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特定の相手を想像できなければ支援できない

たまに、職場の前で募金活動をしている大学生たちを見かける。一部始終が全て聞こえてくるので、気にはなっている。「世界の恵まれない子どもたちのために、募金活動を行っています!よろしくお願いします!」「よろしくお願いします!!」

「集められたお金は、ユニセフを通して世界の恵まれない子どもたちに届けられます!」「募金活動に、ご協力、お願いします!!!」「お願いします!!!」


この一連の声かけが聞こえてくる。誰かがお金を箱に入れると、全員で、ありがとうございます!!!!とお礼を言う。元気が良くて素晴らしい。


しかしわたしは、この元気な声を聞いていつも疑問に思うのだが、彼らのモチベーションはどこから湧いてくるのだろうか?世界の恵まれない子どもたちとは、どこの子どもたちのことを指していて、彼らの頭には、どんな子どもたちの顔が浮かんでいるのだろうか?

ご存知の通り、世界にはたくさんの恵まれない子どもたちがいて、貧困の程度や性質、環境などが異なる。それぞれに的確な支援を行うにはユニセフのような専門機関にお金を寄付するのが一番良いだろう。なんの知識もなく支援を行っても、学生の自己満足で、お金やエネルギーが無駄に割かれてしまうこともあるだろうから。


しかし、大学生だ、怖いもの無しのなんでもできる身分。エネルギーも時間もあり余っていて、しかも彼らは、世界の恵まれない子どもたちのために何かしたいというモチベーションがあるのだ!いったいなぜ、その彼らがやると決めたことが1時間程度の募金活動なのだろうか?そのやる気は、どこから湧いてくるのだろう?わたしはいつもそれを不思議に思っている。


特定の相手を想像できなければ支援できない

彼らのことを、そして募金活動を否定しているのではない。ただ、わたしだったら、どこの誰のためにやっているのかわからなければ、そんなにやる気が湧いてこないと思うのだ。だから、彼らのモチベーションの源が何なのか、不思議でしょうがない。

例えば、保健所の動物たちを救うための募金だとしたら、動物が好きだから小さな命を救いたい、愛犬家だから犬の命を助けたい、うちの猫は保健所から連れて帰ってきたから同じような志の人を応援したい、など、具体的な支援のモチベーションが湧くだろう。支援の相手も頭に浮かび、お金が何のために使われているかを実感できる。

そういえば、わたしはフィリピンのNGOでインターンをしていたことがある。その1年前に訪れた施設で、ある特定の境遇を持つ女性たちと子どもたちに出会った。彼女たちの境遇が他人事には思えず、学生なりにも何かできることがあればいいなと思って行動に移した。一人でフィリピン行きを決めたのは、一年前に出会った人たちの顔が浮かんだからだった。

ヨランダ台風でフィリピンが甚大な被害を受けたとき、支援物資を送った。もちろん被災者の人たちを知っているわけはなかったが、フィリピンの友人たちの顔が浮かんできた。彼らの友人が、被害に遭っているかもしれない。そして、津波の被害を受けた東北の人たちのことも思い起こされた。自然災害の恐ろしさは日本もたくさん経験している。知らない人たちだけれど、じゅうぶんわかったつもりだった。だから、支援したいと思った。


彼らの募金活動もいいかもしれない。小さい子どもがお母さんからお金を受け取って、小さな手で募金をしていたのを見た。募金活動をやってよかった!とその瞬間みんなが思っただろう。


しかし、時間もエネルギーも、考える力もある大学生だ。世界にはどんな境遇の人たちがいて、自分たちはその中でどんな人たちを助けたいのか。その人たちのために自分には何ができて、お金はいくら必要なのか。そのお金を集める方法は募金活動だけなのか?じっくり、1時間でもいいから、考えてみてほしいと思う。クラウドファンディングみたいな面白い仕組みもある。国際協力や支援というのは、わたし個人の意見では、学生の分際だと「してあげている」じゃなくて「させてもらっている」だ。そしてしょせん「自己満足」だ。自惚れずその事実を自覚していれば、もっとクリエイティブに自由に考えてもいいと思う。


その上で出した答えが、「世界の恵まれない子どもたちのために、募金活動を行っています!」なのだとしたら、それはそれでオーケー。わたしもなるべく応援してあげたいと思う。

ただ、やっぱりわたしは、あの人たちのために、が具体的に想像できなければ、やる気は起きなさそうだなあ。と思うもう25歳なのであります。学生時代懐かしいね。

読んでくださってありがとうございます!

可菜

#エッセイ #日記 #国際協力 #ボランティア #募金活動

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カナ
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