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ごはんについて書くための習作63

子供が3駅離れた皮膚科に行くので車で送ったのが、11時半。途中、大雄山線の踏切を越えるところで、電車が通らないかと期待する子供。雨。道が混んでいる。送って帰ってきたのは12時過ぎ。…と、書き出しているのはその12時間後の24時過ぎ。東京駅から終点の小田原駅に向かう東海道線の1両目。ビルと月の明かりにうっすらと浮かぶ日比谷公園の桜を前職の同僚と見た帰りである。

この文章を書いている12時間前、昼の12時過ぎに嫁と子を皮膚科に送り帰ってきた時にはまだ雨は降っていた。午後には止むという予想。予報。mont-bellの折り畳み傘を持って、薄手のコートを羽織り、昼ごはんを食べるために出た。家の近くに新しくできた「フォー」の店に行こうかと歩き出す。「もう止んだな」といいながら傘を閉じたおじいさんとすれ違ったが、まだ雨は降っていた。
新しくできた店は混む。ちょうど数組が同時に入店したらしく、店内に数人が立っていて店員が対応しているのが見えた。なぜか店内の照明が消えた。私は道を挟んだ反対側からそれを見ていて、入店を諦めた。先週、定休日だった蕎麦屋に向かおうと思った。

今日は火曜日、水曜日ではない。定休日ではない。蕎麦屋の前、1組の客が出てきたのが見えた。店の駐車場にワンボックスカーを停めようとしているのが見えた。今日は営業しているようだ。混んでいたら、という気持ちがあったが、カウンターは空いてるだろうし、待つ客がいても一人なら先に通されるだろうと思った。予想通り。カウンターは空いていた。

ここには同じ幼稚園に通う(今月で卒園したので通っていた)子供を持つお母さんが働いていて、今日もいた。「一人です」と伝える。「春休み、ずっと家に居て仕事大変ですね」と言われる。「子供が家に居て」ということだと気付くのに少し時間が掛かった。瓶ビール、板わさ、かしわ天そば。日曜日のベストオーダーを火曜日に。「蕎麦はすぐ作ってもいいですか」と確認される。釣り仲間のとんかつさんの書いた『小田急は100年でどうなった?』を開く。

以前の日記(これは日記)にも書いたグラスのビールを1/3ほど残しながら注ぐことで片手でも泡が立ち過ぎない方法を採用しつつ、板わさと読書を楽しむ。板わさを楽しむ。小田原駅の蒲鉾屋の広告に「板わさを楽しむ」というコピーがあったことを思い出す。
「板わさ」の皿には一枚の大葉が敷かれ、上に蒲鉾が乗っている。その脇にワカメが添えてある。添えてあるワカメと大葉は蒲鉾が最後の1切になるまで残しておくのがよい。見た目が寂しくならないからだ。蒲鉾だけが残ると「残り物」という印象が拭えない。

この段落は夜の話。夜桜をみる前にビアホールで食事をしていたのだが、ホットサラダの真ん中に乗っているベーコンは2枚、私たちは3人。サラダは周りから取られていき、最後、ベーコンがぎりぎり乗っていられるくらいの小山になった。砂山に棒を立てて周りから砂を取っていき、棒が倒れたら負け。

別皿でゆかり塩が添えられた、かしわ天を食べていると「奥さんに揚げ玉持っていきます?」と聞かれる。頂くことにした。味噌汁などに入れると美味い。蕎麦を食べ終え、残しておいた板わさの大葉の上に、1切れの蒲鉾とワカメを乗せ、少しワサビをつけて大葉で包んだ。

店を出ると雨は上がっていて、青空。私の手元にはビニル袋に入った揚げ玉。それを空に掲げ、写真を撮った。(雨上がり、揚げたての揚げ玉、掲げ…の3つが掛かっている段落となります。)

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