㉔[介護ライブレポート]高齢者の一人暮らし

このシリーズは、一人暮らしをしていた義母の介護についての記録が主な内容になっています。
今回は、介護が必要になる前の話です。
何年も前から、一人暮らしの母の心配事はいくつかありました。
「在宅ひとり親」の注意したい点をまとめてみました。


[振り込め詐欺]
なんと言っても心配だったのが、これです。
なんせ義母は、「お人好し」だからです。
当時は「オレオレ詐欺」と言われていました。息子や孫になりすました犯人が、お金が急に必要になったので入金してくれと頼むという犯行が主流でした。
このような電話がかかってきたら、娘2人のうちのどちらかにすぐに連絡することにしました。


[あやしい勧誘]
あやしい宗教、あやしい健康食品やサプリも要注意です。
これも実例を示して、かなりしつこく注意を促しました。
自分の身近な人から勧められると、ついつい買ってしまう場合も多いですね。
これも、入会や購入の前に、相談してほしいとお願いしました。


[運動不足]
堂々たる体格の義母。常々、運動をするようにお願いをしてきたのですが、結局はほとんどできてませんでした。
運動といっても、マラソンやジムに通うような大げさなことではなく、朝の連続TV小説を見ながら足踏みをしたら程度のことですが・・。
案の定、心臓に負担がきました。
体の調子が悪くなると、余計に運動を控えるようになりました。悪循環になったのです。

真夏・真冬は、外に出たくないとおっしゃる義母のために、ルームランナーを用意したのですが、まったく効果なし。ご近所さんにあげちゃったと笑っていました。
振り返ると、義母が外出したのは「通院」「買い物」「老人会の集い」が主たるものでした。
通院と買い物は定期的にセットで出かけていました。プラスアルファの外出は「老人会の集い」である「カラオケ」「日帰りバスツアー」などで、とても貴重な機会だったと思います。
運動の他に、おしゃべりや外食をすることは、義母にとっても気分転換になったに違いありません。
一人暮らしの高齢者にとって、外部とのつながりをなるべく多くもつことが、活動性を高める大切な方法なのです。
趣味のお仲間やご近所さんとのおつき合いは、もちろんですが。


[転倒]
運動不足の義母は、体重は増えてますが筋力は落ちています。
となると、心配するのは、「転倒」ですね。
実は、カミさんの義父は数年前に他界しましたが、脳梗塞による半身不随でした。
義父を介護するために、実家はある程度の転倒防止仕様になっています。
ほとんどの生活の動線に手すりを設置。足元にセンサーのライトが点灯するようになっています。
また、電動リクライニングのベッドをレンタルし、夜中のトイレにも起きやすくしました。

義母のケースでは、心臓の負担を軽減するために利尿剤を飲んでいましたので、夜中のトイレ対策としてポータブルトイレもレンタルしました。
夜間のトイレは、ボーとしているときもあるので、できるだけ近くにある方がいいと思います。
寝室とトイレが離れている場合には、特に有効な対策になります。動く距離が短くなるうえにヒートショックの心配も減るからです。

お一人暮らしの親御さんの筋力が落ちて来たなと感じたら、転倒防止策を検討するべきだと思います。


[食]
義母は太っているので、カロリーは控え目だが、栄養は充分に摂ることができる食事が理想でした。
料理は嫌いではなかったのですが、一人分の食事を作ることが面倒なようでした。
たとえば、おでんのセットを購入して作ると量が多すぎるのです。何日もおでんが続くので、嫌になったと話していました。
しかし、1~2食分のおでんを作るのは、食材の買い物を考えても無理がありますよね。

最終的には、宅食をお願いして1日1食はバランスのとれた食事をすることにしました。
朝食は、トースト、ヨーグルト、季節の果物、紅茶程度にして、昼ご飯だけ考えればよい形にしたのです。
お昼1食だけなら、麺類や残り物などの準備の簡単なもので大丈夫。

家族で里帰りをしたときに、義母と一緒にショッピングモールにでかけたことがあります。
義母は、冷凍食品をほとんど食べたことがありませんでした。
そこで、義母が好きそうな冷凍食品を数種類買って、みんなで試食しました。
このような試食は、一人暮らしではなかなかできないことだからです。
義母の気に入った冷凍食品を用意しておけば、イザというときに重宝しますね。
また、コンビニのスイーツも義母と試食したこともあります。
カロリーは控えめにしなければなりませんが、たまには息抜きも必要だと思ったのです。

義母は、冷凍食品とコンビニの進化を知りませんでした。ひょっとすると、ご高齢の方はご存じない方も多いかもしれませんね。
冷食やコンビニ飯ばかりでは、お金もかかりますし、栄養も偏るとおもいますが、イザというときやアクセントとして活用するのはアリだと思います。
もしも、親御さんが昔の冷凍食品やコンビニのイメージを持ったままなら、一度試食してもいいと思います。


[重要な書類、カード]おまけです!
これは、心配なことではありません。
ウチではノーマークだったおかげで、転居のときに苦労したことです。
それは、重要な書類やカードの整理と保管です。
普段からこれができていると、転居するときに非常にスムーズに手配できます。
義母の転居の経験から最低限3種類に分けて分類するのがよいと思います。

・重要度が高いが、頻繁には使わないもの。
契約書、権利書、証明書などの重要書類と実印、パスポート、年金手帳など。
これは、保管場所をひとつに決めておくといいと思います。

・重要度が高く、普段使うもの。
運転免許証、健康保険証(おくすり手帳)、介護保険証、福祉証、認め印、銀行・郵便局の通帳とカードなど。
これも、保管場所をひとつに決めておきます。

上の2つは、非常時に持ち出すものと考えればわかりやすいですね。

・その他の通知、書類
問題は、ここです。
なにが問題かというと、どれを捨てていいのか、どれを取っておくかがわからないことです。
恥ずかしい話ですが、自分もわからない通知や書類がたくさんあります。
そこで、わかりやすいルールを2つだけ決めておきます。用意は大きめの袋(または箱)を2つ用意するだけです。

ルール①
役所からのハガキ、通知、書類はひとつの袋(や箱)に入れておく。読んだあと、放り込むだけ。

ルール②
領収書は、①とは別の袋(や箱)を決めて、そこに全部入れる。家に帰ったら、放り込むだけ。

これだけです。

たとえば、義母がケアハウスに入所するとき、前年1年間の年金の受け取った額を証明する書類が必要になりました。ところが、義母は捨ててしまっていたのです。
少なくとも前の年1年分は保存しておくといいと思います
そんなに難しいことではないですよね。でも、これだけでイザというときの整理はかなり楽になりますよ。


以上、ひとり暮らしの義母を心配していた点を整理してみました。
思い返すと、ひとり暮らしの親にとって一番頼りになったのは「仲のよいご近所さん」でした。
里帰りしたときにご挨拶をすることや、義母にプレゼントを贈る時にご近所さんへの心遣いを別に用意することは大切だと思います。

この記事が、皆さまのご両親の親孝行に役立ちますように。


以上

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