夫が「がん」になった話①~予兆~
夫が「がん」を患いました。嗅神経芽細胞腫という、希少がんに分類される非常に珍しいタイプのがんです。インターネットで調べても情報が少なく、看病する中で不安を抱える日々が続きました。同じ病気で苦しむ方々の参考になればと思い、自分の気持ちや症状の記録を残すことにしました。
①【予兆】
2024年1月に結婚7年目を迎えた私たち。夫は37歳、私は34歳で、子どもはいません。夫はこれまで大きな病気を経験したことがなく、インフルエンザや新型コロナウイルスにもかからないほどの健康体でした。しかし、2024年2月頃から体調に異変が現れ始めました。
発熱はなかったものの咳が1か月以上続き、そして3月頃から左目が少しずつ腫れ始め、数回の鼻出血も見られるようになりました。夫自身もこの頃から体の異変を徐々に感じていたそうです。そんな中でも4月にトレイルランニングの大会に出場するくらいには元気で、私も「風邪をこじらせた程度だろう」と軽く考えていました。
転機が訪れたのは4月の最終週、ゴールデンウィーク中のことでした。夕食後にくつろいでいると、夫の鼻血が出始めました。最初はいつもの鼻血かと思っていましたが、30分経っても止まらず、量も尋常ではありません。「これは何かおかしい」と不安になりました。1時間が過ぎても出血は止まらず、救急電話相談に連絡をして指示を仰ぎました。
指示内容は「小鼻を圧迫して止血をしてください」というものでした。その通りに実施しましたが、出血は止まるどころか、鼻を抑えている分、口から流れ出る状態でした。どんどん血色が悪くなる夫を見守ることしかできず本当に苦しく辛かったです……。
再び救急電話相談に連絡し、夜間受け入れ可能な病院を探してもらいましたが、「鼻血だけでは受け入れは難しい」との回答でした。鼻出血が始まって約2時間後、ようやく出血が止まりました。その間、台所やタオルで血液を受け止めていましたが、光景はまさに血の海でした。この尋常ではない出血量を目の当たりにし、夫の体に深刻な異変が起きていることを確信しました。
その後、夫は貧血状態に陥り、ゴールデンウィーク中はとても外出できる状況ではありませんでした。かかりつけの耳鼻科も休診しており、連休が明けるまでは自宅で安静にして過ごしました。