愛のある翻訳が素晴らしい!フォレストガンプの愛読書 ~ひとまねこざる~
よく行く図書館が休業になったので家にいます。全国的に家にいよう週間になので、そうするべきなのですが…本が読みた~い!
仕方がないので、自宅の本棚から古い本を引っ張り出してりしていたら、懐かしい本が出てきました。それは、ひとまねこざる。
おうちで過ごそう!のおともにおススメします。
フォレストガンプの愛読書、ひとまねこざる
今は、おさるのジョージとよばれていますが、僕が子供のころはひとまねこざるでした。この本、歴史が古く、本国アメリカでの初版は1941年、日本版は1954年。
映画フォレストガンプでは、主人公フォレストの愛読書として結構重要な小物として使われていましたね。お母さんの読み聞かせのシーン、近所の女の子と並んで読むシーン。大人になって公園のベンチに座っているシーンでも傍らに置かれていました。
僕も一番初めに好きになった本です。今回、久しぶりに読み返してみて感動しました。もう、書かれていることばがとても優しいんです!
なかよしのきいろいぼうしのおじさん
これはさるのじょーじです。なかよしのきいろいおじさんといっしょにくらしています。
好きだったんですよねぇ… このはじまり。すべてひらがなで書かれているのが時代を感じる… 縦書きですし。
原文だと直訳すれば、友達の黄色い帽子をかぶった男の人なのですが…
his friend, the man with the big yellow hat
これだとなんだかそっけない気が…
ところが日本語版では、フレンドが「なかよし」、男の人が「おじさん」。グッと親しみやすくなりましたね。
特になかよしってステキな言葉ですね。しばらく耳にしていない気がしますが、いまの時期、とても心地よく胸に響いてきます。
しりたがりやがひとまねに…
英和辞典を引くと"curious"は、好奇心の強いとか物を知りたがるとか書いてあります。これをしりたがりや、と名詞形にしたところにセンスを感じます。
まさに、大人とおんなじことをしたくて仕方がない子どもの雰囲気がバッチリ表現されているじゃないですか。大人のしぐさをそのまんまコピーする小さい子どもたちの様子が目に浮かんできますものね。
想像ですが、きっと訳者は、タイトルの "Curious George" を一体どんな風に翻訳するか悩んだのではないでしょうか?今だとおさるのジョージですが、これだとジョージがどんなサルなのかまではわからない。
物語を読んで一番最後に、なんでも真似しいのサルだから、ひとまねこざるにしよう!となったのかもしれません。
それにしても、タイトルからジョージという固有名詞を取ってしまうのには勇気がいったんじゃないでしょうか。
日本語としても美しい文章
僕が好きなひとまねこざるシリーズは、岩波の子どもの本のシリーズ。翻訳者の光吉夏弥さんの文章がとても優しいのです。
平易なのですが、主語と述語がはっきりしていて、誰が?何を?どうしたのか?がよくわかる。小学校の国語の教科書に、そのまま使われてもいいのではないかと思うくらいの正統派の文章なのです。
でも、窮屈な感じは全然なくて、むしろ柔らかくてスラスラ読める。絵を楽しみながら物語を追えて、さらに文章も覚えられるような…
光吉夏弥さんの子どもたちを思う愛情が感じられるのですね。きっと、愛情の深い方だったのですね。
面白いのは、スパゲッティがうどんと訳されているところ。この作品、発表されたのが、1954年(昭和29年)。まだ、スパゲッティが日本には出回っていなかったのです。
スパゲッティ製造機が日本に輸入されたのは翌年の1955年のことでした…
お子さんへの読み聞かせはもちろん、大人の方々にも楽しんでいただきたいですね。
6冊セットもありますよ!