140字小説みたいなやつ その2

 風が吹いている。風、気温によって態度を変える奴。気温が高いときほどありがたくなる。気温が低いほど刃物になる。こないだはいよいよ切り付けてきたので、皆が肌を出さなくなった。耳なし芳一はなぜか耳だけぬかったが、皆はその教訓をしっかり活かしている。

 ももたろさん、ももたろさん。お腰につけた、きびだんご。ひとつ、わたしにくださいな。ふむふむ、たしかにきびだんご風に装っていますが、わたしの目はごまかせませんよ。これ、ほんとうはアレなんでしょう(親指と人差し指で輪を作り、輪を通してこちらを見つめている)。ええ、ええ、言葉にせずともわたしにはわかります。ももたろさん、こちらにミミズの干物を用意しました。ええ、いつものように巻き付けてください。お帰りは月が欠けてからでお願いしますよ。それでは。

 ガムを買った。作業中にくっちゃくっちゃやるのは意外に良い。問題はくっちゃくっちゃやっている間に溜まった唾液が喉になだれ込んで溺れるくらいである。僕はずっと息があいまいだから、致命的であるなあ。

 宇宙人は地球人になりすまし、内部から支配しようとしている。だが、いかに高度な文明を誇る宇宙人にも個々の能力にバラつきがある。そして、このような辺境に飛ばされる者たちは総じて優秀ではない。よって、そのほとんどがほんのり優秀な普通の地球人として一生を全うするのである。


 「鼻セレブ」があるなら「尻セレブ」もあるだろ、と調べてみたら本当にあった。「おしりセレブ」があった。あるんだ。今日の記事終わり。

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