日本国内で起きた事件ならば、日本の国内法で裁くことが自然ではないのかという質問に対して、「日本の刑事訴訟法によると基地の外で逮捕されたアメリカ人は、日本の警察署、留置所に送られて、取り調べを最長で23日間ずっと受ける可能性がある。「弁護士が取り調べに立ち会える」といった世界の常識を、なぜ日本は求めないのか。もし、地位協定の改定そのものを目指すのであれば、まず日本は、そのことを改善しなければいけないと思います」という回答が得られた。

エルドリッヂ氏は日本の刑事司法制度に不備があると指摘した。日本で警察が誰かを逮捕すると、書類送検まで48時間勾留することができ、そこから検察は24時間以内に捜査を行うことになっているが、捜査が長引きそうであれば裁判官に対して勾留請求をすることが可能だ[iv]。この拘留時間の長さは世界でも異例だ。

このインタビュー内容は日本の警察に対しての信用度の低さを物語っている。アメリカ側の言い分としてはアメリカ国民を危険にさらされる環境に置くことは出来ないということだろう。これに関して日本が全く反発できないのは頷ける。

ここで他の例を一つ挙げたい[v]。一つ目はフランスのヴォージュ(日本アルプスのような山深い地域)から日本に2週間滞在する予定でやってきた若い観光客の話だ。

彼らは、道を尋ねるために六本木交差点にある交番に入ったところ、警官からバッグの中身を見せるように言われた。その中に、田舎暮らしでは持ち歩くのが当たり前のペンナイフが入っていたことで逮捕され、19日間も勾留されてしまった。彼らはようやく釈放されたものの、日本の司法制度にうんざりして、逃げるようにさっさとフランスに帰ってしまったという。

東京に滞在するある外交官は、自国の男性が勾留された際の経験を振り返りこう話す。「非常に軽い罪で勾留される例が後を絶たない。日本で身柄を拘束されることは真実を突き止めることと、罪を罰することがセットになっている」。これは非常に残酷なことだ。このような事実から、日本の司法制度に対するイメージを窺い知ることが出来るだろう。

4.終わりに

日米地位協定に関しての事件等をニュースで見る限り日本側はただただ不当な条件を突きつけられていると感じる人が多いだろう。しかし、アメリカが改定を受け入れないのには理由があり、日本にも非があるということがわかった。日本国内のニュースだけをみていると決して気づくことが出来ないことだ。このレポート作成を通して物事を多角的にとらえることの大切さを再認識した。他の先進国の目から見て遅れている日本の拘留の制度があることで、日米地位協定の改定がされないという事実につながっている。「他の国からするとあり得ない拘留」はいち早く改善されるべきだ。制度を変えることは報道でもよく目にする通り、多くの手続きを踏まえて行うものでそう簡単ではないが、時間をかけてでもこの現状が解決の方向に向かうことを望む。


最後まで読んでくださってありがとうございます!
また次回のnoteでお会いできるのを楽しみにしています👋


[i] 本当は憲法より大切な「日米地位協定入門」 (戦後再発見」双書2) 2013/2/28 
前泊 博盛 (著, 編集), 明田川 融 (著), 石山 永一郎 (著), 矢部 宏治 (著)
(17p~41p)

[ii] 日本共産党 日米地位協定とはどんなものですか 
(検索日2018/06/03)

https://www.jcp.or.jp/akahata/aik07/2007-10-24/ftp20071024faq12_01_0.html 

[iii] なぜ改定されないのか 日米地位協定を考える Yahoo!ニュース 
(検索日2018/06/03)

 https://news.yahoo.co.jp/feature/290

[iv] 外国人が心底怖がる「勾留地獄・日本」の真実 世界一安全な国が抱える闇(検索日2018/06/03)

https://toyokeizai.net/articles/-/215509?page=2 

[v] 外国人が心底怖がる「勾留地獄・日本」の真実 世界一安全な国が抱える闇(検索日2018/07/31)

https://www.msn.com/ja-jp/news/national/%E5%A4%96%E5%9B%BD%E4%BA%BA%E3%81%8C%E5%BF%83%E5%BA%95%E6%80%96%E3%81%8C%E3%82%8B%EF%BD%A2%E5%8B%BE%E7%95%99%E5%9C%B0%E7%8D%84%EF%BD%A5%E6%97%A5%E6%9C%AC%EF%BD%A3%E3%81%AE%E7%9C%9F%E5%AE%9F-%E4%B8%96%E7%95%8C%E4%B8%80%E5%AE%89%E5%85%A8%E3%81%AA%E5%9B%BD%E3%81%8C%E6%8A%B1%E3%81%88%E3%82%8B%E9%97%87/ar-AAvwIBr 


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笠井康弘
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