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歩く産業廃棄物
2021年4月15日 19:25
会計の時、優華は丸井の前に手をかざし、万札を2枚机に出した。丸井は何も言わず、頭をペコリと下げ、先に店を出た。 外気は酒で壊れた身体をアイシングするかのようにひんやりとした。「丸ちゃん、今日はおおきにね。」優華は酔いが回ったのか、おぼつかない足取りで店から出てきた。「何をいうてんねや。こちらこそご馳走さんやで」 丸井は酔っ払ったフリをして、優華の肩を叩いた。 ささやかながらのボディー
2021年4月3日 19:56
外に出ると雨はすっかり止み、綺麗な月が人々の罪を照らすかのようにはっきりと見えた。 「きれいな月やね。余計に酔ってしまいそうやわ」優華はセミロングの髪を風に靡かせながらそう言った。「月はいくら綺麗でも、この機械油の臭いで台無しやがな。鼻の穴に556ぶち込まれた気分や」 丸井はグニャっと曲がったハイライトの煙で綺麗な満月を覆い隠すように夜空に吐き出した。「ほんま口悪いな丸ちゃん。556鼻