日記:頭が悪い:24.10.24
早速、きっつい自己嫌悪ではあるんだけど、小説や音楽、映画を楽しむための基礎能力が不足してる。頭の悪さがコンプレックス。
もちろん勉強の面でも頭が悪い。大学の単位やばい。卒業できない可能性が十分にある。
記憶力もない。たまに記憶力がいい人が、空間魔法で時空の歪みのようなポケットから大剣を取り出してくる、あの瞬間、恐怖でしかない。
なんでそんな体験や知識をすぐに取り出せるのかな。もはや、意識の外から殴られる感覚。もはや、存在しない痛覚まで刺激してくる。
感覚を読解する能力もあんまりない。言語でも視覚でも記憶にストックされてない。何で記録してる?頭の中がブラックボックス。
読解が生活の根本だと思ってるけど、その読解に問題がある気がする。文字も音も風もうまく読解できない。風が吹いても風。
インプットに問題がある。みるみる頭に入ってきては、たちまち頭から流れ出る。具体化も抽象化もなく、その隙間をぬって流れてく。
季節もよくわかんない。現在この季節は秋じゃなくて、時期の捻れた冷夏かもしれないし暖冬かもしれない。あるいは初春の夜かもしれない。
ルックスやファッションの自分磨きとか言ってる場合じゃない。頭が悪い。先ず、頭が悪い。一拍おいて、頭が悪い。ひとまず頭を磨こう?
小説や音楽、ニュース、季節さえも、情報は実感をかすめて、すぐ横を通り過ぎていくから、掴めないままその動向を目で追うばかりだし、それは文字も音も風も同様に、自分のこの手で本質を掴んだことがない。少なくとも記憶にない。すべてがぼんやりとして、微かな月明かりみたいに仄光るその輪郭をなぞるばかりの作業に、大した報酬のない労働だと自覚して飽き飽きする。
音や風は掴めないけれど確かに感じることができるはずなのに、情報にひどく鈍感だから、振動もしくは圧力などの外的エネルギーを検知するだけの機械でしかない。機械仕掛乃人間? 風が吹いても風
奥行きのない感性と、変数のない数式のような単純な思考。もう嫌だな。天才の誰かと脳を取り替えたい。もっと感性、もっと思考したい。
できる作業といえば、ベルトコンベアに流れてくる既製品の中をひたすらに見つめて、それらに紛れた外観不良品をかろうじて検知する作業。いやな皮肉だけど、外観や輪郭をなぞるのは得意なので。
この文章が伝わるのかも分からない。輪郭をなぞることしかできないから、傍から見れば、輪郭しか見る影もない廃墟。歴史的価値もないから史跡として名付けられることもない跡地なのかも。
本当に仏 造って魂入れず。画竜点睛を欠く。半端。途中。未完成。不完全。
頭の中をそのまま文字に流し込むと汚くて醜くて煩雑で脆くて弱くて完璧で、気味が悪いなと思う。
もんじゃ焼きの土手みたいに、絶対に堤防決壊して、あぁっと声に出る無力感に近い。言葉は淀みなく流れ出てきても、流れるものに淀みがあるから、そこに美しさはなくて。でもその汚れを美と捉えるのはあまりに卑しく、ひどく暴力的だと思う。泥酔の果てに便所でゲロを吐いても、いつか、そんなこともあったと語ってしまうのは嫌い。
自分と同じような人かも、と思ってそっと近付いてみると、別世界であることに気付かされる。それぞれの世界が横にではなくて縦に違う。どれだけ並行移動しても隣接することはないんだろうなと思ってしまう。
そもそも世界に縦横なんてないんだけど。遠くから見た東京タワーは高層ビルに埋没して、弱々しく見えるほど肩をすくめているけど、麻布十番から南へ歩き、芝公園から見た東京タワーは高くそびえてた、という、あの感じ。
「近くで見ると思ったより高かった」で説明できたけど、東京タワーしか出てこなかった。語彙
世界の縦横は、それぞれの環世界は3次元空間って言えば伝わったのかな。x,y,z軸の座標によって定められた世界? なんて伝えたらいいのか分からない。これの連続。
やっぱり、頭の良い人になりたい。
前に日記にも書いたけど、他の人の文章を見ると、自分の至らなさや不足ばかりが目立つ。いや、際が立って、下に穴がずばぁーと空いて落ちる。落とし穴に嵌ったような、腑に落ちるような。
不足ばかり知って、足るを知ることはないし、マッチポンプであることも知ってるのに見てる。
みんななんで上手く書けるんだろうって縦方向に下の世界から首を傾げて眺めてる。もしかすると堤防決壊してるから、泥やゴミが一緒に流れていて、それが読みづらさになってるのかも。土台を失敗してたらしい。
インプットがままならないなら、アウトプットもままならないな。
思ったことをメモに殴り打って、一拍おいて、副詞や形容詞を装飾する一連の流れ。
文章の書き方の本を読もうかな? でも定型的でありきたりな表現しか書けなくなりそうで怖い。小説で見た表現をそのまま使ったような文章は書きたくないから。なんか思春期みたいな揺らぎだなと自分でも思ってる。アンビバレントに生きてる。
読むことも書くことも、じわりと痛みを伴う自傷行為。
猫になりたい。猫って宇宙の総体だと思う。どんなに目の前に歓喜があっても、あの瞳孔に映る一抹の寂しさは、無限を体験した気持ちになるくらいに、奥が深くて底が見えない。インフレーションした宇宙が広がってる感じがする。超新星爆発のような、その恐ろしさにじわじわと湧く探究心こそ、猫の魅力かも。って考えたり。もしくは自分の頭の中の空っぽを覗いたり。
猫か天才になりたい。