「規格外野菜を安く買わせて」なんて、農家さんを前にして言えるのだろうか
こんにちは。
皆さんはフードロス問題について何かしてみようと思ったことはありますでしょうか。
学校、職場、友人、家族などで、フードロスについて話たり、または一緒に取り組みをしているという人もいるかと思います。
そもそも、なぜフードロスを無くす必要があるのでしょうか。
勿体無いから?
SDGsの目標の一つとしてなっているから?
それとも何となく?
理由はそれぞれあると思います。
ですが、大した思いもないまま、社会の風潮に流されていてはあまり意味がないと思います。
とはいえ、どんな思いであったとしても、その行動自体は賞賛されるべきことだと思うので、そこまで厳しく言うことはしませんが、ちょっとだけ"生産者側の思い"も知ることができれば、今後の見えてくる景色が変わると思い、この記事を書きました。
ちなみに僕は、これから野菜の移動販売で地域貢献をしていこうと考えている現在JA職員として勤務する20代の若造です(まだ名前は伏せさせてください )
興味があれば読んで頂けると嬉しいです。↓
規格に関係なく生産コストは同じ
何となく耳にしたことはあると思いますが、野菜を含めた青果物にはどれも"規格"というものが存在します。
たとえば、カラシナだと最大でも35センチ、
キュウリだと最大で34センチ程度
それ以上を超えてしまうと個人での売り先がなければ廃棄せざるを得ません。
※(市場に出荷できない理由は別記事で書きます)
「じゃあ廃棄にするぐらいなら私が安くで買い取るよ」っていえば農家さん(生産者)は喜んで売ってくれそうですか?
もちろん、仲が良かったりそれなりに深い関わりがあるのなら、交渉の余地はありそうですが、そうでない場合は絶対に喜ばないと思います。
もちろん、買い手からしてみると、捨てる野菜なんだから、10円でも値段がつくだけありがたいんじゃない?って思うかもしれません。
ただ、ちゃんとした規格でちゃんと出荷できる野菜も、天候不良が続いて思うような野菜を作ることができなかったとしても、かかるコストはほぼ同じです。
同じように水をやり、同じように肥料を与え、同じように手入れをし….
なので、それを知らないと「どうせ廃棄にするぐらいなら」とか、「フードロスが勿体無いから」とかと言う軽はずみな言葉で農家さんを怒らせてしまうかもしれません。
仕事として野菜を作り、生産のプロとして現場で活躍している、いわば職人さんに対して、そのような発言はできないと思います。
"規格"とは僕たちが作っている事実も同時に知ること
驚くかもしれませんが、"規格"というのはもちろん市場が定めているのですが、それ以上に僕たちは無意識に規格に対して敏感です。
スーパーへ行けば、同じ料金を支払うならできるだけ商品を見定めて買い物カゴに入れるはずです。
このオクラは長すぎるかな?傷んでないかな?
じゃがいもは、ほんの数グラムかしか変わらないにも関わらず手に取って見定めてみたりします。
捨てるのは勿体無いとか言う僕らが、並べられている商品をバイヤーのような目つきでチェックしています。
そして、規格外野菜たちを見ると勿体無いとかを口にして、「商品にならない野菜は加工しればいいのにね」とかも言い放ちます。
そもそも規格外の野菜は加工することすら難しい現実があります。
なぜなら、加工するにも人の手でやるのなら問題ありませんが、ほとんどは機械で加工したりします。
なので、その機械にとおすことができない大きすぎる野菜だったり、小さすぎる野菜というのは加工すること自体がそもそも難しいということになります。
僕たちがやるべきこと
野菜の移動販売をする上で、大切にしたいことはいい野菜だけを仕入れるとか、規格外になった野菜を半値で仕入れるとか、そういったことではなくて、まずは自分が捌けそうな野菜なら何でも仕入れようと思います。
ゴーヤーの規格外なら、カットして冷凍販売もできるし、小さすぎるジャガイモは、量り売りにし、一つ一つに値段をつけて販売できたりもします。
「じゃあなんでスーパーはやってないの?」という言葉が聞こえてきそうです。
スーパーは大量仕入れ大量販売に対して、一つの作業を増やすだけでその分のオペレーションコストが発生してしまうからです。
人件費、機械のリース代、光熱費、それを管理するその他業務が発生してしまうため、原価率の低い青果物ではなかなか実現するのが難しいところがあったりします。
(※スーパーで袋に入っているものは、農家さんが出荷する段階で入れている場合がほとんど)
ですが、僕みたいな小規模経営はできる範囲で、しかも100人の農家さんを幸せにする必要はなく、まずは目の前にいる一人の農家さんに対して真摯に向き合うことで、今後の自分のポジションを掴みつつ前進して行けたらいいなと考えています。
美味しければ正直見た目なんて関係ないはずなので、それを証明するためにも買ってくれるお客さんをはじめ、生産者に貢献できる事業作りをしていきます!!
補足
めっちゃ綺麗に育てられた野菜も、規格外となってしまった野菜も、生産コストは変わりません。
それを知って頂けるだけで、僕も農家さんも喜びます。
みんなで本当の意味でのフードロスを無くしていきましょう。
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