クララとお日さま
物語は、店のショーウインドウに展示された、一世代前の人工親友「クララ」の見ている世界からはじまる。店内には最新型の人工親友もおり、あたかもそれぞれが一人の「人間」であるかのように振る舞っている。
店長は、ペットショップのペットをかわいがるかのようにそれぞれの人工親友の面倒を見ている。
ある日、かわいらしい女の子「ジョジー」がショーウインドウにやってくる。クララを気に入ったようだが、なかなか購入してはもらえない。やきもきしていると、やがてクララは購入され、お屋敷に住むことになる。
人工知能っぽい表現があちらこちらにちりばめられているが、クララは自分のできる範囲で「周りの人々が幸せになるように」精一杯努力する。
いつしか、読者である私はクララを自分の親友のように見守りながら物語を読み進めるようになる。
そして、クララにとっては全てが初めての経験であり、クララ自身は特段疑問に思わないが、2020年の現在に生きる私にとってはどことなく違和感のある世界の中で、物語は静かに進んで行く。
単なる未来のお伽噺の断片として読み流すこともできるが、一つ一つの状況を深く掘り下げていくと、未来社会の抱える闇が見えてくる
ストーリーは一本道で、かつ登場人物もそんなに多くはないのでどんどん読み進めていくことができる作品。
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