好きな恋愛映画を語る Vol.5 ビフォア・サンセット
どうも、ヤンパチーノです。今日はnote小説『それまでのすべて、報われて、夜中に』の更新をお休みして、好きな恋愛映画を語る回とさせていただきます。今回はVol.1で取り上げた『ビフォア・サンライズ』の続編、『ビフォア・サンセット』です。
Vol.5:『ビフォア・サンセット』(2004年)
この作品の前作『ビフォア・サンライズ』は、旅先で偶然出会った若い男女の一夜を描いた物語で、全くの他人だった二人が会話を通じてお互いを知り、徐々にお互いの好意に気付いていくという、恋愛のプロセスにおける最高の瞬間が見事に描かれていました。
今回紹介する『ビフォア・サンセット』は前作から9年後を描いた作品で、実際に前作から9年後に撮影しています。前作で20代前半で若さが弾けていたジェシー(イーサン・ホーク)は30代に入りかなり中年感を醸し出しており、否でも時間の経過を感じさせます。一方のセリーヌ(ジュリー・デルピー)も当然歳を重ねて落ち着いているように見えるのですが、どこか少女らしさを残しています。
9年前のセリーヌとの一夜を小説化した本がベストセラーとなったジェシーは、ヨーロッパ各国の出版記念イベントを巡り、最後にパリの書店を訪れます。するとそこにはセリーヌの姿が。前作のラストで半年後にウィーンで会う約束をしていた二人は結局会うことができず、今回が9年振りの再会であることがわかります。そして、ジェシーが帰国のために空港へ出発する時間までの数十分間を二人で過ごします。
前半は、お互いの近況報告を中心にたわいもない会話が続きます。本当は聞きたいこと、話したいことがあるのに切り出せず、関係の無い話をする感じが、やはり自分にも思い当たり過ぎて悶々とします。
そして、ジェシーが空港に行かなくてはならない時間が刻々と近づくに連れ、お互いの本音が漏れ始めます。お互いに今の生活に満足していないこと、その理由は9年前の恋愛が忘れられないから、、、ということがわかってきます。過去の実現しなかった恋愛が忘れられずに、今の恋愛に満足できないという状況、これまた思い当たる節があり過ぎて胸が苦しくなります。
ここで、映画の前半のジェシーのセリフ「想い出って変えられる、生きている限りね、、、」が響いてきます。オレに(笑)
そして、最後に立ち寄ったセリーヌの部屋で彼女のオリジナルソングを聴きます。これはジュリー・デルピーの素朴な歌声も含めて、こんなの聴いたら、、、という内容で窒息寸前です。オレが(笑)
映画は、ジェシーが飛行機に乗るのを辞めて、セリーヌの部屋に留まるところで終わります。忘れられない恋愛を9年越しに更新した二人。そして、オレは、、、
というわけで前作に続けて、今作も大きな衝撃と余韻を残してくれました。前作に比べると、長い時間を経た切実さが加わっている分、お互いを求める気持ちが強く、恋愛映画としての純度は高まっているとさえ感じます。
今回、この記事を書くに際して、久々に映画を見返したのですが、これまでと違う見え方になった大きなポイントがありました。それは現在、自分も過去の忘れられない恋愛をモチーフに小説を書いていることです。気付いたらオレはジェシーになってた。。。(笑)
ジェシーの「いつでも思い出せるように小説にした」というかなり気持ち悪いコメント(それを相手に向かって言ってることも含め)に激しく共感しつつ、セリーヌが小説を読んで「他人の記憶の中の違う自分を見てるよう」と話すのを「そんな風に感じるのか、、、」と興味深く聞きました。
こんな風にこの『ビフォア〜』シリーズは自分の年齢やライフステージよって感じ方が変わってくるという、なんとも奥が深い映画です。
またどこかのタイミングで、この映画の更に9年後に公開されたシリーズ完結作『ビフォア・ミッドナイト』についても記事を書きたいと思います。
おまけとして、Vol.2『ミッドナイト・イン・パリ』で紹介したのと同じパリ旅行でのロケ地巡り。
↓二人が再会する書店
↓二人が話しながら歩くセーヌ川沿い
最後の最後に余談ですが、先日、半年間のゆるフリーランス期間を経て、再び企業へ転職しました。時間に余裕がある中で小説執筆や音楽制作を始めたので、現在は仕事しながら創作活動する大変さを痛感しています。世の中にいる仕事をしながら創作活動をしている全ての皆さんにRespect!!!
シリーズ三作目『ビフォア・ミッドナイト』についての記事はこちら↓
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