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連載百合小説《とうこねくと!》白米の誘惑!?東子さまvs一輝お兄ちゃん(2)

 《前回のあらすじ》
 美味しい新米を食べ過ぎてしまい、体重計に乗ってショックを受けてしまった東子さま。
 嘆く東子さまに、恵理子ちゃんは「運動しましょう!」と提案しますが……



「いやーっ! 運動したくないわっ!」
 東子さまは子どものように駄々をこねだしました。
「そんなこと言っても、痩せるならまず運動しないと……」
「私はおうちでゴロゴロしてたいの! 痩せるなら楽して痩せたいのよ!」
「そんなオイシイ話なんてありませんよ! ちゃんと身体を動かして……」
「とにかく動くなんていやーっ!」
 なおも駄々をこねる東子さまに、私の堪忍袋の緒がプッツンと切れました。

「……もう怒りましたよ。一輝お兄ちゃん呼びますからね」

「……へっ?」
 ただならぬ空気を察したのか、東子さまのお顔がどんどん青ざめていきました。
 
 *
 
 そして、1時間後。

「どうも。北郷一輝です」

 私の電話召喚により、神波家の玄関に現れたのが、北郷一輝──歳の離れた私のお兄ちゃんです。

「ど……どう、も……」
 東子さまは、目の前に現れた男の人に恐れおののいているようです。

 一輝お兄ちゃんは、彫りが深くワイルドな顔立ち。なかなかのコワモテですから、第一印象で「恐そう」と思われることもしばしば。
 はじめましての東子さまが怯えてしまうのも仕方ありません。

 しかし、それくらいでちょうどいいのです。
 ゆるみっぱなしの東子さまに、愛のある喝を入れていかなければいけません。
 それが、付き人としての役目だと思っています。……勝手ながら。

「恵理子から話は聞いてます。身体を動かしたくないとか」
「え、ええ、まあ……はい」
 東子さまと一輝お兄ちゃんは同じくらいの歳なはず。なのに、東子さまは完全に萎縮しきっています。
「最初から激しい運動は厳しいですから、出来ることから少しでもいいのでやっていきましょう」
「えっ、あっ、はい……わかりました……」
 すっかり小さくなってしまった東子さまに、私はひと言付け加えます。

「一輝お兄ちゃんは、地元の子どもたちにバスケットの指導もしてるんですよ。学生時代にはバスケで全国大会にも行ったんです。だから、運動に関しては一輝お兄ちゃんに任せてください」

「が、ガチの人じゃないの……」
 私のその言葉に、東子さまのお顔はさらに青ざめてしまいました。

「それじゃ着替えてもらって、軽くストレッチから始めましょうか」
 一輝お兄ちゃんは手首をクルクルと回し始めます。もうやる気満々です。
「は……はい」
 そのやる気に圧倒され、東子さまはすごすごと後ずさりします。
「東子さま、お部屋に戻って着替えましょう。私も一緒に運動しますから」
「よ……よかったわ、恵理子ちゃん。私ひとりだけだったらどうしようかと思ってたところよ……」
「大丈夫です、安心してください。厳しいことを言いましたが、その言葉の分の責任はちゃんと取ります。一緒に身体を動かして、心も体もスッキリしましょう!」
「うぅ……恵理子ちゃん、ありがとう……」
 
 事が始まる前から、東子さまは半べそです。だ、大丈夫でしょうか……?



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