日本酒好きにとっての記念日。
先日、日本酒好きのぼくにとって、記念すべき出来事がありました。
タイトル写真にある日本酒本を先月かな、購入したんですね。
千葉麻里絵さんという、日本酒業界の方はもちろん、日本酒愛好家ならおそらく皆んなが知っているであろう、日本酒界のカリスマのような方が書かれた本。(東京・恵比寿で「GEM by moto」という飲食店をされてます)。
結論から言ってしまうと、この本で千葉さんが紹介されていた燗付け(日本酒を温めること)の方法で燗をした結果、千葉さんご本人から燗付けのセンスをTwitterでお褒め頂きました!という話です。
これは、ほんとにすごい!という自画自賛のど真ん中をいくような記事です。
いや、でも、これってアスリートに例えるなら、憧れの一流プロ選手から身体能力を褒められるようなもの。そのお褒めの言葉を頂いた時は、しばし時が止まったようで。
日本酒好きのぼくにとって、忘れることのない記念日になりました。
以下がその経緯です。
1. 燗付け方法を勉強
千葉さんの本の内容は日本酒ペアリング(日本酒と食事の組合せ)なんですが、もう内容がほんとに濃すぎて。 Amazonで購入して、早速パラパラとページをめくってみて、この本ほんとに凄い!ってなりました。
写真を含め装丁もとっても丁寧な中、ペアリングの解説が感覚的ではなくとても具体的で、分かりやすく、同時に奥行きがもう半端ない感じで、圧倒されました。
こういう本に出会うと、日本酒愛とか簡単に言っちゃダメだな、って。
読み進めていくと、一部で燗のやり方も丁寧に紹介されていて。
その頃、noteで「おいしい温度。燗の利き酒」という、お酒ごとに適切な燗の温度帯を探るというコラム記事を始めたばかりだったんですが、肝心の燗の利き酒の仕方がイマイチよく分かってなかったんですね。
途中利き酒をせずに、55℃か60℃くらいまで上げてから、自然に温度が下がる中で5℃刻みで利き酒してたんですが、35℃から30℃あたりでどうしても味わいが「だれている」感じで。味わいが輪郭感を失ってぼやけるというか。
「人肌の温度、体温に近いあたりが甘みを感じやすい」という一般論とは全然違う実感があったんですね。人肌あたりの温度帯でかなりぼやけるというか、甘みとかバランス以前に味わいに纏まりがなくなる。何かおかしいな、って。
で、冒頭の千葉麻里絵さんの本に、その違和感に真正面から答えてくれることが書いていて。
(中略)一度温度を上げた後氷水で急冷し味を締め、再び温度をゆっくり上げて仕上げます。料理の色止めのように、おいしさが一番高まる温度で急冷することで味を引き締め「冷めても美味しい」が持続します。
『最先端の日本酒ペアリング p.123, 強調原文』
あ、これか!と思って。氷水で急冷したら「味を引き締めて、冷めても美味しいが持続します」。なるほど。
続いてネットで調べてみたところ、さらに同様の趣旨のことが解説されていて。
「燗酒を一口だけ飲むならば急冷する必要はありませんが、とっくりに入れた燗酒を最初から最後までおいしく飲んでもらうためには、この方法で燗をつけると味が持続します。急冷することで味が締まる。急冷せずに一発で温度を上げて仕上げると、後で味の締まりがなくなるんです。」(強調引用者)
もうほんとに、ありがとうございます!って感じでした。
上述の、「55℃か60℃くらいまで上げてから、自然に温度が下がる中で5℃刻みで」という、従来のぼくの利き酒方法では、味わいが徐々にだれてくるのが必然で、まさにそのことを解説して下さってたんですね。
「燗酒は人肌の温度、体温に近いあたりが甘みを感じやすい」という一般論と、「甘み云々以前に、35℃から30℃あたりでどうしても味わいがだれる感じがする」というぼくの実感の間にある大きな差異は何なのか?この疑問に真正面から答えてくれた。
ということで、勉強した方法で早速燗付けを試してみました。
2.燗付けを試した結果
1) 『秋鹿/純米吟醸/無濾過生原酒』
秋鹿の無濾過生原酒。冷たくして飲んだ時の綺麗な酸味の厚さがたまらなく素敵で、この酸味の力強さは絶対に燗でいけると確信して試してみました。
生酒というのは通常は冷やして飲む、がセオリーなんですが、千葉さんのアドバイス通りにやれば上手くできそうな気がして。
詳細は添付記事の通りなんですが、結論だけ言うと、とっても美味しく出来ました。50℃手前の香りのバランスが感がベストと判断して引上げ、急冷して温め直した後の味わいがすごかった。
急冷後に再び温めた後の味わいは、酸味・アルコールのバランス感とお米の甘さが、外側のバリア感、輪郭感に守られているような。
お米の美味しさが、ど真ん中に閉じこもっている。口の中でしばらく含んでも、美味しさが形を変えず、逃げないんですね。
これはすごい!となって、もう一つ違うお酒で試してみました。
2) 『みむろ杉/Dio Abita/低アルコール・純米吟醸・無濾過原酒』
上記の通り、『秋鹿』の生酒を燗したところ、とっても美味しく出来たことから、生酒のように「普通は冷やして飲むよね」というお酒であっても、燗でしっかり美味しく味わえるんだという発見があり、
生酒と同じく、「普通は冷やして飲むよね」という、カジュアルな低アルコール酒で燗を試してみました。
30℃から35℃あたりでは、冷やした時にも感じるお米の甘さが綿飴のような香りとなって膨んでくる。一旦40℃あたりで甘い香りのピークが来た気がして一度利き酒をするも、酸味が少し前に出過ぎる気がしで、もう少し温度を上げてみる。
酸味が立ってくると同時に50℃手前、47℃あたりでアルコールの香りが立ってきて、香りにも甘さとのバランスが出てきたため、一旦鍋の湯煎から引き上げ。氷水の入ったボウルに、すぐにちろりごと浸し、35℃まで急冷。
その後再び47℃あたりまで上げて、利き酒。
酸味と甘みのバランス感、そこにアルコールの香りがいい具合に引き締め効果となって、だるさが前に出ず、これは冷やして飲むのとは別のお酒のように美味しい。
燗をすることで、冷やして飲んだ時には前面に感じる綺麗なお米の甘さが少し後ろへいく代わりに酸味が立ち、アルコールの香りが加わる。
その全体のバランス感が、冷やすのとは別の意味合いで飲みやすく美味しいと感じました。
3.日本酒好きにとっての記念日
上記、みむろ杉の低アルコール酒を燗した記事をツイートしたところ、冒頭の通り、千葉さんご本人にお褒め頂いたという経緯です。
嬉しいから、もう一度貼り付けておこう。
「この日本酒の香りから取った温度の勘が良くて驚いた。」
「繊細で的が小さなけっこう難しいアイテムなのにすごい。」
ほんとに嬉しいです。
ありがとうございます。
ぼくの中では「お酒を楽しむこと」と、「豊かな人生を送ること」の間には大きな相関関係があって、
だから、このお褒めの言葉はぼくの人生をそのまま肯定してくれるような、それくらい貴重な言葉です。
一生大切にしますね。
改めて、ありがとうございました。