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ハチミツは #シロクマ文芸部
ハチミツは、私にとってちょっとした贅沢。
毎日の食卓に欠かせないものではないけれど、あると少し幸せな気持ちになれる。 朝食のトーストに垂らしたり、ヨーグルトに混ぜたり、紅茶に入れたり。
甘さの奥にあるほんのりとした花の香りが、いつもの食べ物をちょっと特別なものに変えてくれる。
今日は、そんなハチミツを久しぶりに買った。スーパーで何気なく棚を眺めていると、さまざまな種類のハチミツが並んでいた。アカシア、レンゲ、オレンジブロッサム……。どれも少しずつ色の濃さが違って魅力的。しばらく棚をの前で悩んでしまった。
よし、今日は国産のレンゲハチミツにしよう。透き通った、まるで夕日が溶け込んだかのような琥珀色がとても素敵だったから。
帰宅して早速スプーンでひとすくい、温めた牛乳に垂らしてみた。くるくると混ぜると、白い水面がほんのりクリーム色になる。
口に含むと、期待通りの上品な甘さが広がった。砂糖の甘さとは違う、ふわりとした丸みのある味。
シンプルなのに、こんなにも満たされるなんて。たぶん、ハチミツがただの甘さだけじゃなくて、花の香りや自然の恵みを感じさせてくれるからだろう。
せっかくだから、明日の朝はトーストにかけて食べることにしよう。
軽く焼いたパンにじゅわっと溶けるバター。そして、たっぷりと塗ったハチミツがじんわり染み込んでいく。 つやつやとしたそれを一口かじれば、バターの塩気とハチミツの甘さが絶妙に絡み合って素晴らしいハーモニーが――。想像するだけで、口の中に涎が溢れてくる。
そこで、ふと思った。ミツバチが一生かけて集めるハチミツは、わずかスプーン一杯分らしい。そう考えると、この一滴がとても貴重に思えてくる。
小さな瓶に詰まった黄金色の輝きは、自然とミツバチたちの努力の結晶なのだ。
少し冷めた、ハチミツ入りのホットミルクをゆっくり飲む。ほんのり甘くて柔らかい味が、寒い冬の午後にぴったりだった。
ハチミツはやっぱり、私の小さな贅沢だ。
小牧幸助さまの企画 #シロクマ文芸部 「ハチミツは」に参加させていただきました。
よろしくお願いいたします。
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