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ライムライト

朝出かける準備をする時には必ず音楽を伴う。

朝はわりとなんでも聴く。
クリスチャンミュージックも、歌詞のないジャズも、好きなバンドも、昔好きだったK-POPも。
とにかくなんだっていいから音楽がほしい。
何も聴かずに過ごす日は、思い出せるだけで一日たりとも存在しない。

今朝は久しぶりにPlastic Treeが聴きたくなって、一番新しいアルバムを再生した。
(本当はゲシュタルト崩壊というアルバムが一番好きなのだが、Apple musicでは公開されていない。信じがたい)

一曲目のライムライトという曲は、朝の爽やかさにはそぐわない。
何か不安になるメロディは美しいと思うけれどどこまでも陰鬱だ。
そこへ持ってきてボーカル有村竜太朗の独特すぎる唄声。心から聴き手を選ぶバンドだと思う。



彼らの音楽に出会ったのは高校生の頃。
当時私が通っていた学校ではなぜかヴィジュアル系の音楽を好む生徒がやたら居た。
私はといえば特にヴィジュアル系には興味がなく、どちらかといえばアンチだった気がする。

みんなこぞってガゼットを愛していた。

私は案の定ハマれずに、それでも代わる代わる貸し与えられるCDやDVDを断れないまま観聴きしていた。
今は懐かしくてたまに聴いたりする。
今年れいたが亡くなったことは、ものすごくファンだったわけではないけれどやっぱり深いショックを受けた。



そんな中で、私は周りから外れた勝手なルートでムックというバンドに出会った。
みるみるうちに惹き込まれて、二十年近く経つ今でも変わらず愛している。

当時YouTubeは私にとって画期的で、ムックのミュージックビデオを一人観漁っていた。
そしてあらかたパトロールを終える頃、YouTubeが差し出してきたのがPlastic Treeだったのだ。


とにかく声に心を奪われた。

何もうまいことは言えない。
ただそれだけだ。

正直好き嫌いは分かれると思う。
前述した通り、聴き手をことごとく選ぶ。
ただ、こんな声で唄う人が居るのだなという発見には出会える、必ず。


私は今でもプラを知れて良かったと思っている。


だがしかし。

ムックやプラを愛する子は周りには居なかったので、いつも退屈していた。
特にPlastic Treeはバンド名であることすら伝わらないため、あまり実生活で好きな音楽の話題を交わすのは得意ではない。
何か気まずい空気が流れてしまう。


そんな二十年弱を過ごし、つい最近。

職場のひとつ年下の女の子が、なんとどちらも知っていた。
(他のスタッフはTHEE MICHELLE GUN ELEPHANTを知っていた。アメージング)

なんて素晴らしい職場なのだろう!笑


少し話が逸れるが、その年下の子と話していて思い出したのがKERAという雑誌だ。
今でも存在しているのだろうか?
もう懐かしすぎて涙が出そうだ。

私は山内あゆみアヤコシラタマというモデルさんが好きだった。

原宿系ファッション誌で、そりゃもう個性を煮詰めたような人しか載っていないから、毎月ワクワクしながら読んでいたっけ。
ヴィジュアル系バンドの紹介ページや、バンドマンがモデルとして掲載される時もあった。
もう二度とあんなにアガる雑誌には出会えないと思う。
私の青春そのものだ。

ちなみに職場の彼女はZipper派だったそう。
いずれにしても懐かしい。
彼女と盛り上がっていた時、私の中の私は当時に逆戻りしていた気がする。
ど金髪でピアスまみれ、グレーを通り越してシルバーみたいなカラコンと黒の囲み目メイクで笑っていた、そんな気がする。


そんな話をしていたから、急に思い出したようにプラを聴きたくなったのかもしれない。

時々「当時」に帰る瞬間がある。
過去を振り返るというのは賛否両論あるとは思うが、私は自分が帰りたいと言う時には好きにさせてやる。
ひとしきりあの頃この頃を感じれば満足してすぐに戻って来るのだから。
そしてまた今や未来を見ようとするのだから。

束の間の時間旅行だと思って楽しんでしまえ。


月明かり、突き刺さり ライムライト
照らしたのは 欠けたこころ
回り出す、踊り出す ライムライト
賑やかす星の喝采

ライムライト/Plastic Tree


余談も余談だけれど、有村竜太朗という人は歳を重ねれば重ねるほど美しくなっていく。
彫刻なのではないかと疑ってしまうほどに。

勝手に見習おう。


それでは、また。

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