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雨漏り。それでもラッキー
仕事が一段落しホッと一息ついた土曜の午後でした。ピンポン、ピンポンと焦るように何度も鳴り響きました。
「隣ですが水漏れしてます。この部屋は大丈夫ですか。」
見たことのない隣人がいました。すぐに確認すると和室の天井から水漏れがありました。「ぎゃっ」と叫んですぐに新聞紙を敷き詰めました。そのまま隣人はあちこちに声をかけに走って行きました。
嫌な予感がしてビニールシートを買いに走りました。みるみる天井のあちこちから水が落ちてきました。友達に写メを送りましたら「そっちに行く」と返信がありました。
ビニールシートで家具を保護して、貴重品を取りまとめました。「今夜避難が必要になるか否か・・・」
さて知的障害のある息子はどうする?機嫌良く遠足に出かけているが、通常ではない状況を受け入れられるとは思えません。
まったく人生は何が起きるか分からんなぁ。
・・・
やや呆然としているところへ友だちが雑巾、みかん、手作りの大学芋を持参して転がり込んできました。状況を説明しました。現在、修理業者待ちですが、水はまだ漏れています。
「実家に息子くんを預けるなら最寄駅まで私が連れて行くが。」
「いや緊急ショートステイが可能かを交渉しよう。」
ショートの空きがあり受け入れはOK。夕食も確保できました。あとは息子くんが受け入れるかどうかです。それも含めて手早く打ち合わせを行いました。
1人でぼんやりしていましたが、誰かが隣にいてくれると正常な判断ができました。Aちゃんに感謝しかありません。
・・・
冷静になるためにちょっとお茶にしようと秘蔵の母恵夢の期間限定プリン味と珈琲で一息つきました。
「そうそう金柑があるけど、好き?」「好きすき大好き。」ということで、友だちに送ってもらった金柑を2人でいただきました。ラスト2個でした。
「美味しいね」
1人より2人で食べる方が金柑もお菓子も絶対に美味しいです。
そこへ水道屋さん、建築屋さんが次々にやってきてくれました。思うより重症なようです。それでも居間と台所が無事なのでよかったです。
最後に電気屋さんが来てくれて漏電のチェックをしてくれました。天袋の水漏れも確認されました。ほぼ空箱でしたし、5月人形の手前で水が止まっていました。雛人形も無事でした。布団は娘の布団が少しだけ濡れていました。でも私と息子のは無事でした。なにより漏電の心配がないので安心しました。
水漏れが落ち着いたので、2人でビニールシートを引き直しました。
「Aちゃんが来てくれたしね。やっぱり私は運がいいわ。」
「ダンナと一緒に居たくないから、ちょうどいい息抜きになったわ。」
Aちゃんはカラカラ笑いながらダンナさんの悪口と大家さんへの悪口を言いながらテキパキと片付けを手伝っくれました。
・・・
息子が帰宅して一悶着ありました。いつもと違う家の状況に怯えて固まりました。ショートステイは拒否、実家に行くのも嫌だと言い・・・涙ながらパニックを起こし部屋中の水避けのビニールをはがそうとしました。仕方ないのでAちゃんと2人で息子を見守りました。
少し落ち着いたところでAちゃんが帰っていきました。ちょうど隠しておいた岡山の銘菓むらすずめをお土産に手渡しました。
・・・
とんだ1日でしたが、お隣さんの声掛けで早めに対処することができました。業者さんたちも急なことでしたが駆けつけてくれました。家の半分は生活可能です。Aちゃんが駆けつけてくれました。久しぶりに会って最後の金柑を一緒に食べれました。息子も落ち着いてくれたし、ショートステイ先も事業所も柔軟に緊急対応をしてくれました。
「それにしても、あんたが在宅していたのが1番ラッキーだったね!」Aちゃんの言葉に「私たちは運がいいからねー」と笑いました。
いろいろありましたが今日も生き延びる事ができました。これが1番ラッキーでした。