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硯ケン、ゲン すずり 陸と海を辿る気を整え、墨を磨る行為には独自の文化が確立されている。 墨が海に落ちていくまで、ゆっくりと磨り続ける。 同じ間隔で、同じ強さで、淡々と続ける。 粘り気が出て、海に伝うまで、濃度を一定にする必要がある。 必要な墨の量になるまで、これを繰り返す。 目的は墨を磨ることではないはずだ。 墨汁を習字や書道で扱うための最初の所作。 いわば挨拶の一種なのだろう。 墨は水と併さり、墨汁と化す墨単体では書道は成り立たない。 水で練り上げた墨汁で筆