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蔵出し:「アメリカで見た、広島・長崎原爆のこと」from 野菜さらだの『アメリカは、住んでみなくちゃわからない!』(第21回)

※この蔵出しシリーズは、1996年~2002年までアメリカに留学していた野菜さらだが後半の1999年~約三年間、週2回発行していたメールマガジンの記事をそのままそっくりお送りするものです。今回は、毎日更新していきますので、お楽しみいただければ幸いです!

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  野菜さらだの
   『アメリカは、住んでみなくちゃわからない!』(愛称アメすん)
        (1999/8/10発行) 第21号 (火・金曜発行+日曜版)
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 8月6日、9日。今から54年前の1945年、広島と長崎に原爆がアメリカ軍
によって投下された、日本人にとっては忘れることのできない日です。以前、友だちのアメリカ人とそのお父さんで第二次世界大戦経験者という方と食事をした時「こんな風に日本人(私たちのこと)とアメリカ人が仲良く一緒に食事をするなんて、あの頃(戦争中)には考えられなかった」と本当にしみじみおっしゃっていました。今の平和、そういう過去の上に成り立っていることをしっかり認識し、守っていかなければならない、そう強く思います。
 今日は、二度と再び戦争が起こらない(正確には「起こさない」ですね)ことを心から祈りつつ、この原爆をテーマにお送りしたいと思います。

◆本日のテーマ「アメリカで見た、広島・長崎原爆のこと」

その1)「広島・長崎平和メモリアル・セレモニー 
           一大学で、そして町で一」

 先週、私の大学で日本人留学生主催による「広島・長崎平和式典」が行われました。広島・長崎の歴史や写真などの展示に加え、犠牲者を追悼する式典では、被爆者の方が書いた詩と手記を学生さんが英語、日本語で朗読、広島市長からのメッセージが読み上げられ、全員起立しての黙祷と献花も行われました。非常に厳かな中、全てのプログラムが滞りなく行われました。日本人学生会としては初めての試みとのこと、来年からも続くよう応援したいと思います。
 
 その数日後、今度は町の広場で、平和運動を推進するグループ主催の広島・長崎のセレモニーが青空の下行われました。同じように写真の展示や歴史を綴ったポスターの掲示、2人のゲストスピーカーが平和を訴えるスピーチを行いました。それに先立ち、広島出身という20代の日本人の人が聴衆の前に立ち、「何でも質問してください」という質疑応答の時間がありました。アメリカ人の人から「日本人は(この原爆について)怒っていないのか?」「(原爆について)日本の高校でどういう教育を受けてきたのか?」といった率直な質問が投げかけられていました。
 なお、先の大学での平和式典は日本人が半分以上を占めていたのに対し、こちらの青空集会は参加者のほとんどがアメリカ人というのも印象的でした。

その2)日本アニメ「はだしのゲン」

 最近、町のビデオ屋さんで広島の原爆のことを描いた、「はだしのゲン」を見つけ、早速見てみました。ゲンとゲンのお母さんは爆心地付近に居たにもかかわらず、顔は全く無傷、洋服もきれいなままなのには驚きました。主人公以外の人たちは肌が焼けただれ、洋服もまともにまとってはいない状態で描かれていましたが、普通は主人公に注意が向くと思いますので、あの描写をもしも何も知らないアメリカ人が見たら、「なんだ原爆、原爆って言っても、大したことなかったんじゃないか」そう誤解(大きな誤解ですよね)してしまうのではと、事実描写の正確さという点でかなり疑問が残りました。

その3)「原爆の図 丸木美術館」

 まだ私が英語学校に居た頃「一つ美術品を選んでそれについて解説せよ」という課題が出ました。私は「原爆の図 丸木美術館」で見た原爆投下直後の広島の様子を描いた、壁画のような大きな絵のことを思い出し、せっかくの機会なのだから是非あの絵を他の国の人(英語学校なので)に紹介したいと思いました。が、肝心の絵があるかどうか。大学の図書館で調べてみると、何とビデオ、それも原爆の絵だけではなく、丸木画伯夫婦の生い立ちも収められたものがあり、無事発表を行うことができました。いつもは賑やかなクラスメートも流石にシーンと画面に見入っていました。

 余談ですが、この丸木美術館はなぜか繰り返し訪れたくなる場所で、昨年日本に一時里帰りしたときも、アメリカに戻る丁度前日に訪ねました。
                             (つづく)

◆追加情報:以下は、時事通信社1999年8月5日付けの記事からの抜粋です。
「米エネルギー省の国立原子博物館(ニューメキシコ州)の売店で、広島と長崎に投下された原子爆弾を模したピアスなどが販売されていることが分かり、原水爆禁止日本協議会(原水協)は5日までに、「被爆者や遺族の苦しみを踏みにじるものだ」と抗議し、販売中止を求めることを明らかにした。」 
 こういう記事を読むと、ここ合州国で「広島・長崎の原爆」について広く正しく啓蒙することがいかに大切か、日本では毎年行われている、平和式典を今回のようにアメリカで行うことの意義は大きい、そう思います。

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◆お断り:この『アメすん』は、かつてアメリカのオレゴンに住んでいた野菜さらだが個人的に体験した、おもしろい話を友だちや家族に話すようなつもりで書いたものです。アメリカの他の場所とは違う、というエピソードも中にはあるかと思いますが、まあ、気楽に読んで楽しんでください。
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