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おいしい酒器。利き酒Vol.6『獺祭/純米大吟醸45』
自分の持ち味を最高の形で表現してくれる器。日本酒は、そんな酒器を求めている。
同じ日本酒で、酒器を変えると味わいがどれほど変化するのか。酒器を代えて利き酒する、「おいしい酒器」シリーズの第6弾。
酒器が変わると味わいも相当変化する。
日本酒の美味しさの本質は「味わいの重なり模様」にあると思っているぼくは、普段日本酒をワイングラスで飲む(『リーデル』というグラスメーカの脚なしタイプ)。ワイングラスで飲む理由について詳しくは以下記事の通り。
そんなぼくの個人的嗜好は一旦置いておいて、他の酒器で飲むと味わいや香りが具体的にどう違うのか試してみた、その記録。
1.銘柄選定の基準
今回酒器別のテイスティングに選んだ銘柄は、『獺祭/純米大吟醸45』。
選定理由は、すっきり軽快な味わいのお酒で試してみたかったため。すっきり軽快めで、久々に飲んでみたくなったのがこの銘柄。(注釈:ほんとは300mmの小瓶を酒屋さんで見つけて、お財布に優しいサイズやんか!って。。)
【基本spec】
原料:米、米麹
製造時期:2020年3月
造り:純米大吟醸
使用米:表示無し
精米歩合: 45%
アルコール分:16度
2.用いた酒器と選定の基準
今回用いた酒器はこれまでと同じく以下一覧表の5種類。
1)普段は①のワイングラスで飲んでいるので、これがぼくの標準。
2)②利き猪口だけ磁器になるが、これは利き酒の一般「標準」酒器。ぼくの「標準」である①ワイングラスとの差異を知る目的。利き猪口のサイズは①ワイングラスの口先口径と同じぐらいの8勺(1合の8/10)を使用。
3)②以外の素材は全てグラスで揃えた。素材は同じ条件で、形状が違うだけで味わいがどれだけ変化するのかを見るのが目的。
3.酒器別利き酒結果
①ワイングラス 結果:◎または○
入口はリンゴや梨を思わせる、フルーティかつ爽やかな吟醸香。上品で華のある入口。
口に含むと、軽快な飲み口ながらお米の旨みを舌でしっかりと捉えることが出来る。その旨みが、今度は綺麗な苦味に変化していくようにキレていく。
②利き猪口 結果:◎または○
ワイングラスで感じた入口の香りはしっかりと感じられる。
口に含むと、ワイングラスに比べてお米の旨みが少しまろやかさを帯びつつ、前面に出てくる気がする。
③天開グラス 結果:◎
入口の香りはやや弱まるが、吟醸香はしっかりと感じる。
口に含むと、お米の旨みが舌の真ん中で留まり楽しませてくれた後、そのまま下の奥の方に綺麗に流れていく。これは美味しい。
この酒質に合ってる気がする。獺祭の真骨頂である、綺麗で軽やかな飲み口を一番よく表現していると思う。
④カクテルグラス 結果:△
入口の香りはやや弱まるものの、感じることができる。
口に含むと、他の酒器ではあまり感じない酸味がやってきてその後に苦味がやってくる。決して悪くはないが、やや雑味っぽくなる気がして、あまり合っていない気がする。
⑤シャンパングラス 結果:○
入口の吟醸香は感じる。
口に含むと、柔らかい酸味感と一緒になってお米の旨みが大きく口の中に広がる。キレも優しい。
酸味を綺麗に感じる。
4.総評
今回のお酒の特徴は何といっても、「すっきり・軽快・綺麗な飲み口」にある。この特徴を一番よく表現してくれるのは、やはり天開ガラスだと思う。
ワイングラスも利き猪口も特に欠点を感じることなく美味しいが、どれが一番かとなると、綺麗な飲み口を遺憾なく表現してくれる天開グラスだと思う。
このお酒に限らずですが、今回もカクテルグラスを除いては甲乙付けがたいです。バランスの良い実力派のお酒はどうやっても美味しいということなんだと思います。