その企画にあなたの「本音」はありますか?神保町で考える「私ならぜったい読む」をつくるために。
神保町で行われている編集者による対談企画。その第3回目に行ってきた。イベント名がすごく好き。神保町編集交差点。語呂も組み合わさってる単語も好き(何回か言いたくなる)
今回のテーマは「『私ならぜったい読む』をつくるために」
このテーマを見たときに、即座に申し込んだ。というのも、自分の目標として「いつかお酒が呑めない人向けのサービスをつくる」というものがあるのだが、なかなか具体的な企画として思いつくものがないのである。
まさに「私ならぜったい読む」と感じるものをつくれれば良いなぁと思っていたときだったのでドンピシャだった。(自分がお酒呑めないので)
会場は神保町の神保町EDITORY。チケットは完売したそうで、雨がパラパラと降る中だったが、席もほぼ満席だった。
登壇者の方は2名。カジュアルファッションマガジン「Maybe!」編集長の小林さんと、女性の恋愛に関する悩みを解決するメディア「AM」の編集長の金井さん。
「Maybe!」も「AM」も女性読者がメインのメディアだが、男性の自分が見てもすごく面白い。メインターゲット以外の読者が読んでも面白いというのはコンテンツとしてすごいことだと思う。
一通り自己紹介の時間が終わったあと、司会の今井さんの進行でまずは「編集方針」の話からスタート。
ここで印象的だったのは、金井さんの「ハウツーではなく、本質的な解決を目指す」という言葉。「〇〇するための〇〇5選」などの記事はもうすでに世の中にたくさんある中で、自分たちにしかできない1歩踏み込んだ内容を作る。そのためにも、表面的でなく「本音であるかどうか」が一つの判断基準になるのだろう。
(イベントの冒頭でも紹介されていた金井さんのツイート。この「勝手な設定を燃やせるか?」というのがコンテンツを作る上で重要な軸になっているように感じた)
小林さんのおっしゃっていた「(編集部員の)本当にやりたいことを重視する」という言葉もここに通じているような気がする。「人気だから」という理由だけでは、他で既にやっていたり、どこでもできてしまう企画になる。やりたいことや好きをとことん追求した結果、「そこでしか読めないもの」が生まれるのかもしれない。
次のトークテーマは「バランス」について。好きなもの・やりたいことを追求する中での市場との関係性や、会社員として働く中で自分のやりたい企画を通すには。
ここで良いなぁと思ったのは、小林さんの「市場に雑誌を合わせない」という言葉。広告に関しても、自分たちのやりたいことを提案して、共感してもらえたクライアントと一緒にページを作る。だからこそ、広告ページを含めて自分たちが本当に良いと思ったページになる。
あとは、金井さんのおっしゃっていた「合う商材、合わない商材はある」というのは広告ページにおいて意識しておかなければいけないポイントだと思う。
そして3つ目のトークテーマである「チーム」で、この日イチバン記憶に残った言葉が出てきた。それは小林さんの「◯◯みたいな◯◯がしたいは、企画ではなく模倣」というもの。
◯◯みたいな特集ページを作りたい。◯◯みたいなイラストを描きたい。◯◯みたいな、◯◯みたいな・・・
企画を通すのであれば、売れているものを模倣した方がイメージも湧きやすいし、周囲の理解は得やすいだろう。でも、それだと新しく企画する必要がない。
そんな時にヒントになるのは、金井さんのおっしゃっていた「自分の経験から書く」ということだと思う。作り込んだ何かよりも、本音で語れる体験談の方が独自の切り口になる。ふと思うと、Twitterにもそんな人気アカウントの人が多いような気がする。
本音から始まる企画。好きで好きでたまらない誰かを取り上げた特集。自分のコンプレックスと向き合った連載。大好きな世界観を表現できる広告ページ。
個人の本音を追求するからこそ、その人にしか企画できないページが生まれる。「これが良い!」と胸を張って言えるコンテンツができる。その結果、共感できなくても、読者は面白いと感じる。
金曜の夜ということもあり、会社の先輩の飲みの誘いを断ってしまったが、ここに来てよかったと思える2時間だった。何よりも登壇者のお二人がすごく自然体でユニークな方々だったので、終始笑っていたような気がする。(深夜番組に少し近い雰囲気で、むしろメモできなかった逸れた話の方が面白かったかもしれない。聞けたのは会場にいた人の特権。)
「コンテンツを作るぞ!」と意気込むよりも先に、雑談の中で生まれた面白そうなことや、自分が本当に悩んでいることと向き合ってみることから始めようと思います。