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世界は奇跡の積み重ねで動いている。日本酒オンライン販売。
新型コロナ、という言葉を聞かない日がない。
「これまで当たり前だと思っていたことが決して当たり前ではないことに気付いた」という言葉はもう既に飽きるほど耳にしていると思いますが、
まさにそんな実感があって、最近思っていることを脈絡なしに書いていきます。
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新型コロナという明らかに「平時」ではないこの事態が何を示しているのか、ぼくらの将来的な社会生活、経済活動においてこのウィルスが示しているもの、その本質は何なのか、まだうまく飲み込めないでいる。
仕事柄、多い時で月に複数回の海外出張を含め、海外旅行、その他「移動」を繰り返してきた身にとっては、現在の在宅勤務を含め大きな環境変化の真っ只中にいることは間違いないんですよね。
過去に取引実績のない、新規商談中の海外のお客さんとWeb会議をしてみて、お客さんの雰囲気は伝わってくるものの、やっぱり実際に会って会話をするまでは「契約」まで踏み込もうとはさすがに思えない。
この、Web会議と対面での会話の間にある本質的な差は何なのだろう。ぼくの中にある旧式の価値観(契約は実際に会った雰囲気を見て、握手して、信頼できる相手かを判断してサインを入れるものだという考え方)をシンプルに炙り出してくれてるだけなんだろうか?
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この事態が収束したら「元あった世界」がそのままの顔を覗かせてくれるのだろうか。
「グローバル」の弱点を真正面から突かれる形となった今回、事態収束後にはもしかすると違う顔の世界が広がっていて、「元あった世界」とは違う距離感に立つ世界が、これまで生き辛さを感じてきた人たちにとって救いの要素を含むのかも知れない、と考えたりもします。
答えは分かりません。
おそらく考えても仕方がない。
ありきたりで当たり前のことなんだけど、今できることを丁寧にやるしかない。
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ぼくには家族がおり、家族と過ごす時間が圧倒的に増えた。報道で時折見かけるような、在宅で過ごすストレスは感じない。新型コロナが席巻しようがしまいが、「家族」を営むにあたってやるべきタスクは溢れており、時間はほぼ全自動で過ぎていく。
むしろ娘と一緒に過ごす時間が増えた分だけ、娘の笑顔を見ている時間が増えたこともあり、「生きる意味というのは、この笑顔を見ている時間のことなんだろうな」などと考えてしまう。
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うちは身内が飲食店を営んでいる。
緊急事態宣言発令の前、まだ開店していた時期に店を訪れた際には、売上(生活費、店舗維持費)を確保する必要性と、来店してくれるお客さんの安全・健康への配慮との狭間で葛藤するオーナー(身内)の姿を見て、それが頭から離れない。
今でもその姿を思い出すと胸が痛い。
だから、明らかに「平時の自由経済の前提」が確保されていない現在の状況において、「それでも店の経営は自己責任」とか「それも事業リスク」といった外野の意見を耳にすると激しい違和感を覚える。
10万円もらえるみたいなので、しっかりと受領させて頂き、オーナーのために全額を使いたい。
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やっとタイトルに辿り着きそう。
脈絡のない前置きが長すぎました。。
ぼくには「日本酒」という大好きな世界があって、今の仕事とは全く関係のない「利き酒師」という資格(ワインでいうソムリエのような資格)も持っています。
日本酒の品揃えのいい居酒屋さんで気になる銘柄を飲んでその味わいを記録して、
酒屋さんに行って店員さんに教えてもらいながら気になる銘柄を購入してその味わいを記録して、って、
これまでのそんな日常が成り立たなくなり、先日初めてオンラインで日本酒を購入しました。
オンライン販売のHPで日本各地の酒蔵を丁寧に紹介されている様子から間違いなく日本酒への愛が伝わってきて、4月以降で既に10本ほど購入させて頂きました。(大阪にある、『酒専門店 鍵や』というお店です。実店舗もオンライン販売もあります)
初めて日本酒をオンラインで購入するにあたり多少不安があったものの、家に届いた際の丁寧な梱包を見て嬉しくなりました。
初回は3本だけ購入したところ、酒瓶に対する丁寧な緩衝材の巻付けはもちろん、6本用の箱の空白3本分と酒瓶の上の空白にも丁寧に緩衝材が詰められていて。
お気に入りの日本酒が届いてそれを口にできる喜びを上回るぐらい、その丁寧な心が無性に嬉しかったんですね。
と思ったら、感染リスクの不安を抱えながらぼくの家まで丁寧に運んでくれた宅急便配達の方、そもそもこの困難な状況下で丁寧に日本酒を造ってくれた方々、注文があるまで丁寧に保管し丁寧な梱包を施してくれた酒屋さん、そもそも酒米を丁寧に造られた農家の方々などが頭に浮かんできて。。。
この状況下で、注文したものが注文通りの時間に、こんなに丁寧な姿で運ばれてくる。
「自粛」の世界にあっても、そうして世界はしっかりと動いているという事実に、ガツンとやられました。
そんな、奇跡の積み重ねを目の前にある丁寧な梱包が示してくれているようで。
もう、感謝しかないんですよね、こういうの。
この愛情の積み重ね、奇跡の積み重ねがあればきっと大丈夫だって、よくわからないけど、そんな思いで一杯になりました。
この状況下でも、スーパーやコンビニに行けば買いたいものが手に入る。オンラインで注文すれば、こんなに丁寧な姿で届けてくれる。
人々の想い、愛情、奇跡の積み重ね。
それらが停滞せず流れている。
そうして世界は動いている。
感謝しかないです、ほんとうに。
ぼくらは、こんな素敵な世界にいる。
だから、きっと大丈夫。