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時代と共に消えていく身体心理療法

sonomamaの身体心理療法は主に
身体心理学、身体心理療法、心身医学の父
とも言われる
ウィルヘルム・ライヒの
流れを引き継いでいます。

ライヒは、精神分析で行う自由連想法では
言葉による抵抗(嘘)が
妨げになることに着目し
性格抵抗という概念を生み出しました。

抵抗が無意識に身体に現われることを発見し、
恐らく心理療法として初めて
身体にアプローチするセラピー
(ヴェジェトセラピー)を生み出しました。

東洋の療法を除くと
現在ボディワークと言われているものは
全てこのライヒの流れです。


日本では知られていない療法


最近では
トラウマ療法やポリヴェーガル理論
などが出てきて、
身心の事が随分説明しやすくなりましたが

それでもライヒの流れを
理解されている方は少ないと感じます。

例えばイタリアでは
国公認のセラピストになるためには
ボディサイコセラピー(身体心理療法)
のトレーニングを受けることが
義務づけられいるほどなので

この違いはとても残念です。

過去に
ゲシュタルト療法の
トレーニングやワークショップに
参加していた時期がありましたが
心理療法をされている方、
トラウマ療法(SE)の方も
知らない方がほとんどでした。

そんな日本ではマイナーな
身体心理療法ですが
私の臨床で言えば現代人特有の
思考からくる悩み
うつ症状
などには
かなり効果があるのを実感しています。

と同時に
世の中に広まらない理由も実感します。

無痛を求めすぎた現代


sonomamaに来られる方の中には

▷うつなどで投薬治療をされてきた方
▷催眠療法などを受けてきた方
▷ビジネスのためコーチングを受けてきた方
▷現代の療法をしているカウンセラーの方

などの方もいらっしゃいますが、
この方達には同じ共通点があります。

楽にはなるけど(出来るけど)治ることがない。

理由は明らかです。

現代の心理療法などは症状の緩和、
温存を目的にされたものがほとんどなので、
安全過剰なアプローチが増え
逆効果になっている場合が多いからです。

苦痛は現実にある脅威の中で生まれた症状ですから
安全過ぎたり、
理想的な環境の中で取り組み続けても
本来の症状にはあまり意味をなしません。

良くなる、というよりは
症状を抑圧したり、誤魔化したりしながら
温存し続けている状態だからです。

この辺りは

セラピーが今の現状の体勢を維持する
ためのものであればそれはむしろ悪になる。

という有名なセラピー批判につながる所です。

これは社会的な問題にも関連しますので
この辺りまで。

身体心理療法は
苦痛の療法なのか


無痛は逆効果だというならば、身体心理療法は
苦痛の療法という事になります。
ある意味ではその通りです。
心身の苦痛を感じ取っていき、体験する療法です。

痛みを避ける事が正義。という方には
ここは欠けている部分と言っても良いと思います。

しかし、苦痛を避けていても、
楽は得られても良くなることはありません。

現実にある苦痛を無いものにすることは、
症状の温存、先延ばしです。
いずれ抑えることに限界が来た時、最も酷い状態のまま
向き合わざるを得なくなった方を何人も見てきました

ですから私の場合、
ブリーフセラピー、ハコ三セラピー、
フェルデンクライスメソッド
といった柔らかいアプローチを組み合わせ
受け入れる準備をしていきます。

とはいえそれでも安易には使えません。
何よりスキルより大切なのは
熟練した見極めとセラピストの体験
が必要な療法だからです。

ですから体験がいる。という事になりますが、
実際現在はトレーニングを受けられる場所や
学べる教材もほとんどないので、物好きでない限り
中々たどり着けない領域かもしれません。

広まらないのは仕方のない事ですね。


身体心理療法の強み


現代の療法に比べ、身体心理療法の強みは
以下にあると実感しています。

▷言葉や思考で意識出来ない
身体に残る記憶(トラウマ)を直接扱うこと
▷呼吸(内臓)筋肉(骨格筋)脳(中枢神経系) 
に具体的なアプローチ法を持っていること。
身体記憶と原初的感情を
セラピストが体験、熟知していることです。

先ほど言ったように、
セラピストが体験をしていると、
どんな反応にも俯瞰した視点で
クライアントを解放へ導くことが出来ます。

つまり

セラピストが自分の苦痛を避けず
受け入れる体験を持っているのか

これがセラピーの効果を左右します。

決して理屈を知っているセラピストが
優れているわけではありません。

近年、神経理論によって、
身体記憶(トラウマ)が説明できるようになり
身体性について語られる事が多いですが
それは説明(還元論)であって、
実践の場ではあまり意味のない事です。

歩けない時、
歩けない理屈を説明することと
歩くサポートをする位の違いがあります。

そういう意味で
身体心理療法とは解釈論よりも
効果のある実践を重視した療法、
と私は思っています。

もちろん、身体心理療法も
エネルギー理論、形態心理学、発生学・胎生学などに
基づいた理論的基盤をしっかりと持っている
ことを付け加えておきます。


実際のセラピーの現場


ここまで沢山の話をしましたが、
やはり理屈と現場は違います。

実際はライヒの言う性格抵抗の反応を
自覚してもらうため、身体には触れず、
カウンセリングを何カ月も行うこともあります。

身体の緊張が慢性化している場合は、
連動する感情に触れず、
ただ緩める時間になることもあります。

あくまでタイミングが来れば、
身体と心を解放していきます。

どれだけ効果のあるものでも
その人の今居るプロセスほど重要な事はありません。

感じたくないこと、
気づきたくないこと、
表現したくないことがあるのは
むしろ自然な事だと思っているからです。

それは社会の中でサバイバルしながら
必死に生きてきた証です。

様々な性格抵抗には、性格形成の背景にある
その人だけの歴史があります。
それを否定しながら癒されることはあり得ません。

ここは私の臨床での経験です。

そして、どんな人も来られている限りは
いずれ必ず本当の事に触れていくプロセスが来ます。

どれだけの期間進まなくとも、その時が来ると、
ブレイクスルーがおきます。

陰極まって陽に転ずる。ということです。

最後に


私は、身体心理療法の根本にあるのは、
メルロ=ポンティが言う
「間身体性」のようなものと認識しています。

身体と身体を通して伝わる共鳴です。
赤ちゃんと母とのコミュニケーションは
これに相当します。
動物との触れ合いなどもそうですね。

私がこの感覚を体得したのは
12年間の言葉のない自閉症の方達と
関わったことだと思います。
その時は非言語情報で感情を共有することが
日常でしたから
言葉の価値より、身体的な共鳴の方が大切でした。

この経験から言えることは
身体には真実を語る表情や声がある
ということです。

そして、
その声を代弁していくのが
sonomamaの身体心理療法です。

思考に偏る今の時代には
最も効果のある療法だと感じています。

私にこの療法を教えてくれた方も、
もう80歳を超えています。
大切な理論、技術ですので、
沢山の方に体験していってもらえるよう
今後も尽力していきます。


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