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イルミネーションに1ミリも興味が湧かなくて21年目

タイトルの通りなのだけれど、イルミネーションに限らず私は、何事もそのまま受け取ることができずに現実的なことばかりを考えてしまう。

かき氷は溶けたら水だし、可愛いぬいぐるみの中身は綿。ファミレスで出てくる食事はチンだし、テレビのインタビューはだいたい盛ってる。

ディズニーのパレードのキャラクターたちの中身ばかりを想像してしまう。頭にかぶった着ぐるみごとあんなに大きく首を縦に振るには友達と会話しているときのように頷くだけではきっと足りないから、どんだけ大きく首振ってんだろう、とか。

そんなことを考えながらパレードを見ていたら、友達から「藍、つまんない、、?別の場所行く?」と言われて焦った記憶がある。


それと同じで、イルミネーションを全体的に見ることができない。一つ一つの電球に繋がれた配線ばっか見て、これどこで束ねられてんだろうなと考えてしまう。

毎年訪れる冬が億劫だ。友達と一緒にイルミネーションを見る時間が苦痛だ。

「わあ綺麗」と言った友達の声に共感することが、自分に嘘をついているようで胸が痛くなる。何も言わないのは空気を悪くするし、「これ電気代いくらするんだろうね!」なんて言ったら友達の高揚した気分は台無しになるんだろう。その場の雰囲気を崩すことが何よりも怖くて、私は友達に続いて「綺麗だね」と言う。



イルミネーションに興味が湧く方法を考えたこともある。感じたままに!見たそのものを!良いと言えば良い!と思って挑戦したが、別にそこまで綺麗ではないことに気づく。

そんなに広い土地じゃなければイルミネーションなんてパッと見たらそれが全てだし。それ以上なにか起きるわけでもない。とにかく寒さだけが残る。

みんなその場の雰囲気に魅せられているんだろうなとは薄々感じている。一緒にいる人が恋人だとロマンティックな雰囲気になるというのは誰が言い出したんだろう。みんな、寒い中わざわざ外にいることに価値を持たせなくてはと本能的に焦っていたら面白いのになと思う。私は最低だ。イルミネーションを飾る人たちと片付けをする人たちの気持ちになれない。


冬 × イルミネーションってなんでこんなにも強いんだろう。夏 × 海。これも強いな。


冬本番。みんなきっと光に包まれたがるんだろう。

「わあ綺麗」

そう言えよ。

私はもう、うまく共感する術を、21年間で学んできたから、誰よりもうまく共感してやる。

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