いのちをいただくウルルンツアー
【チェンマイ 卓袱台便り】No.12
= いのちをいただくウルルンツアー =
多くの山岳少数民族が暮らす町Phraoの市場には、カエルやネズミ、蜂の子やコオロギ……と言った食材が毎日普通に売られている。また、Phraoから車で20分も走れば、妻の産まれ育った村であり、今も妻の母や姉妹、親族が暮らすサムリ村(Baan Sam Li)がある。サムリ村では何か事あれば、集落で飼われている豚が捌かれ、日に数羽、つい先程まで草むらを走り回ってた鶏が行方不明になる。
僕のFacebook日記には時々、そんな彼らの何気ない日々の生活や、それを切り取った写真が登場する。その日記は、僕のメインアカウント以外、幾つかメンバー登録しているグループにも投稿する。
3年前の今日、とある料理系グループに、Baan Sam Liで行われた小さな催し事の様子を、豚の解体写真と共に投稿した。すると、そのグループの管理人から、『掲載された写真は、見るに耐えられない残酷で悍ましい写真です。なので、写真の削除を依頼します』と言ったメッセが届けられた。
僕は、『管理人さんが僕の投稿した写真がグループに不適切な写真であると判断されたのなら、それを削除する権利は管理人さんにあります。なので、管理人さん御自身の手で削除なさって下さい。しかし、僕の手でそれをすると言うことは、僕が普段一緒に生活を共にしている人間、僕が普段お世話になっている人間を否定する事になりますのでそれは断固お断りします』と返信したところ、問答無用、即座に僕はそのグループから強制退会処分になった。
日本では、豚肉が鶏肉や牛肉がその日の献立に並ぶ時、奥様方はスーパーに出向き、発泡スチロール製の舟に並べられた食品を購入し料理をする。しかし、誰かが豚の、牛の、鶏の急所に鋭利な刃物を突き刺し、屠殺し、部位毎に解体した"人"が存在してるのです。
決して最初から、ロースやヒレ、腿肉や胸肉として工場で製造され、ラップに包まれたり真空パックされていたのではありません。
あなたたちが、"見るに耐えられない""残酷で悍ましい"行為であると言い、顔を顰めるなら、ムニエルされた肉塊を、手にしたナイフとフォークで小さく上品に切り分け、それを一切れ一切れ口に運び、ナフキンで唇を拭う……そっちの方がよっぽど残酷な行為であるとは思いませんか?
先日、HATAGOに宿泊してくださった方をサムリ村にお連れし、流石に豚を〆る瞬間はありませんでしたが、その後の解体作業を見学し、それを焼いて、煮て、食べていただきました。そう、命をいただく、《いただきます》、ウルルンな体験をしていただきました。
名付けると【いのちをいただく、ウルルン ツアー】、HATAGOでは近い将来、そんなツアーを計画しています。
《HATAGO公式ホームページ》
https://chiang-mai-hatago.com/