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漫画編集者による意味のよくわからない言葉から漫画の本質に近づいてみようのコーナー9「何が言いたいのかわからない」

いや、オレはお前が何を言いたいのか、わからない

本当に良く聞かれる言葉
「何が言いたいか、わからない」
についてである。
初めてこれを聞いたときは
「そんなにボクの表現の仕方が悪いのか」
と自責の念に駆られたけど、今は
「ボクはアンタが何を言ってるかわからないよ」
と、他責の心持ちで聞いている。
なんでこんな偉そうに聞いてるかっていうと、ボクの中で編集者の機能ってのが
「問題を摘出する人」
というふうになってきてるから。問題を上手く摘出して、それに対し漫画が対策を講じ、さらにその可否を検討していく。「何が言いたいのかわからない」という言葉は
「自分には問題を摘出することが出来ない」
という弱音にしか聞こえないからだ。へっ。
とは言え、問題摘出能力のない編集者だとしても、何か問題は感じてくれてるのだろうからその感覚は無視しない方がいい。同じように感じる読者はもっとたくさんいるはずだからだ。

必要な技術は

看板を出している漫画家が最後は責任を引き受けねばならない。
そのために必要な技術は、
最小限の変更で全体が大きく変わったように見えるポイントを探す技術
だ。何か問題が見つかるたびに全編改訂って力業は、結果的に問題を一切解決していないことが多い。かと言ってある部分を変えて全体が変わってないように見えても意味がない。流れがぎこちなくなるのもいただけない。「ここ」という有効なポイントを探す技術が、まずは必要になる。編集者の問題摘出能力とはこの技術のことなのだが、漫画家がもつべき技術でもあると思う。でないと、一人の編集者に自分の将来を全部預けちゃうことになってしまうから。
そして、、そこを効果的に直す技術や知見も肝要だが、これについてはいつか稿を改めて説明する(たぶん)。

まとめると

・「何を言いたいかわからない」と言われたら一旦はムカついて良い
・しかし、そこには何か問題があるはずだ、と思い直して点検すべきだ


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