【コンパートメントNo.6】言葉は無くとも孤独は鳴る
「寂しい」と言わずとも見え隠れする、ひりひりと心身を蝕む孤独がある。互いの過去は何も知らず、背景も知らず、それでも寝台列車の小さな個室には孤独がひしめき合っている。
『コンパートメントNo.6』は、そんな孤独な二人の相席を描いた映画だったのかもしれない。でも、観客が寝台列車に見た孤独は元々どこから来たのだろう。感じ取ったすべてが、観客自身の中にあったとしてもおかしくない。
真っ白な豪雪を突き進む無愛想な電車の音が、偶然同じ個室席に居合わせた二人の間を埋め尽くす。孤独に