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性を扱うためのアティチュード(態度)の講座を対人援助職向けに始めようと思ったワケ(自己紹介も兼ねて)

性の健康イニシアティブという組織を主宰してます

いま僕は「性の健康イニシアティブ」という組織を主宰しています。

性の健康イニシアティブは、自分の生まれついた在り方が生きづらさの理由になるのではなく、誰もが「自分は自分に生まれてよかった」と思える世界をビジョン(実現したい世界像)に掲げています。

その実現のために、性の話ができる対人援助職を増やしたいと思っています。自分は自分に生まれてよかったと思えない瞬間のひとつが、自分の在り方が否定された時です。勇気を持ってカウンセリングルームに相談に行ったのに、あしらわれた。老人ホームで気になっている他の入所者と会っていただけなのに、問題行動扱いされた。対人援助の場面で性が関係する事柄をどう扱えばいいのか対人援助職が困っている時は、その支援対象者もまた困っていたり、傷つけられている時なのです。

性について相談に行って傷つけられる人もいる

ここ数年、性教育の活動が盛り上がっています。でも、僕らが生きている実社会にはまだまだ「性の話をすることは憚られる...」という場面がたくさんあります。

性教育を頑張っている人たちが、「不安なことがあったらお医者さんや専門家の人に相談してね」と呼びかけても、その専門家の人たちが性の相談に乗るための心構えを知らなかったがために、「せっかく相談に言ったのにひどいこと言われました!もう誰にも相談しません!」と泣いている人をたくさん見てきました。

性の相談に乗るためにも知識やスキルが必要です。

実際、僕の周りいる対人援助職の友人たちからも「性の話は少なからず出る。でもみんな勉強したことがないから自分の価値観で答えてしまって誰も幸せにならないという現実がある」という話を聞いています。

性に関する活動をしてきた者として、対人援助職のみなさまに、お仕事の現場で性に関する相談が出た時にどうすればいいかを伝えられるんじゃないかと思い、講座の開催を決めました。

「ユースフレンドリー」という態度を身に着けた大学時代

今でこそ対人援助職の方に伝えたい!なんて話をしていますが、いきなりそこにたどり着いたわけではもちろんありません。

大学生の頃、初めて「セクシュアル・リプロダクティブヘルス/ライツ」の世界に足を踏み入れました。日本家族計画協会が支援するU-COMという若者組織で、同年代の高校生や大学生に向けて性教育をする活動をしていました。その時「ユースフレンドリー」という態度を叩きこまれました。

ユースフレンドリーとは「ユース(若者)にとって親しみやすい」というような意味で、性教育や相談活動の対象になる人(若者)に馴染みやすい言葉遣い、見た目、態度、眼差しを大事にしようね、という教えです。

対象者にとって親しみやすいか、馴染みやすいかを気にする姿勢がこの時確かに身に着きました。

ユースクリニックで10代の話をたくさん聴いたが...

大学を卒業後、企業勤めなども経験しましたが、紆余曲折を経てNPOの事務局長に就任しました。そのNPOの事業として、渋谷の街の中に「相談と検査ができる街の保健室」というドロップインセンターを出しました。2009年夏のことです。今日風の言葉で言えば「ユースクリニック」です。

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この店舗型サービスを開催した2009年7月~9月の間は、相談にくる中高生、大学生の話をたくさん聴きました。

自分が相談を聴く以上に、ボランティアスタッフの相談スキルの研修をやりましたが、

・相談対応は難しい
・スキル以上に、自分の価値観から自由になることが難しい
・どういう態度で接すればいいのかも難しい

ということをひしひしと感じました。

ザ・サードプレイス作りのための組織を11年ほどやりまして

この店舗が閉店してすぐ、自身でも思春期保健の活動をする組織を立ち上げました(若者世代にリプロヘルスサービスを届ける会Link-R)。性の健康イニシアティブの前身団体です。

中高生、大学生やその保護者、学校の先生や地域の大人に性教育的な講演やワークショップをしていたほか、

自治体や産婦人科病院で、出産を控えた夫婦に向けて夫婦のコミュニケーションに関するワークショップを提供する、両親学級の活動もしていました。

また、家でも学校でもない第3の居場所(ザ・サードプレイス)を作ることを大きなテーマとして、放課後の居場所づくりの活動にもトライしてきました。

その経験のなかで、現場叩き上げで相談スキルを培ってきました。

そういう経験を通じて思ったこと

・意を決して相談に来る人は少なからずいます
・そういうときに不適切な対応をすると、「もう大人になんて相談しない」となります
・相談活動の業界全体が「信用できないやつら」だと思われるだけでなく、
・本当に人に頼らないといけない場面で人を頼れずに、文字通りの意味で死んでしまうこともあるかもしれません
・性に関する相談対応は(他の相談対応と同様)簡単ではありません

そんなことを思っています。

思春期保健から対人援助職への支援に転身した理由

近年、性教育が注目されはじめ、性教育をしたいという人たちが本当に増えています。僕が活動をはじめたばかりの頃は性の話をしているだけで何となく奇異な目で見られたものですが、隔世の感です。

その環境の中で自分が思春期保健をがんばる理由がなくなったと感じていました。次の目標として、過去の活動で培った知識やスキルを、必要としている人に伝えていきたいと思うようになりました。

そこで2021年から、思春期保健のための組織だった「若者世代にリプロヘルスサービスを届ける会Link-R」を「性の健康イニシアティブ」と改め、対人援助職のみなさまへの講座をお届けする活動などを始めました。

講座の開催にあたって

「対人援助職向けの講座」とは言っていますが「心理職向け」「介護職向け」など、職種を限定する言い方はしていません。

「介護職向け」「心理職向け」などを名乗るには、その職種のことを熟知している必要があります。僕は性のことは分かりますが、各個別の職種のお仕事については知らないことが多くあります。その点についてはみなさんに教えていただきながら、講座を進めていきたいです。

僕は、対人援助に共通して使える性の話をしていきます。各職種のお仕事の現場への落とし込みはぜひみなさんのフィルターを通して試みてほしいと思います。

知識は本を読めば身につきますが、対応はトレーニングでしか身に着きません。ぜひ性の健康イニシアティブの講座で、トレーニングの時間も楽しんでもらえたらと思います。

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柳田正芳(やなぎー)@性の健康イニシアチブ
自分の生まれついた在り方が生きづらさの理由になるのではなく、誰もが「自分は自分に生まれてよかった」と思える世界をビジョン(実現したい世界像)に掲げる「性の健康イニシアティブ」の立ち上げ人/代表です。ビジョンに共感してくださる方はリアクションお願いします。