「お母さんまだまだ諦めたらあきません」
私は至ってナマケモノの母なので、ときどき担当してくれているガイドヘルパーさんからカツをいれられます。
大きくなると歯磨きも仕上げもさせてくれなないし、入浴も1人でしたいからいい加減な洗髪、洗体だろうが、仕方ないと諦めてきました。つまり親のケア限界を感じはじめていました。
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息子は赤ちゃんの頃、口腔内の難しい手術をしたので、成長すると歯並びがひどくなりました。だから長らく矯正歯科で治療をしてきました。22歳で治療が一段落したと同時に主治医は退職され、息子も子ども病院を卒業しました。
先生方、歯科衛生士の治療とケアのおかげと歯のケアに気を配って来ました。電動歯ブラシを導入し、半年に1度、歯医者でケアに通院していました。
ところがこの夏、歯の並びに変化が出てきたので、退職された担当医の開業先を探し出し再び治療が始まりました。
おりしも電動歯ブラシが不良で修理に出している間、歯ブラシを持たせて歯磨きをさせましたが、手を動かさないのです。おかげで口腔内の状態が目に見えて悪くなりました。注意してもへらへらと笑って逃げていきます。無理矢理押さえつけてケアするには180センチの巨大な息子を制圧することは不可能です。これは親のケアの限界かなぁと思いながら声をかけてきました。
今日歯医者の先生から「歯が汚すぎて治療ができません。」と言われました。
ショックでした。
「お母さんまだまだ諦めたらあきません」「彼はまだまだ成長できます。諦めないで頑張りましょう。」ヘルパーさんの声がこだましました。
先生が「親知らずを抜歯して口腔内の状態を良くしましょう。なんとしても乳歯を温存しなけれななりません。」と言いました。
永久歯が生えてこない息子にとって、いまある乳歯が生命線であることを、私はすっかり忘れていました。
母、覚醒!!
「歯の汚い人は新幹線にも飛行機にも乗れないから、旅行に行けないよ。歯が汚いと警備員さんに別室に連れていかれるから、しっかり歯を磨きなさい。」息子に言い聞かせると、神妙な顔で聞いていました。
スタッフさんが笑いを必死に堪えているのが見えました。
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思えば先生と再会したのは天の采配です。
治療できるようにケアと様子観察のために矯正歯科に通い、同時に抜歯のための口腔外科の病院を紹介される運びになりました。11月には地元歯科でのケアも入ります。
「お母さん1ヶ月に1回ぐらい来てもらうのは負担になりませんか。私は息子くんが来てくれるは嬉しいです。」10歳ぐらいから息子を見ていてくれた先生の言葉をありがたく受け取りました。
電動歯ブラシが修理から戻って充電も完了しました。事業所やショートステイでも歯磨きがしやすいように携帯用の電動歯ブラシを注文することにしました。
さあどんな治療も受けて立つ。初心にかえって息子の口腔ケアに頑張るぞ!と密かに決意をした9月6日でございます。