㉕[介護ライブレポート]本人確認

ケアハウスに入所している義母を眼科に連れて行きました。
前に眼科を受診してから一ヶ月が経っており、2回目になります。
施設で迎えた義母の状態を見てカミさんも自分もびっくりしました。
筋肉の機能が著しく衰えているのです。
前回の受診のときも歩行がかなりゆっくりになっていたのですが、今回は自分では歩けない状態です。
座る姿勢も保つことができません。
前回も歩くのにかなり苦労したので、できるだけ歩行器を使って歩く訓練をしてねとお願いしたのですが、まったくやっていない様子。

もっとも、歩行訓練をしてねと言っても、施設のスタッフさんが義母に付きっきりになる時間が取れるはずもありません。
唯一の動く機会は、自室と食堂を移動する食事とおやつの時ですが、義母の歩行は超ゆっくりなので、移動に付き合えるスタッフさんはいないでしょう。
移動のほとんどは車椅子を使っているようです。

先日、ケアマネさんから連絡をいただきました。
自室の手洗い用の石鹸を変えてほしいとのこと。
今、使っているのは1プッシュ1回分の量が出てくる、ポンプ式の液体石鹸です。
このポンプが押せない状態だと教えられました。
当然ですが、下半身だけではなく、上半身も筋力が低下しております。
すぐに手を入れると自動で石鹸がでてくる電池式のに取り換えました。

なんとか、少しでも動くために、家族が訪問・面会したいところですが、コロナ禍のため面会は原則できません。
話す、座る、歩くなどの動作を義母とやっていくためには、コロナがある程度静まる必要がありそうです。


義母の状態とは裏腹に、うれしいニュースが飛び込んできました。
義母の土地と家を買いたいという人が現れたのです。
売買契約もトントン拍子で進みました。
土地・家の売買の手続きは、うちのカミさんの妹夫婦が大活躍してくれて、大変助かりました。

カミさんと私たちの担当は、売買に関する書類を整えることです。
内容を確認し、義母に説明し、印鑑やサインをしてもらう作業です。
いろいろな書類に、義母に氏名・住所を数カ所に記入してもらうのですが、筋力が落ちている義母にはなかなか大変な作業です。
少しづつ丁寧に書いてもらい、何とか作業をクリアして、最後の難問に挑みます。

それは、「本人確認」です。
「本人確認」とは、土地や家の売買において、書類だけの本人確認では判別できないため、一度は本人に直接面会し、そこに本人が所在することを確認すること。
今回の場合、義母に代わって家族が契約手続のほとんどを行ってきましたので、契約の最終段階に義母本人に司法書士さんが直接行うことになっていたのです。

本来は、面会する必要があるのですが、義母の状態とコロナの影響を考慮して、ZOOMで行う予定でした。
カミさんと私でネットのセッティングを行い、義母の隣で待機する予定だったのですが、オミクロンの猛威で実施できなくなりました。
施設は、原則、面会禁止になったからです。
結果、TELで行うことになり、義母一人で対応することになりました。

事情が事情なので仕方ありませんが、ムチャクチャ心配です。
今の義母の状態で、無事に対応できるのか?
電話で話している時、義母は時々ろれつが回らなくなり、この状態になるとほとんど内容を聞き取れません。
声もよく出るときとすごく小さくなるときがあります。

カミさんといろいろ考えたすえ、電話で訓練することにしました。
本番数日前から、「本人確認」当日と同じ時間に毎日電話し、練習を行うことにしたのです。
自分の名前、住所、土地と家を売ることに同意すること、代理人の名前などを伝えることができるようにするためです。
毎日、義母に電話し、必要なことを話すロールプレイをしました。
日によってコンディションが異なりますが、確かに聞き取りやすくなってきました。
ケアハウスのスタッフさんに事情を説明し、当日の電話の時間に義母のそばにいてくださるようにお願いしました。
コロナ(オミクロン)の特殊な事情も考慮いただき、ご協力をいただけることになりました。
緊張の中で迎えた当日、本人確認の予定時間から1時間後にケアハウスのスタッフさんからTELいただき、無事に終了した旨のご連絡をいただきました。
すぐに、司法書士さんに連絡し、内容的にも問題がないことを確認しました。
晴れて、契約成立です。

TELで大役を無事に果たした義母をほめると、すごく嬉しそうです。
土地・家の売却は、義母にとっても最も心配していたことだったのです。

私は、本人確認が無事に成功したのは、電話の練習が大きな要因だと思ったのですが、それだけではありませんでした。
義母のケアハウスでは、食事や間食で入所されている方が食堂に集まったとき、簡単な発語訓練をしてくださっているとのこと。
また、義母の担当のスタッフの方が、時間のあるときに義母の話を辛抱強く聞いていただいていることもわかりました。
このような、日常の話す訓練が一番役に立ったのだと思います。
いろいろな方のご協力のおかげで、またひとつ難問をクリアできました。
心から感謝したいと思います。

この記事が、皆さまのご両親の親孝行に役立ちますように。

以上

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