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最強(たぶん)漫画で漫画術12 プロットとキャラクターについて4
Ⅳ 泥棒の男
このパターンは一話完結に向いている。キャラクターだけきちんと決めればあとは場所、時代も厳密でなくてもいける。
時代劇や西部劇の風来坊が主人公になる話は、すべてこれである。『シェーン』はまさに典型。『ルパン三世』もこれに当たる。
【泥棒の男プロット】
1 主人公はやってくる
飢えや渇きに難儀しながらやってくる時もある。舞台はいろいろだが、主人公がたどり着いた場所で一人は主人公に好意的な人物がいるところが舞台になる。そこからストーリーは始まる。
最初主人公はもってる特殊な技能や能力を隠している。隠してごく平凡な存在のふりをすることで受け入れられていく。
2 その人は困難を抱える
主人公は何かの目的を持っている時もあるし、何の目的を持たない場合もある。
目的を持たない場合でも、その回の話では主人公に好意をもった人物の蒙る害悪が中心になっていく。
3 その人の家族と交流する
主人公はその人だけでなく、その家族とも交流する。家族というのはペットなども含めて機能上の家族。
そこまで流れてきた主人公だが、その家族と触れることで「ここの家族になるのも手かもしれない」という思いが兆す。ともに小さな困難を乗り越えながら、家族の交流を深める。
定住するのではないか、と見ている側は感じるほどだ。
4 その人の困難が深まる
やがて主人公を受け入れた家族に本格的な危機が迫る。それまでなんとかしてしのいでいた家族は、もう力尽きる。そこで主人公が正体を自ら現し、問題を解決する。
危機の質は主人公と同じタイプのものがいい。
家族が疎ましいと思っていたもの=危機=主人公と同じ
という図式が最後にはっきりするのが大切。
危機は終了するが、同時に自分の存在が否定されたことを主人公は感じ、去って行く。(この稿続く)