⑳[介護ライブレポート] どうすれば昼間に起きてくれるのか?
義母が入所しているケアハウスの方から連絡をいただきました。
目薬についてです。
義母が入所してしているケアハウスでは、内科・歯科は訪問診療をしていただけるのですが、眼科は受診しなければなりません。
近くの眼科を調べて予約を入れ、義母を迎えに行きました。
今日の義母は、いつもよりも体が動かせません。
自分の足で立ち、自分で歩くことがいつもの何倍もゆっくりした動作になっています。
座っていても、姿勢が保てずに徐々に傾いていきます。
これは、体幹が相当ゆるんでいるのでは?
つい1週間前は、かなりしっかりした足取りで歩いていたのに。
カミさんと2人がかりでなんとか眼科の診察を済ませました。
車の中で、義母の生活状況をチェックしました。
すると、おおよそ次のような事実がわかりました。
夜は19:00ぐらいにベッドに入る。
夜中には4回くらい小便に起きる。
明け方からウトウトするが、6時くらいには自分の部屋のポータブルトイレを洗浄のために取りに来てくれるので目がさめる。
その後、しばらくすると、朝食に呼ばれる。
(義母は非常にゆっくりとしか動くことができないので、身支度や食堂への移動に時間がかかるため、早めに呼ばれるようです。)
昼間は特にやることもなく、たまにテレビを見ることもあるらしいのですが、うつらうつらしているとのこと。
義母は控えめに言っておりましたが、このように話すときは「爆睡」しているとみて間違いないでしょう。
これでは、夜ぐっすり眠れるハズがありません。これが、悪循環になっているようです。
どうしたら、義母の生活を規則正しくできるのか?
まずは昼間に寝ないようにすることですが、それにはどうしたらいいのか?
前にも書きましたが、義母はこれと言って趣味がありません。
自分から筋トレや歩行訓練をすることは、期待できません。
現在はコロナの影響で家族が昼の間、一緒にいることもできませんし、そもそも頻回の訪問は難しい状況です。
うーむ、困った。
思い出しました。とても、良い本があることを。
それは、「驚きの介護民俗学」という本です。
最初に読んだ時は、驚き、納得し、そして感動した本であります。
(私は、薬剤師の勉強支援サイトを運営しているのですが、以前に勉強になる書籍のコーナーで紹介しました。)
この本の内容を簡単に紹介します。
著者は、民族学を研究されていた方で、大学を退職して介護施設に転職しました。
老人ホームで働くなかで、民俗学で行う手法の「聞き取り」を行い、実施のエピソードを紹介しながら、「介護」への応用を考察したものです。
医学書院の「看護学雑誌」、看護師のためのウェブマガジン「かんかん!」に連載した記事に書き下ろしを合わせて再構成した内容になっています。
「聞き取り」は民俗学の手法といっても、決して難しいモノではなく、お年寄りの話を聞き、記録をしていくというシンプルなものです。
著者は、入所者の方の昔の話を聞きながら、その人が生きた時代や土地の風習を学び、入所者の体に残った記憶からも介護のヒントを探っていきます。
この本で紹介された利用者の半数以上は軽度~中等度の認知症を患っている方ですが、子供のころからの青年期の記憶はかなり鮮明にあるようです。
私は義母の歴史をほとんど知りません。
今度から、少しづつ義母の人生を聞かせていただこうと思います。
その中には、義母が目を輝かせるようなこと、体や頭を使うことのヒントがあるかもしれません。
楽しかった思い出や義母の得意なモノを見つけて、残存能力を活用できることを探そうと思います。
このようなコミュニケーションは、思い出すこと、話すことの訓練にもなるでしょう。
これは、頭を働かせることになりますよね。
ついでに私も、自分の人生を整理する時間を取ろうと思いました。
これからの人生のために。
以上
[参考資料]
「驚きの介護民俗学」
六車由美
医学書院 2012年5月10日 第1版第3刷
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