コロナ禍でも強かった人たちシリーズ #7
例年3月、日本中で幼稚園や学校の卒園式、卒業式が執り行われます。ところが、昨年は緊急事態宣言直前、世の中の式典やイベント、催事などが自粛されている時期で、多くの卒園式や卒業式が中止や縮小開催となりました。
首都圏のあるKids Duo International(KDI:キッズデュオインターナショナル)の卒園式も例年その時期に行われます。年少々生からの4年間の成長を振り返る大切なイベントで、毎年外部施設を貸し切って学年全体で盛大に行っていました。
しかし昨年の卒園式は、感染拡大が進み、もはや不可能ではと思われましたが、それでも何とか中止にはせず、密を避けてクラス単位でささやかに実施しました。
先生もスタッフも総出で、できる限りのことを精一杯やったものの、例年の華やかさに比べると小規模に実施せざるを得ず、保護者の皆さんもがっかりしてしまっただろうと残念に思っていたそうです。
ところが終わってみると、保護者の皆さんからは残念だったという声よりも、むしろ「卒園式がないかもしれないと思っていたのに、やってもらえて本当に良かった」、「アットホームな雰囲気で感謝の気持ちを分かち合えた」といった言葉が多く寄せられました。
また、KDIは保育施設であるため、緊急事態宣言下であっても卒園式後も休園せずに園児を預かっていました。自主休園をしている園児のご家庭には毎日動画レッスンを配信し、小まめに電話をかけ、お子さんの様子や保護者の悩みを聞きました。
その頃のスタッフは、常に冷静に、落ち着いて対応し、電話をかけるように心がけました。
誰もが不安を感じ、精神的に不安定になりやすい時期だけに、そのようなスタッフの姿勢は、預けている保護者にとっても、また自主休園している保護者にとっては子どものことをスタッフと話すだけでも、安心につながっている様子がうかがえたそうです。
園長のOさんは、「コロナ禍での対応で園に対する保護者の信頼や保護者との心の距離がぐっと近くなった」と実感しています。保護者からは温かい言葉をかけていただき、毎日のようにマスクや消毒液などの差し入れも届けられました。
コロナ下でも休園せずに続けていたこと、小規模であっても卒園式を実施したことなど、一つひとつの取り組みに加え、スタッフの姿勢が評価されたのだとOさんは推測していますが、スタッフの姿勢については、一過性のことではなく、日頃からの共通した意識と実践によって培われていたものでした。
「できない」ではなく「どうしたらできる」を考えよう。
スタッフ全員が一つのチームとなってこれを認識し実践したことが、今回のコロナ下における保護者から感謝の声と評価につながり、今はまたそれがスタッフの自信の源となっています。
コロナ禍のこの1年でOさんがさらに確信したのは「有事の時こそ平常心。慌てずいつも通りに」。現在は、いまだ収束の見えないコロナ下にあっても、子どもたちと過ごすいつも通りの一日一日を大切にしているそうです。
あれから間もなく1年。コロナ禍にあっても卒園式が少しでも良い思い出になるようにと、KDIでは着々と準備を進められています。